2019年11月6日水曜日

カメラ三脚用タップ

中国製のパーツに付いている三脚穴は、きちんとネジが切れていないものや、三脚ネジが途中までしか入らないものがあり、穴を掘りなおすために三脚穴用ネジ切りタップを入手した。

左が正しいもので、右は間違って買ったウィットネジ用のもの。どちらも1/4インチ20山だが、ウィットネジの山の角度は55度で、三脚に使われているUNC(ユニファイ)の山の角度60度とは異なるため、ウィットネジ用のタップは使ってはいけない。さらに、カメラ三脚用の雄ネジはUNCのボルトと同一だが、三脚穴の方は誤差を考慮してUNCの雌ネジよりもオーバーサイズになっているのが正しいらしい。代用するならば少なくともUNC規格のタップだが、ねじやパーツの組み合わせによって入ったり入らなかったりという悩みを解消するべく、迷いなく正しい穴を掘ることができるカメラ三脚穴専用タップを入手することにした。

ジャパンホビーツールが販売しているYAMAWA製のカメラ三脚用タップには「TRI」の表記があり、UNCのサイズよりも約0.2mmオーバーサイズになっている。

Amazonの評価欄を見ると、これを三脚穴の加工に使っている人も少なくないようで、こっちの安い方をはじめに買ってしまったが、これはウイットネジ用なので明らかに間違っている。

iShootブランドのD850用プレート。クランプで固定する場合は問題ないが、これの底にある三脚穴がおかしい。

ハスキー雲台のネジが2~3山ほどしか入らない。相性によってはこの穴に入るボルトもあり、マンフロットのプレートに付属している1/4ネジは入る。

AmazonでUTEBITブランドで売られているスピゴット。数個セットのうちいくつかは1/4インチネジ穴がきちんと切られておらず、ネジが入らないものがある。

ネジが傾いて切られているものもあるが、サイズがキツイだけのものは掘りなおせば修正することができる。だいたいがアルミ製のパーツなので、さほど力を入れなくても切れていく。

こちらのプレートも同じように穴を掘り直す。おそらくはカメラ用の少しオーバーサイズの穴ではなく、雄ネジと同じUNCと同一サイズで掘られているために、キツキツだったり入らなかったりするのではないだろうか。
スピゴットもプレートも穴を掘り直し、ちゃんとどのネジもスムーズに入るようになった。

2019年9月29日日曜日

汀線の小宇宙

逆光の波打ち際を歩く。足元の漂着物や死骸を弄るために、まずは手ごろな長さの枝を手に入れよう。気に入った木片やプラスチック片などをビニール袋に拾い集めながら、450メートルの人工海岸を往復する。

AF Micro-Nikkor 55mm f/2.8, ISO125 F2.8

ときどき落ちている生物の一部と思われる球形の物体。枝で弄ってみるとコロコロ転がっていく。内部に組織のようなものが入っているが、腐って死んでいるらしく、動いているものは見つからない。はじめは魚の目玉かと思ったが、ブドウの房のように球体が複数結合したものもある。強く押すと被膜が破れ、中の液体と気味の悪い組織がブニュっと出てくる。これが貝なのか生物の組織の一部なのかあるいは卵なのか。何だかわからない。

画像を拡大すると、砂粒の一つ一つや中央の青いフィルムの輪郭が克明に描写されている。
AF Micro-Nikkor 55mm f/2.8, ISO125 F8.0

ピクチャーコントロールのデフォルトの輪郭強調では解像感が悪く、現像時にはCapture NX-Dで半径を小さめにアンシャープマスクをかけるようにしているが、Photoshopのスマートシャープを使うとCapture NX-Dよりも更に解像感を出すことができる。
AF Micro-Nikkor 55mm f/2.8, ISO125 F8.0

AF Micro-Nikkor 55mm f/2.8, ISO125 F8.0

AF Micro-Nikkor 55mm f/2.8, ISO125 F8.0

AF Micro-Nikkor 55mm f/2.8, ISO160 F8.0

ウミウの死骸。前日には丸一羽そのままだったが、一晩でカラスかなにかに食い荒らされてこんなふうになっていた。
AF Micro-Nikkor 55mm f/2.8, ISO125 F8.0

AF Micro-Nikkor 55mm f/2.8, ISO125 F8.0

生物の死骸はすぐに無くなってしまうが、プラスチック容器も時間を掛けて風化していく。「美味」と書かれたタレビンは大陸から流れ着いたものだろうか。
AF Micro-Nikkor 55mm f/2.8, ISO160 F8.0

共通データ:Nikon D850, ロスレス圧縮RAW(14bit) 
Capture NX-D 1.5.0 ピクチャーコントロール:[SD]スタンダード
 輪郭強調=0.00, ミドルレンジシャープ=1.00
アンシャープマスク:RGB 80% 3% 0

2019年9月1日日曜日

Nikkor-UD Auto 20mm F3.5にて(モノクロ)

Nikkor-UD Auto 20mm F3.5(1967-1971)にて。フィルム時代はほとんどこれ一本でモノクロを撮っていた。最近では赤外線撮影にしか使っていなかったが、フィルム時代を偲んで久しぶりにこれでモノクロを撮ってみよう。伝統的には白黒写真はフィルムで撮影するが、方法を間違えなければデジカメでも撮ることはできる。撮影時にD850のピクチャーコントロールを「モノクローム」に設定するだけでいい。ついでにフィルター効果で「R」を設定する。デジカメなので露出倍数は掛からない。銀塩写真の雰囲気に似せるには、現像時にガンマを0.7程度に調整するといい。モノクロ写真が必ずしも粒状感の上に立脚しているというものでもないが、フォトショップで粒状感を追加すればそれっぽい画像を作ることもできる。









共通データ:Nikon D850, Nikkor-UD Auto 20mm F3.5
Capture NX-D

2019年8月22日木曜日

D3500の等倍画像が甘い? RAW画像をD850と比較

D3500を使い始めたところだが、どうも等倍画像に違和感がある。Capture NX-DでRAW現像時にD850と同じ方法でアンシャープマスクをかけても思うように解像感が出ず、カメラJPEGと大差ない画像になってしまう。状況をもう少し詳しく知るために、D3500とD850で同じレンズを使って比較用の画像を撮影してみた。

全体画像
焦点距離:60mm, WB=晴天(5200K), ADL:OFF, 
ピクチャーコントロール:[SD]スタンダード
ISO 100, F8.0, 1/250秒
AF-S Micro NIKKOR 60mm F2.8G ED
Nikon D3500, Nikon D850

テスト画像の撮影には、Fマウント史上最高の解像力を持つAF Micro-Nikkor 55mm f/2.8を使いたいが、D3500ではAiAFタイプのレンズは非CPUレンズと同じくMFでしか使えないので、手持ちの中では次点のAF-S Micro NIKKOR 60mm F2.8G EDを使う。この場所は三脚が使えないので、手持ちで撮影。絞りはF8、念のため位相差AFとコントラストAFで撮影しているが、ピント精度に違いは無かった。

まずはカメラJPEGの比較。D850よりもD3500の方が画素ピッチが小さいので、等倍画像ではD3500の方が少し大きく写っている。ドットバイドットの解像感には程遠く、これが普通だと言われればそうなのかも知れないが、個人的には物足りない。D3500の方が僅かに甘いように見えるが大差ないと言ってもいいだろう。
等倍画像 左:D850 右:D3500
D850 カメラJPEG(FINE)
D3500 カメラJPEG(FINE)

元々、ニコンのカメラJPEGは輪郭強調が太く等倍画像の解像感が良くないので、基本的にはピクチャーコントロールの輪郭強調は使用せずに、RAWで撮影したものをCapture NX-Dでアンシャープマスクを掛けるようにしている。


D850のRAW画像では、ピクチャーコントロールの輪郭強調をゼロにした上で、「アンシャープマスク」を半径=3, 適用量80で適用するのがベストだった。しかし、D3500のRAW画像を同じ方法で現像すると、解像感はカメラJPEGとほとんど変わらず、D850に比べるとずいぶん甘い。

等倍画像 左:D850 右:D3500
D850 Capture NX-D 輪郭強調=0 アンシャープマスク:半径=3, 適用量=80
D3500 Capture NX-D 輪郭強調=0 アンシャープマスク:半径=3, 適用量=80


D3500のRAWに対する輪郭強調の最適値を探る。アンシャープマスクの半径は3のまま、ピクチャーコントロール内の輪郭強調を少しだけ入れてやることにした。値は「1.5」


等倍画像 左:D850 右:D3500
D850 Capture NX-D 輪郭強調=0 アンシャープマスク:半径=3, 適用量=80
元サイズ画像 8256x5504pix 45.44MP 38.4MB(*D850二番目のファイルと同じ)
D3500 Capture NX-D 輪郭強調=1.5 アンシャープマスク:半径=3, 適用量=100

細部のクモリが晴れてすっきりとした印象になり、カメラJPEGでは潰れていた細部の質感が見えるようになった。ぱっと見はD850と似た感じの等倍画像に見える。しかし、D850に比べるとD3500の画像は細部の線が太く、ややギスギスした感じがある。ピクチャーコントロールの輪郭強調をゼロにしたD850の方が、細部の輪郭は上質で自然だ。D3500のRAW画像で輪郭強調とアンシャープマスクの半径を色々試し、最適値を探ってみたが、Capture NX-Dではこれ以上の成果は出なかった。

2019年6月17日月曜日

D3500 18-55 VR レンズキット入手。

物撮りや子供に持たせるのに使っていたD3100がくたびれてきた。LVレバーが固くなりアイピースの視度調整が壊れている。アクセサリーシューも少し変形していて、キットレンズの18-55VR 1型はVRが壊れている。使用には差し支え無いが、D3500 18-55 VR レンズキットの価格がかなり安くなったので乗り換えることにした。
Nikon D3500 18-55VR レンズキット
38,895円(税込):PCボンバー

D3100は撮影画質は十分だが、背面液晶の解像度の低さ(23万ドット)とバッテリー消費量の多さが問題だった。最新のD3500では撮影可能コマ数が1550コマに増加し、2010年発売のD3100(550コマ)に比べ3倍近くにもなっている。背面液晶もサイズ(3インチ)は変わらないが、D3200(2012年)以降の機種では92万ドットになっており、撮影画像を拡大してピントを確認するには十分な解像度になっている。特筆すべきはボディとキットレンズの軽量化で、18-55レンズキット比では770g→620gと150gも軽くなっている。ボディの外形寸法はD3100とほとんど同じだが、ボディの薄型化により改良されたグリップは、セールスコピー通りほんとうにしっかりと深く握れる。
ミラーレス機の台頭により、エントリークラスの一眼レフは急激に需要を縮小しつつある。望遠レンズを使った動体撮影など、当面は一眼レフシステムが向いていると言えるジャンルもあるが、次期にはフルサイズプロ機もミラーレスへシフトしていくだろう。ニコンのエントリークラスについては、EOS KISS MのようなAPS-C判のミラーレス機を期待する声もある。しかし、APS-Cサイズのセンサーを搭載したこれ程までに小型軽量な一眼レフを、非常に安価に手に入れることができる現在のFマウントシステムも決して捨てたものではない。地味に改良を重ね、円熟の域に達したD3000シリーズだが、D3500に与えられたセールスコピーは「軽くて小さい。しっかり握れる。ガイドモードで多彩な写真が簡単に。」というなんとも消極的なものだ。ミラーレス全盛のいま、一眼レフに興味を持つエントリーユーザーのこだわりを後押しするような、もう少し気の利いた売り文句はなかったのだろうか。

とりあえず、キットレンズAF-P DX NIKKOR 18-55mm f/3.5-5.6G VRの写りを見るために、軽く一回りしてきた。

36.0mm/F5.6/ISO 100/ADL:Off 元サイズ画像(6000x4000)
暗部の締まりが良く、現在のニッコールらしい写り。後ボケにとくにうるさい感じはなく、目立つ色収差もない。

35.0mm/F4.5/ISO 100/ADL:Off 元サイズ画像(6000x4000)
左の地蔵の頭部や風車の輪郭を見ると、ピント面前後の像が荒れ気味というか、ちょっと雑な感じがする。

18.0mm/F8.0/ISO 100/ADL:Off 元サイズ画像(6000x4000)
ううむ。どうなんだろう、かなり絞っているがキリキリにシャープではない。

55.0mm/F8.0/ISO 400/ADL:Auto 元サイズ画像(6000x4000)
テレ側は中央から広い範囲で割と良く解像しているようだ。

35.0mm/F8.0/ISO 400/ADL:Auto 元サイズ画像(6000x4000)
ううむ。どうなんだ、これは。こんなもんか。これが実力なのか。銀だこあたりのキレが悪い。

35.0mm/F8.0/ISO 400/ADL:Auto 元サイズ画像(6000x4000)

46.0mm/F5.3/ISO 800/ADL:Auto 元サイズ画像(6000x4000)
後ボケのハイライトが緑っぽいか。初音ミクやキティちゃんは東京属性でいいのだろうか。

18.0mm/F8.0/ISO 800/ADL:Auto 元サイズ画像(6000x4000)
中央部はそこそこ良く解像しているが、右端無限遠は滲みがある。まあ、旧大三元AF-S NIKKOR 24-70mm F2.8G EDのフルサイズワイド側端もこの程度か、あるいはこれより悪いかもしれない。これ、室内のあとでISO800のまま戻し忘れて撮っていたが、画質的にはISO100との違いは分からない。

55.0mm/F8.0/ISO 800/ADL:Auto 元サイズ画像(6000x4000)
テレ側の方が写りが良いようだ。細部の滲みはあるが悪くは無い。焦点距離全域でこれなら十分だが、ワイド側や中間域で疑問がある。

24.0mm/F8.0/ISO 100/ADL:Auto 元サイズ画像(6000x4000)
このレンズというか個体は右端の写りが悪い。まあ、Fマウントニッコールでは、高級レンズでもこの程度はあり得るし、これもどうせ基準内である。ニコン自身が最新のNIKKOR Zレンズについて「設計指針と品質管理をさらに厳格化した」と言っており、これは従来のFマウントのニッコールレンズがそうでない基準で製造されているという告白でもある。

55.0mm/F8.0/ISO 100/ADL:Auto 元サイズ画像(6000x4000)

55.0mm/F5.6/ISO 100/ADL:Off 元サイズ画像(6000x4000)
35ミリ換算82mm。さほど望遠でもないが、前ボケに望遠レンズらしい立体感がある。

18.0mm/F8.0/ISO 100/ADL:Auto 元サイズ画像(6000x4000)
無限遠よりも近接から中距離の方が周辺画質が良いのだろうか。そんな気がする。

26.0mm/F8.0/ISO 100/ADL:Auto 元サイズ画像(6000x4000)
35ミリ換算39mm相当の画角。周辺部に気になる画質差は無い。やはり無限遠よりも中距離の方が良いのだろうか。ゆがみ補正・ヴィネットコントロールとも有効にしている。基本的にはディストーションの無いレンズが高性能とは言えるが、最近のズームレンズでは周辺解像力に直結する像面湾曲やコマフレアの補正を優先した仕様のものが多く、デジタル補正が可能なディストーションを、とくにこのクラスのレンズで素の状態をチェックするのはもはやナンセンスといえる。

18.0mm/F5.6/ISO 800/ADL:Auto 元サイズ画像(6000x4000)
これWBを晴天のまま撮影した。AWBの挙動については別の機会にテストしたい。

18.0mm/F3.5/ISO 100/ADL:Auto 元サイズ画像(6000x4000)

D3500の画質で気になったことが二点ある。ひとつは、色味とダイナミックレンジ。非常に良く晴れた日だったので単に天候のせいかもしれないが、ADLがOFFの場合に思ったよりも白飛びや黒つぶれする場合が多く、ADLをONにしなければならない場合が多かった。D3500のADLはデフォルトがONになっているので、もしかすると常時ONが適しているのかもしれない。二点目に気になったことは、細部の解像感だ。D850で撮影したRAW画像をCapture NX-Dで現像する場合、ピクチャーコントロールのデフォルトでは等倍での解像感があまりよろしくない。だから、個人的には現像時にピクチャーコントロールの輪郭協調をゼロにした上で、アンシャープマスクを半径=3・適用量=80で適用するのを基本にしている。ところがD3500のRAW画像を同じ方法で現像すると、等倍画像での細部の解像感はピクチャーコントロールのデフォルトの場合とほとんど変わらず、むしろ違いが分からない。そして、D3500のカメラJPEGもほぼ同じ感じだ。別の言い方をすると、D3500のピクチャーコントロールの輪郭強調は、今までに使ってきたニコンの機種よりも、細部の解像感を引き出すのにより好ましいチューニングになっているように思う。ただし、個人的にはこのシリーズの2400万画素機は初めてなので、ローパスありだったD3200(2012年 Expeed3)、ローパスレスになったD3300(2014年 Expeed4)・D3400(2016年 Expeed4)・D3500(2018年 Expeed4)のどの段階からなのかは分からない。なお、今回撮影した画像は期待した解像感にはちょっとなんだか明らかに達してはおらず、これがAF-P DX NIKKOR 18-55mm f/3.5-5.6G VRレンズのせいなのかどうなのかについては、別のレンズを使って改めて確認する必要がある。