2020年11月21日土曜日

AF Micro-Nikkor 55mm f/2.8 新宿御苑にて

天気が良いのでAF Micro-Nikkor 55mm f/2.8を持って出掛けよう。「撮るものが決まっているときはズーム、決まっていないときは単焦点」というのが持論である。散歩は単焦点に限る。というか、もはやこのレンズしか使う気がしない。




このレンズの解像力とD850の画素数ならば、大きな鑑賞サイズを想定した大判カメラのような構図にも取り組むことができる。具体的には、画面の大半を占める広大な背景に小さな構成物を配するなどした構図がそうかもしれない。

空を大きく取り入れた構図だが、このスペースが寂しい。雲か飛行機、あるいは鳥の一羽でも欲しい。

背景のボケが少しザワザワした感じだ。まだらに紅葉したポプラ自体が肉眼で見てもザワザワした物体なので、このレンズのボケ味がこうなのだとは言い切りたくない。

これ以上引くのが面倒だったので、フレームギリギリに大きな樹木をみっちり入れた。ボリューム感が伝わるだろうか。プリントするのが前提ならありえない構図だが、画面の端から端まできちんと写るこのレンズならではの試みといえる。

単焦点レンズ一本で、絞りや構図などをあれこれ構図を工夫して撮るの楽しいものだ。散歩の場合、何を撮るのかは最初から決まっていない。何を撮るかは自由で、撮らないのも自由だ。このレンズで撮れないものは撮らなくていいい。

この画像はカメラ側でADL(Active D-Lighting)をON(Auto)にして撮影したものをCapture NX-Dで現像しているが、軒先のシルエットの周囲に白っぽい縁取りが表れている。
ACR(Adobe Camera Raw)のカメラキャリブレーションは、ずっと以前からニコンのピクチャーコントロールのプリセットには対応しているが、ADLには対応していない。RAW現像ソフトとしてPhotoshopやLightroomは解像感とノイズリダクションは優れているものの、発色や暗部のトーンについては純正Capture NX-Dの方が好みなため、撮影画像は最初にすべてCapture NX-Dで現像している。以前はADLはほとんど使うことがなかったが、D3500のADLがデフォルトでONになっており、これが好ましい感じで機能しているため、最近はD850でもADLを使うようになったが、場合によってはこの画像のようにHDR調の縁取りが目立つ感じで表れてしまうようだ。


画面の大半が真っ黒なシルエットだが、画角も立ち位置も制限されているところ、なんとかひねり出した構図。

共通データ:Nikon D850, AF Micro-Nikkor 55mm f/2.8(1986-1989年製)
Capture NX-D 1.6.4(Mac)/Adobe Photoshop 2021(Camera raw 13.0.2.644)
ピクチャーコントロールはすべて[SD]スタンダードまたはカメラスタンダード(ACR)

2020年10月11日日曜日

AZ-GTi マウント赤道儀モードとPolar Scope Align Pro

AZ-GTiマウントの赤道儀モードをセットアップしてみよう。AZ-GTiマウント用のファームウェアはSky-Watcherのサポートページからダウンロードできる。「Windows program:Motor Controller Firmware Loader」と「Firmware:AZGTi Mount, Right Arm, AZ/EQ Dual Mode」をダウンロードし、AZ-GTiマウントとWindows PCがWiFiに接続されている状態でMotor Controller Firmware Loaderを起動し、ダウンロードしたファームウェアのファイル名を指定すれば十秒くらいで更新が完了する。ファームウェアの更新後は、SynScanアプリからAZ-GTiマウントに接続した際に、経緯台モード・赤道儀モードを選択することができるようになる。AZ-GTiマウントを赤道儀モードで使う場合、経緯台モードにおける方位軸が赤経軸になり、望遠鏡やカメラは経緯台モード時の高度軸(赤緯軸)の右側に取り付ける。AZ-GTiマウントは赤経軸を北極星に向ける格好で、三脚に傾けて取り付ける必要がある。これにはスカイメモS用の微動雲台が使われる場合が多いようだが、とりあえず写真用の自由雲台で代用してみよう。赤道儀モードで運用するには、カメラや望遠鏡の重量に釣り合うよう、バランスウェイトが必要になる。バランスウェイト用のシャフトやウェイトは、市販の物は意外に高価なため、シャフトはM12の長ボルトで代用し、ウェイトは手製の物を取り付けた。このバランスウェイトは、百均の蓋付き缶にM12ナットを仕込み、防水パテと鉄の木ネジを詰め込んだものである。重さは600g弱で、もっと重いレンズを使う場合やカメラの下に自由雲台を入れる場合にはこれでは足りないので、シャフトを伸ばすかもっと大きなウェイトが必要だろう。



SynScanアプリの接続画面

ここではAZ-GTiマウントのステーションモードを有効にし、AZ-GTiマウント・iPhoneとも自宅のWi-Fiアクセスポイントに接続している。AZ-GTiマウントはステーションモードとAPモードを同時に有効にできるので、AZ-GTiマウントのSSIDに直接接続することもできる。

iPhone用の「Polar Scope Align Pro」というアプリを使って極軸を合わせる。これ、370円の有料アプリだが、ポータブル赤道儀の極軸合わせにはよく使われているようだ。L字型のブラケットとiPhoneを使って極軸を合わせた雲台に、AZ-GTiマウントを載せる。


Polar Scope Align Proのホーム画面

十字を真ん中に合わせるだけで極軸合わせができる。

このPolar Scope Align Proは各所で紹介されているが、iPhoneのコンパスは周囲の環境の影響を受けて狂いやすいので、実用的な精度があるかどうかは良く分からない。仰角は傾斜センサーなので大体合っているだろう。この後、SynScanアプリでアライメントの操作をすることになる。

SynScanアプリのアライメント画面

差し当たり、AZ-GTiマウントにラプトル60望遠鏡を載せて月や惑星を観察するだけなら、経緯台モードで十分だ。また、構図内に地上の風景が入るような星景写真やタイムラプス動画の撮影にも、地平との並行を保って追尾できる経緯台モードの方が適しているように思う。赤道儀が必要なのは、長時間露光時の視野回転が問題になる星野写真というジャンルだろうが、いずれにせよ夜空の明るい市街地では長時間露光は無理で、赤道儀モードの出番は無いかもしれない。

2020年10月7日水曜日

火星最接近 ラプトル60で観察

 日中から雲が多く、今夜の観察は諦めていたがなんだか見えそうだ。隣のビルの上に火星が輝いている。AZ-GTiマウントとラプトル60を引きずり出し、急いでセッティングする。雲が多く、アライメントする時間が無い。火星を視野に導入して1スターアライメントで追いかける。高倍率で覗くと、視野の中心から火星が少しづズレていく。アイポイントがシビアで、スマホアダプターの調整に多大な時間を費やしていると、その間に火星は雲に隠れてしまう。時間があまりない。60秒間程度の動画を4回くらい撮影することができたところで、火星は建物の庇(ひさし)に隠れてしまった。


火星 2020年10月6日 22:49

ラプトル60+2倍バーローレンズ+PL.6mmアイピース(233倍)
AZ-GTi経緯台モードで追尾しiphone 6sでコリメート撮影
4K/30FPS 60秒間の動画フレームからLynkeosでスコアの良い物(約600フレーム)をスタック、1200x800サイズで切り出し

倍率は明らかに過剰だが、それにしても不鮮明すぎる。これはただの光の玉だ。ピンボケの鈴カステラと言うにも苦しい。模様らしき濃淡も、これが本物なのかどうかもよくわからない。上部に見える僅かな白い部分が南極冠なのだろうか。こんなもんと言えばこんなもんなのかもしれないが、眼視ではもうちょっと良く見える。なんとかもっとシャープに写すことはできないものだろうか。
最接近日を過ぎてもしばらくは火星は大きく見えるはずなので、今度晴れたら直焦点で撮影してみたい。

2020年10月6日火曜日

望遠鏡用カメラアダプター

色んな名前で売られているので何というものか分からないが、天体望遠鏡でコリメート撮影するためのブラケットだ。先日Amazonで買ったやつは、スマホを取り外すと付け直す際の位置合わせが大変なので、こちらのクルッポンのタイプを探して注文した。これ同じようなものでもっと安い物があるが、中国発送のものは3週間ほど掛かってしまう。SVBONYのやつはPrimeで発送は早いものの在庫が切れていたので、同じ物の割にはちょっと値段が高かったが仕方なくこちらの品を選んだ。

「AstroStreet デジカメユニバーサルアダプター デジカメ撮影アダプター スマホアダプター付属 日本語説明書付属[国内正規品]」 3,200円(Amazon)

付属していた日本語の取説によると、メーカー名は「IoSystems, Inc」となっていて、現物にもその文字がプリントされている。上のネジが上下の固定、下のネジが回転軸の固定になる。軸の構造が不思議で理解できないが、下から見ると四角い物体の中で軸が二重になっていて、とにかく上下と回転をそれぞれ別々に緩めたり固定することができる。

サイズの比較。左が今回手に入れたクルッポンのタイプ。右が以前手に入れた固定式のタイプ。接眼部への取付部分の形状は似ているが、今回の物の方がだいぶ大きい。金物としての精密感はあまり無い。どちらかと言えば雑な方だろう。

スマホを取り付ける場合、カメラを取り付けるプレートの左端のネジ穴を使わないとレンズの位置が合わない。この穴を使うとネジを閉めても固定が甘いので、穴を空け丸く切ったゴムシートを挟んで締め付けるようにした。また、接眼部に取り付けるクランプ部分は、内側に滑り止めのゴムシートが貼られているが、これがあるとグニグニするのでむしり取った。

ラプトル60のドローチューブはアルミなので、傷がつかないように鉛の板オモリを巻く。直接取り付けるよりは座りが良くなり、ズレにくくなる。

この接眼レンズやバローレンズに取り付けるのは無理があるので、ドローチューブの端に取り付ける。眼視の際にはこのようにスマホを横に逃がしておける。

撮影時にはクルっと回せばレンズ位置が合う。事前にこの光軸を合わせる作業が非常に大変だが、一度やっておけば位置が再現できる。ただし、変な触り方をするとすぐにズレるので注意しなければならない。また、アイピースを取り換えたりバローレンズを付けたり外したりすると再度調整が必要になるのも面倒だ。このカメラアダプターの取り扱いはかなり厄介だが、先の固定式のものに比べればかなり良いと言える。それほど頑丈ではないが、元々はコンデジ用なので、取り付けるドローチューブやアイピース側が重量に耐えられれば、小型のビデオカメラも乗せられそうだ。ミラーレスやD3500のような軽い一眼レフカメラならば、直焦点時のサポートにも使える。

後日になるが、スマホレンズの位置合わせについては画期的な方法を発見した。この6mmアイピースに限ってはアイポイントが短く、スマホカメラとアイピースの距離はくっつけた状態でいい。穴の大きさがスマホレンズにぴったりのワッシャーを見つけたので、両面テープでこのワッシャーを6mmアイピースに貼り付けた。スマホカメラをアイピースのワッシャーに押し付けた状態でカメラアダプターの各ネジを締めこんでスマホを固定すると、光軸がぴったり合った状態で取り付けられる。その後、ホルダーを回転させてスマホをアイピースから離しても、ホルダーを回して戻したときにはスマホレンズがワッシャーの穴にコトリとはまり、光軸がぴったり合う。





2020年10月2日金曜日

ラプトル60で天体観測

今回の「ラプトル60で天体観測プロジェクト」で購入したパーツが全部届いた。ラプトル60の性格に合わせ追加パーツは廉価なものを選んだが、地味に金額が重なって合計では中々の費用になってしまった。前回までは架台や手動の微動装置をあれこれ工夫したりしたが、実はSky-Watcherの自動導入経緯台「AZ-GTiマウント」が当初から計画に含まれていた。これでパーツが揃ったので手動の微動装置はおしまいだ。

スコープテック「ラプトル60」+Sky-Watcher 「AZ-GTiマウント」


パーツ明細

マクロ雲台は手動式の微動装置やカメラ台に流用しようとしたが、うまく使えなかった。M12の長ネジやナットも一応用意したが、ラプトル望遠鏡は軽いので、経緯台モードで使う限りバランスウェイトは必要無いように思う。

Sky-Watcher AZ-GTiマウント



AZ-GTi 用エクステンションピラー


自動導入経緯台のAZ-GTiマウントは、赤道儀としても使うことができるファームウェアが提供されている。メーカー的にはこの製品は観望用という位置付けのようで、天体写真撮影を想定した性能は保証しない、という条件でこのファームウェアは提供されている。だが、実際には短時間の長時間露光(?)でなら写真撮影にも十分な性能はあるらしい。AZ-GTiマウントは弄り始めると奥が深いようで、PHD2というフリーウェアとガイドカメラを使ってオートガイドをする方法や、分解してモーターギアのギャップを切り詰め、バックラッシュを無くす方法など、ユーザーによる多くの情報がYoutube上で公開されている。そうなると、近いジャンルで一軸の「ポラリエ/ポラリエU」や「スカイメモS/スカイメモT」などに比べ、AZ-GTiマウントは機能や拡張性という点でもこちらの方がずっと面白く、耐荷重も5kgであり価格面でも割安感がある。それらの理由からだろう、天文業界では一家に一台と言われる程、このAZ-GTiマウントは重宝されているという。
上の写真ではAZ-GTiマウントの左側に望遠鏡を取り付けているが、経緯台・赤道儀のデュアルモードに対応するファームウェアに更新した場合、経緯台モード・赤道儀モードとも望遠鏡は右側に取り付ける形になる。今日現在、最新のファームウェアは「Firmware: AZGTi Mount, Right Arm, AZ/EQ Dual Mode, Version 3.26 (08-09-2020)」が配布されているが、これを入れてみたところSynscanアプリから速度9で動かした際の動きがおかしいようで、途中で止まってしまったり、それ以下の速度でもモーターが止まらなくなったり、アライメント後初回の導入操作はできるが二度目でハングアップするなど、どうも様子がおかしい。Sky-Watcherのサポートページから、一つ前の「Firmware: AZGTi Mount, Right Arm, AZ/EQ Dual Mode, Version 3.20(30-08-2019)」がダウンロードできたので、祈る思いでこれを入れてみたところ、同じ不具合は出ないようでほっとした。
赤道儀モードで使うには、これを傾斜させて三脚に取り付けるための工夫や、バランスウェイトなどが必要になるが、なにぶん素人なので、当面は経緯台モードだけで使おうと思う。

スコープタウン HSRA6063/鏡筒バンド(鏡筒外径63mm用・二本一組)
Vixen アタッチメントプレートWT


これ、スコープタウンでは組み立てたものが販売されているが、僅かに安くするために鏡筒バンドだけ注文し、プレートはAmazonで購入した。鏡筒バンドにはM6のノブ付きネジが付属しているが、VixenのアタッチメントプレートWTにもM6の六角穴付きボルト2本が付いていたので、ノブ無しの方で組み立てた。ノブ付きネジを使うとAZ-GTiマウントに干渉することが分かり、結果的にこの注文方法で正解だった。

スカイメモS用 ・ T用ショートプレート U1/4ネジ

AZ-GTiマウント側はVixen式のクランプなので、これをくっつければカメラ用の雲台やプレートが付けられる。海外の動画を見ると、AZ-GTiに緑色のこういうのをくっつけているのを見かけるが、どうも日本では販売されていないようなので、ケンコー・トキナーショップでスカイメモS用のものを入手。

スコープテック オルソスコピック/PLタイプ アイピース 31.7mmサイズ

左から3つはラプトル60に付属している「差し込みサイズ変換アダプター 24.5-31.7mm」「接眼レンズ K20」「接眼レンズ F8」。一番右が別売の「オルソスコピック/PLタイプ アイピース 31.7mmサイズ」。Amazonで売られている安価なSVBONY製のアイピースセットや広視野のものも検討したが、スコープタウンで販売されている6mmアイピースが良いらしいので、これを入手。

Astromania バローレンズ 1.25インチ 2倍

こういう形状のバローレンズはAmazonでたくさん見つけることができるが、この価格帯のものはレンズ構成が明記されているものはほとんど無く、評価を見ると一枚玉であることが多いらしい。この商品には「3エレメントアポクロマートレンズ、優れたシャープネスと色補正」という表示があり、本当かどうかは分からないが他の商品よりも良さそうだったのでこれにした。

現物を見たところ、金物としては十分な精密感だ。レンズは三枚玉かどうかは分からないが一枚玉では無いようには見える。真ん中の銀色の筒は内側にギザギザがあり内面反射は無いが、他の部分の内面反射がひどい。アイピースを挿入する筒の内側がテカテカで、直焦点でカメラをくっつけて風景を覗いたところ、センタースポットと全体にすごいフレアが出る。スコープタウンの6mmアイピースはきちんと内面反射防止処理がされているので、このアイピースの筒部分を外してこのバローに差し込んでおけば内面反射の一部は無くせる。上の矢印部分2か所にも黒の紙テープを張った。これでセンタースポットが消え、コントラストも良くなった。もう一か所は、レンズのコバが塗られておらず、筒を覗くとレンズのコバ部分が露骨に光っている。惑星を覗くには不具合は少ないかもしれないが、前方からカニ目で外せそうなので、分解して塗ってしまえば更に良くなる気がする。天体望遠鏡用のバローレンズという物を見たのはこれが初めてだが、風景を覗いた感じやカメラレンズ用のテレコンと比較した感じでは、元の像がそのまま素直に大きく暗くなるだけなので、レンズ自体はそう悪くない気がする。

やはり塗ろう。レンズを取り出す。

側面をマッキーで塗る。レンズは貼り合わせの3枚玉だった。最前面と最後面の反射光は緑色で、一応マルチコートのようだ。

他の光る部分にも黒テープを貼る。内面反射はこれでほぼ大丈夫。


ANQILAFU 携帯電話のアダプタマウント


これ、最初の状態ではアイレリーフの調整やドローチューブへ取付けようとした際に都合が悪かったので、L字の金具とカメラネジ2個を追加してある。滑り止めのゴムもすぐに剥がれてしまったので、百均の強粘着ゴムタイプの両面テープで張りなおした。構造上、使い心地はかなり悪く、眼視の際にはもちろん邪魔になる。スマホレンズの位置合わせが難しく、被写体を見失って眼視で導入しなおす場合や、アイピースを取り換える度に、いちいちスマホを取り外さなければならず、何度もスマホレンズの位置合わせをする羽目になる。これはもうちょっと工夫が必要だろう。

火星

火星 2020年10月2日 3:01

ラプトル60+2倍バーローレンズ+F.8mmアイピース(175倍)+天頂ミラー
AZ-GTi経緯台モードで追尾しiphone 6sでコリメート撮影
4K/30FPS 30秒間の動画フレームからLynkeosソフトウェアで縦横2倍サイズに引き伸ばして画像スタック(約1800フレーム)、1200x800サイズで切り出し

天気の悪い夜がもう一か月程続いていたが、やっと晴れた。満月の左下に火星が輝いている。時刻は午前3時前の西の空、かなり高い位置だ。天頂ミラーを使ったが上階のベランダを避け姿勢を低くしなければならず、相当無理な体勢で長時間頑張った。スマホホルダーの位置合わせが無茶苦茶に大変で、この後、脚がしびれて大変だった。この後すぐに寝た。夕方から深夜までAZ-GTiの赤道儀モードをずっと弄り続け、思うように動かず苦労して疲れていたのだが、夢でもずっとまだそれをやっていた。

2020年9月16日水曜日

ラプトル60 架台の交換 その2

前回、ラプトル60をマンフロット410雲台を使ってカメラ用三脚に取り付けてみたが、410雲台は水平微動に小さなバックラッシュがあり、反対方向へ動かし出す際、僅かに上下方向にも動いてしまう。高倍率では視野が円を描くように動いてしまい、導入した天体が視野から外れてしまう。また、410雲台は長いものを乗せると振動のおさまりも悪く、望遠鏡のフォーカシングノブを触ると像がピョンピョン飛び跳ねてしまいピント合わせも難しい。そういうわけで、後ろを別の三脚で支える形態を作ってみる。

前をジッツオ5型三脚、後を4型三脚で支える。410雲台は微動も剛性も駄目なので、雲台をビデオ用のマンフロットのMVH500AHに交換する。重量バランスはやや後方寄りになり、後段の三脚がカメラ側の重量を支えている形になるが、ビデオ雲台のチルトを少し締めればフリーストップの状態にすることもできる。画像ではちょっと見え辛いが、フォーカシングノブの下あたりを支えるようにスピゴットを一個入れ、望遠鏡を三点で支持するようにして振動を抑えるようにした。

スリックプレートの後端にベルボンSPT-1レンズサポーターを連結する。ドローチューブの動きに合わせてカメラが前後に動くように、カメラの下に手動式のビデオスライダーを取り付ける。後段の4型三脚は、横向きに付けたマクロスライダーと三脚のエレベーターが微動装置の役割をする。マクロスライダーの上にはスピゴットの先からカメラネジが飛び出た状態のものが取り付けられていて、SPT-1の底部に接触している。ここは乗っかっているだけだが、カメラネジの先端がSPT-1底部の縦溝にちょうど引っ掛かる形になり、マクロスライダーで左右に動かすことができる。望遠鏡を向ける方位や仰角が微動装置の可動範囲を超える場合は三脚ごと動かしてやる必要はあるが、微動装置としては抜群の操作感で、高倍率でも容易に視野をコントロールできる。

前回、ファインダーはベネッセの望遠鏡だったが、これもアップグレードする。ケンコーのMILTOL(ミルトル)スコープアイピース(Fマウント用)のアイピースを外し、内側に十字線を仕込む。

こんな風に見える。

ミルトルスコープアイピースには、正立プリズムと2.4倍のバローレンズのような光学系が内蔵されている。付属のアイピースは22mmで、カメラマウント側にAi Zoom-Nikkor 80-200mm F4sを付ければ、倍率8.7~21.8倍のスコープになる。ミルトルスコープの下には雲台代わりにベルボンのプレシジョンレベラーを入れる。

カメラアダプターの中に6mmアイピースを仕込み、昼間に遠くの景色を覗いてみたところ、カメラのフォーカシングスクリーンは、ピンホールレンズのように暗い。合成焦点距離は11600mmくらいになるようで、F値はどう計算するのかわからないが、口径60mmで割るとしたらF193になる。昼間の景色でもシャッタースピードを1/60秒にするにはISO感度が25600になる。これで木星や土星を撮影することが果たしてできるのだろうか。スマホを使ったコリメート撮影の方が良い結果になる気がする。天気の悪い日が続いていて中々実験できない。

2020年9月2日水曜日

ラプトル60 ファーストライト

スコープテック社の「ラプトル60」を入手した。天体望遠鏡は専門外だが、コロナ渦下の在宅期間中、これを作っている大沼崇氏が登場する番組の動画をYoutubeで見ているうちに欲しくなった。天体望遠鏡本体の他に、別途Amazonでスマホ用の撮影アダプターとTマウントの直焦点・拡大撮影用アダプターも入手した。買ったばかりの新しい望遠鏡を初めて覗くことを、天体望遠鏡マニアの世界では「ファーストライト」と呼ぶらしい。早速覗いてみよう。

スコープテック ラプトル60天体望遠鏡
スコープタウンHP

スマホでコリメート撮影

ラプトル60 K.20mm(35倍), iPhone 6sでコリメート撮影
月齢 10

眼視で導入した後ピント合わせをしてからスマホを取り付けるのだが、光軸とアイピースからの距離を調整するのがちょっと面倒臭い。眼視ではもうすこし良く見える。

ラプトル60 F.8mm(87.5倍), iPhone 6sでコリメート撮影

付属の8mmアイピースでは瞳径がだいぶ小さくなり、スマホの調整も難しくなる。色収差が目立ち、画像もちょっとぼやけている。

土星
ラプトル60 F.8mm(87.5倍), iPhone 6sでコリメート撮影

木星
ラプトル60 F.8mm(87.5倍), iPhone 6sでコリメート撮影

注)上の画像では木星が土星よりだいぶ大きくなっているが、これはスマホ側でズーム操作をしているため。

iPhoneの標準カメラアプリの使い方を知らなかった。AFの切り方が分からず難儀したがなんとか撮影。月ではAFが使えたが、惑星は点像なのでAFが止まらなくなる。画面をタップすると露出補正マークが出るのは分かったが、数秒で解除されてしまい、AFが始まってしまう。後から調べてみると、1秒間ぐらい長押しタップするのが正解で、これでAE+AFロックの状態になり、フォーカスは固定されて露出補正は可能な状態になる。今度やってみよう。Lightroomアプリのカメラも使ってみたが、MF時に出る緑のフォーカスピーキング表示を切ることができず、これが邪魔で全然使えなかった。

直焦点

月齢11
ラプトル60 f=700mm 直焦点 F11相当 Nikon D850 (DXクロップ)
ISO=800 1/640秒

一眼レフ用のアダプターを使って直焦点でD850を接続する。ラプトル60に直焦点でカメラを接続すると、フルサイズではケラレが出るが、イメージサークルはAPS-Cサイズには十分なのでDXクロップで撮影する。直焦点での月画像は非常にシャープで色収差は見られない。2枚玉のアクロマートレンズでこんなに良く写る。
 カメラレンズの場合、望遠レンズになるほど色収差の影響は大きく、EDレンズを使った大口径単焦点望遠レンズであってもそのレンズの最高の解像力が得られるのは絞りは開放ではなくて諸収差が最小になる1~2段絞ったあたりである、という認識が一般的ではないだろうか。一方、天体望遠鏡の場合、屈折式の望遠鏡は焦点距離が長いもの程、より色収差を少なくすることができ、口径は大きいほど分解能が高く星像はシャープに見える、という話になる。両業界の認識に光学的な矛盾はおそらくは無いのであろうが、口径や諸収差にまつわる事情は異なっているように思える。

木星
ラプトル60 f=700mm 直焦点 Nikon D850 (DXクロップ)
ISO=800 1/250秒

上の画像を拡大したもの
木星は等倍画像で直径方向に35ピクセル

土星
ラプトル60 f=700mm 直焦点 Nikon D850 (DXクロップ)
ISO=800 1/30秒

上の画像を拡大したもの
土星は等倍画像で直径方向に30ピクセル

写真用のカメラレンズと天体望遠鏡では何が異なるのか。直焦点で撮影した惑星の画像のサイズを見ると、その答えのヒントがある。700mm直焦点での惑星の像は、4600万画素のフルサイズセンサー上では僅か30ピクセル程の幅しかない。バストアップのポートレート写真という構図なら、これは瞳に写るキャッチライト程のサイズに過ぎない。カメラ用の望遠レンズなら、これだけ解像していればセンサーの画素ピッチからしても十分といえる。しかし惑星観察では、この小さな点像が出発点なのである。惑星観察ではこれを更に接眼レンズを使って大幅に拡大し、その中に縞模様やら大赤斑やらカッシーニの溝などを見つけようとしているのだから、天体望遠鏡の対物レンズにはそれはもう、果てしない解像力が求められるだろう。

直焦点撮影時の像の大きさ:月画像に同じ方法で撮影した木星・土星画像を合成
ラプトル60 f=700mm 直焦点 Nikon D850 (DXクロップ)

ラプトル60 f=700mm 直焦点 Nikon D850 (DXクロップ)
Lynkeosというソフトを使って8枚の画像をスタック合成し、
更にPhotoshopで解像度を4倍に水増し

ラプトル60 架台の交換

カメラアダプターにアイピースを入れ込む拡大撮影も試してみたが、導入やフォーカシングが困難でまともに写すことができなかった。架台の改良が必要だ。ラプトル60のドローチューブは頑丈そうでガタも無いが、1kgもあるカメラボディをぶら下げることは想定されていないに違いなく、フルサイズのD850を付けるとフォーカシングノブの操作も重くなり、光軸的にもさすがにやばい感じがする。重量の軽いAPS-C機はD3500とEOS-Mを持っているが、リモートコードや電子シャッターを使った無振動撮影をするにはD850を使うより他ない。
スコープタウンで販売されているTマウントアダプターはドローチューブにねじ込む形式で、カメラが脱落する心配の無いものだが、今回Amazonで入手したカメラアダプターはは31.7mm径のアイピースと同じように差し込むタイプのため、カメラの脱落が心配だ。

Vixen式のアリガタなど、天体望遠鏡で使われる部品は持っていないので、写真用の器具を寄せ集めて架台を組み立てる。上に乗っかっている妙な望遠鏡が目を引くが、これはベネッセの付録「月はかせ望遠鏡ムーンナビゲーター」(口径30mm 30倍)という代物で、要するにファインダーである。ラプトルの穴式ファインダーはカメラを取り付けると覗けなくなってしまうのだ。このファインダーは調整は簡単だが、がっちり固定できないのでなんとかする必要がある。

ラプトル60の鏡筒から出ている2本のM5ボルト(約8センチ幅)をチーズプレートに通し、元のナットで締める。ナットが下に飛び出してしまうので、クイックシューとクランプを挟んでスリックプレートに乗せる。それをマンフロット410ギア雲台に乗せる。

カメラの下にあるのは手動式の中華製ビデオスライダー。カメラの重量を下から支え、ドローチューブの出し入れに連動してカメラを前後にスライドさせることができる。高さの調節はベルボンSPT-1のパイプ部分で行う。

この三脚は、ジャイアントと呼ばれるジッツオのアルミ5型5段仕様のもので、7kg以上の重さががある。写真用では最大クラスの三脚だが、あちらの業界では写真用の三脚なんて屁のようなもんかもしれない。本格的な天体望遠鏡は赤道儀だけでも10kgを超え、鏡筒やカウンターウェイトなどを含めた機材の総重量は写真用機材とは桁違いだ。だが、この架台では剛性のボトルネックは三脚ではなくおそらく410雲台だろう。重心バランスもカメラ側に偏っているが、これ以上手前でマウントすることができない。このところ天気が悪く、週末は台風が接近しそうなので、次回の天体観測は来週になるかも。