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2021年10月5日火曜日

Manfrotto MVH500AH ビデオ雲台にPUTTYSを充填

「PUTTYS」はスライムのようなおもちゃだが、動きの悪いマンフロットMVH500AHビデオ雲台のグリスを抜いて、これを替わりに入れてみた。


「ゆっくり」の手法を用いて作成した動画がこちら。
(モバイル版のページをご覧の方は画面下の「ウェブバージョンを表示」で動画へのリンクが表示できます)


動画中では「プッティー」と呼んでいるが、正しい商品名は「パティーズ」である。今回は手元にあったシルバーのラメ入りタイプを使っているが、着色されていない透明なタイプもある。


今回の実験では、MVH500AHのドラッグ感が改善しているが、動画内では言及していない問題が二つある。一つはバックラッシュで、操作後にパン棒から手を離した場合に戻りが生じることだ。バックラッシュの原因は三つあり、一つはPUTTYの粘性によるもので、もう一つはドラッグが固くなったことによる三脚の捻じれによるものだ。バックラッシュの三つ目の原因は、問題の二つ目でもある。元々、MVH500AHは水平パン軸に上下方向のガタがあり、超望遠撮影時にパン操作すると上下方向に不快な揺れが生じるのだ。これがチルト操作した際に起こるバックラッシュの主な原因になっている。なお、上位のMVH502AHでも小さなバックラッシュは生じるが、ベルボンのFHD-71Qは非常に高精度に作られておりバックラッシュはほとんど生じない。ベルボンからは2017年の10月にFHD-66Aという雲台が発売されている。これは以前からあったパンとチルトのロックノブが同軸上に配置された独特な構造のプラスチック製小型ビデオ雲台「FHD-43M」「FHD-53D」をマグネシウム化したものだが、価格的にはFHD-71QNの後継と見られ、気になる品である。

2015年1月28日水曜日

しなりパン棒

こんなのは動画がご専門の方々にはよく知られた古典的な方法なのかもしれないが、俺的にはすごい発明なので、ここでひっそりとご紹介しよう。新しく手に入れたビデオ雲台、マンフロットMVH500AHを使ってみているが、オイルフルードとはいえ、パン棒を手で押して目標の位置まで滑らかに等速で動かすのはすごく難しい。滑らかにパンを行う方法として一般的に知られているのは、パン棒に輪ゴムを引っ掛けて引っ張る方法だ。輪ゴムで引っ張る方法に何か問題があるかと言われれば、とくに無い。だがしかし、輪ゴムに変わる方法を発明した。

これ、園芸用の支柱として売られている針金なのだが、程よい固さと撓り(しなり)で、パン棒の代わりに雲台へ装着すると、中々いい塩梅でパンができる。輪ゴムでパン棒を引っ張るのと同じように、針金のしなりが手で加える力のムラを小さくしてくれ、非常に滑らかな水平パンができる。

MVH500AHのノーマルパン棒。輪ゴムを使う場合は輪のままだとやや強すぎるので、輪を切って1本のゴムにしたものを、別の輪ゴムでパン棒にくっつけてある。

しなりパン棒の基部は、サインペンのふたにホットボンドを充填したもの。

反対側は針金の切り口が危ないので、ホットボンドの玉をくっつけてある。

Canon  iVIS HF M31ズーム最望遠側(35mm換算 592.5mmmm相当)で比較してみる。パン棒を手で直接押した場合、加える力のムラがもろにパン速度のムラになる。輪ゴムで引っ張る方法はもっとも滑らかだが、新開発のしなりパン棒も輪ゴム並の効果があるように思う。

マンフロット MVH500AH ノーマルパン棒

マンフロット MVH500AH しなりパン棒

  マンフロット MVH500AH ノーマルパン棒を輪ゴムで引っ張る

輪ゴムの場合、雲台に接続されているパン棒に対して、その先端を横に引っ張るという操作になる。これが複雑だとは言わないが、針金製のしなりパン棒の場合、雲台に直接接続されているので、操作がよりシンプルでリニアになる。針金の先端に掌や指の腹を当てて操作できるのも快適だ。輪ゴムのようにすぐにヘタって切れてしまう心配もなく、プラプラしている先端を探してつかむのに手間取ることもない。今回作ったものは針金の長さが40cm弱だが、長さで弾力を変えてみたり、もっと細い針金や別の素材を使ってコンパクトになるように工夫してみるのも面白い。

2015年1月19日月曜日

MVH500AH ビデオ雲台を入手

以前、ベルボンのビデオ雲台FHD-71Qの中古品を安く手に入れ、子供の行事のビデオ撮影や500mmレンズで使っていたが、ビデオ撮影した画像がなんだか全部傾いている。
今使っているビデオカメラはキヤノンのiVIS HFM31で、実はこの個体は新品時から水平がおかしくて、カメラ底面を水平にしても水平には撮れない場合がある。難しいのは現象が一定ではなく、日によっては正常な場合もあり、光学式手ブレ補正のON/OFFに関係しているのかとも思ったがそうでもないらしい。そして、このFHD-71Qに載せた場合には更に不可解な水平ズレが起こるため、よくよく調べてみたところ、FHD-71Qの雲台天面が底面に対して平行でなく、やや左に傾いていることが分かった。これでは雲台やレベリングユニットの水準器は全く役に立たず、どのカメラを載せてもパンを行うと水平が狂ってしまう。iVIS HFM31は元々手持ち時でもやや傾けて撮影する必要があり、液晶のパカパカも壊れてプランプランになっているので、次の運動会か発表会の前に、ソニーのHDR-CX535あたりに買い換えるつもりでいたが、まずはこのFHD-71Qを封印することにしよう。そういう訳で、マンフロットのMVH500AHを入手。

マンフロット プロフルード ビデオ雲台 60mm フラットベース
(13,000円新品・税込み・送料込み Mapカメラ)

500シリーズの中では最小のモデル。カウンターバランスが固定で、水平パンの固定ノブも貧弱ではあるが、写真用三脚と小型ビデオカメラでの使用を前提にこれに決定。MVH500AHの下にはレベリングベース SUNWAYFOTO DYH-66iを使用。これに似たスリックの「レベリングユニット」も持っているが、空転止めの機構が無くビデオ雲台には向かないため、そっちは410ギア雲台の下にくっつけて使っている。
 

最大耐加重は5kgで、大きめの望遠レンズを載せても一応大丈夫。Ai Nikkor ED 500mm F4P(IF)+D800Eを載せた状態(3.9kg)ではカウンターバランスは利かないが、チルトの固定のノブを少し締めれば、上下に向けた状態で静止可能。


iVIS HFM31を載せた状態。カメラが小さいので若干アンバランスに見えるが、センサーサイズの小さいこのカメラの場合、テレ側の画角が600mm相当(35mm換算)にもなることを考えると、この雲台が大きすぎるということはない。
さて、ビデオ雲台で一番大切な動きの滑らかさだが、まずロックを完全にフリーにした状態では水平パン、垂直チルトとも動き出しや停止時の引っかかりは無く、トルクも適度な重さだ。とはいえ、パン棒を素手で押して目標位置までムラ無く等速で振り切るのは難しい。この点については、パン棒に輪ゴムを引っ掛けて引っ張ることで加える力のムラを減らすことができる。水平ロックねじを少し締めこむとトルクを重くすることはできるが、動き出しと停止時に引っかかりが生じるので、スピード調整には使るものではなく、本来的にもロック用でしかない。また、水平ロックを締めこむと構図がやや上にずれるので、望遠時には少し気になるかもしれない。
垂直方向については、乗せる機材の重量と重心高がカウンターバランスと偶然一致しない限り、パン棒から手を離して静止させるためには、垂直ロックねじを締める必要がある。垂直ロックねじは、やや締めこんでも引っかかりが少ないので、カウンターバランスの埋め合わせに使えないこともないが、滑らかに動きだすには、やはりフリーにしておいた方がいい。その方が水平方向とのトルクの差も少なく、斜め方向の移動もしやすい。
雲台やパン棒は十分頑丈で、パン・チルト停止時の戻り(バックラッシュ)については、取り付ける三脚側の頑丈さやねじれに対する強度に依存するところだろう。なお、水平・垂直ともロックねじを完全に締めこんでも、コマ締めの3Way雲台のようにがっちり固定することはできないが、このクラスのビデオ雲台では、それが普通であるらしい。強く締めこめば、写真用雲台にはやや劣るものの、それなりに十分な固定力はある。