2020年12月25日金曜日

Cokin ハーフNDフィルター

以前、Amazonで試しに買ってみた安い角形NDフィルターキットが面白かったので、もう少し質の良いものを購入することにした。中華製の激安プラスチックフィルターのセットはNDフィルターの質が悪く、色被りに加えコントラストが低く曇ったような白っぽい画像になってしまい、実用はもちろん実験用にもちょっと厳しい。グラデーションNDフィルターにはガラス製の高価なものもあるが、個人的にはこの手のものをガチで使う気はないので、安価なプラスチック製のものにしよう。Cokin製なら大丈夫だろう。
Cokin フィルターアクセサリー Pシリーズ ワイドアングルフィルターホルダー P299
1,600円(税込:ビックカメラ)
Cokin フィルターセット Pシリーズフィルターキット グラデーションNDキット P_H300-02
5,318円(税込:Amazon)

グラデーションND(ハーフND)フィルターは、ハーフND2(1段)、ND4(2段)、ND8(3段)の3枚がセットになっている。レンズのフィルター径に合わたアダプターリングは、以前に購入した中華製セットのものが、CokinのMサイズ(Pシリーズ/84×100mm)用のホルダーと互換性がありそのまま使える。中華製セットにも角形フィルターを3枚挿入できるタイプのホルダーが付属しているが、NIKKOR Z 24-70mm f/4 Sのワイド側ではプロテクターを外してもケラレが出るので、Cokin製のワイドアングル用のホルダーを購入した。

左:中華セットのホルダー
右:Cokin製 ワイドアングルフィルターホルダー

中華セットのホルダーは、Cokinの3枚挿入タイプのホルダーをコピーしたもののようだが、右のCokin製(Made in France)のものの方が、プラスチックの質や成型具合などは上等だ。
中華セットはこの商品。同梱のフィルターは実用には厳しいが、ホルダーとアダプターリング9枚(49/52/55/58/62/67/72/77/82mm)の価格と考えても十分安い。

ハーフND8(3段)使用実験

ハーフND8(3段)使用
Nikon Z7II,NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

影の部分に露出を合わせたもの

明るい部分に露出を合わせたもの

RAW現像時にCapture NX-Dで暗部を持ち上げたもの

CokinのハーフND8を使用したものはマゼンタっぽく色被りしている。フィルター無しの色調に合わせるには、グリーン・ブルー方向に補正してやる必要があるが、安物中華フィルターのように白っぽくなってコントラストが落ちるようなことは無く、解像力の低下も感じない。4枚目の画像は、フィルター無しで明るい方に露出を合わせた画像を、RAW現像時に暗部を持ち上げてみたもの。ハーフNDを使うかどうかは好み次第といったところか。

ハーフNDの濃度について


これ、右半分にNDを掛けてみる実験だが、ND8では濃すぎるようだ。濃度が適切でないとこんなふうになってしまう。


 

2020年12月24日木曜日

Z7IIとD850の彩度は同じ

Z7IIで初めて撮った画像が、D850を使ってきた感覚からすると、同じピクチャーコントロール[SD]なのにどうも彩度が低い気がした。この画像を見ると、青空が薄い気がするし、銀杏の葉はもっとずっと黄色く出る気がするし、赤茶色のビルももう少し派手に出る気がする。
Nikon Z7II,NIKKOR Z 24-70mm f/4 S
ピクチャーコントロール[SD]スタンダード(カメラJPEG)
アクティブDライティング=OFF
ホワイトバランス:5000K, ISO=64, F4.0 1/400秒  

Adobe Lightroom Classic
カメラプロファイル「カメラ標準」

Z7IIのRAWをLightroomのカメラプロファイル「カメラ標準」で開くと、青空は同じだが、カメラJPEGよりも銀杏の葉の黄色が濃く、赤茶色のビルも色が濃い。これならこれまでのニコンのSDに対するイメージとの違和感は無い。なので、Adobeのカメラ標準は以前からの[SD]スタンダードを模しており、ニコンの新しいピクチャーコントロールでは彩度が変更されているのではないかと疑った。ただ、Adobeの「カメラ標準」はニコンの[SD]スタンダードを模してはいるが、カメラJPEGやCapture NX-Dと発色が同じとは言えず、青空や枯葉などはニコンの純正画像よりも少し原色寄りで鮮やかに見える傾向が以前からあり、Z7IIの彩度が低いと感じるのが気のせいかどうかを判断するには、Z7IIとD850で同じ被写体を撮り比べてみるしか方法がない。

というわけで、有休を取り朝イチからD850とZ7IIの2台を持ち出して、同じ条件で撮影した画像を比較してみる。

結果、ほぼ同じだ。

共通データ
AF-S NIKKOR 50mm F1.8G
ピクチャーコントロール[SD]スタンダード
アクティブDライティング=OFF
ホワイトバランス:5000K

Z7IIは、Z7から画作りの変更は無いはずで、Z7/Z6の発売からもだいぶ経っているが、彩度が低いという話も聞いたことが無く、世界中の人にとってはこの結果は当たり前なのだが、自分が納得するには自分で確かめてみるしかない。

2020年12月22日火曜日

Nikon Z7II+NIKKOR Z 24-70mm f/4 Sにて(渋谷スカイ)

Nikon Z7IIとNIKKOR Z 24-70mm f/4 Sの試し撮りをしよう。「渋谷スカイ」は要するにビル屋上にある展望台だ。展望台のWebチケットを購入し、ついでにCokinの角形フィルター用の「ワイドアングルホルダー」が欲しかったので渋谷のビックカメラに取り置き予約してから出発。

(Capture NX-D 露出補正:-0.56, シャープ:半径=2, 適用量=100)
(Photoshop ACR:露光量:-0.5, シャープ=68, ノイズ低減=69, カラーノイズの低減=25
スマートシャープ:量=500%, 半径=0.4px, 除去=ぼかし(ガウス))

NIKKOR Z 24-70mm f/4 Sの画質について

元サイズの画像を全部リンクすると大変なので一部の画像だけリンクした。「NIKKOR Z 24-70mm f/4 S」の画質については「周辺部までシャープだ」と言われているが、自分の目で確かめてみる。メーカーが言うように、確かにズームの焦点距離にかかわらずワイド側からテレ側まで周辺部はシャープで、画面中央部との解像力の差は小さい。細部の解像は、一見線が太目に見えるがちゃんと解像していて、細部の雰囲気は従来のFマウント単焦点レンズ「AF-S NIKKOR 50mm F1.8G」や「AF-S NIKKOR 35mm F1.8G」と似ている。それらのFマウント単焦点レンズの周辺解像力については、ある種のあきらめを持って評価せざるを得なかったが、「NIKKOR Z 24-70mm f/4 S」は良像範囲が広く、少なくとも画面の水平方向については端から端まで問題は無く、対角方向の四隅でも解像力の低下は実用上無視できる範囲であるように見られる。
 なお、Z7IIのカメラJPEGはD850よりも解像感があり、カメラJPEG生成時の輪郭強調の半径がD850よりも小さく設定されているように思える。Z7IIのRAWファイルをCapture NX-Dに読み込ませ、カメラJPEGを上回る解像感にするためにシャープのパラメータを探ったところ、ピクチャーコントロールの輪郭強調をゼロにしたうえで、シャープのパラメータは半径=2・適用量=100程度にするのが適当なようだ。この値は、D850で「AF Micro-Nikkor 55mm f/2.8」などの最もシャープなFマウントレンズを使った場合と同程度だ。上の3つ目のダウンロードリンクは、Photoshop(Adobe Came Raw 13.1.0.658)でRAWファイルを読み込み、スマートシャープを適用したものだ。ここまでやるとシャープを掛けすぎかもしれないが、交差点を行き交う人々と長い影が克明に浮かび上がり、興味深い画像になった。Capture NX-Dでもこのくらい出来たら良いのに、と思う。なお、この画像は室内展望フロアからガラス越しの撮影である。


Z7II ピクチャーコントロールの彩度について

ピクチャーコントロールは[SD]スタンダードを使っているが、Z7IIの[SD]スタンダードはD850の[SD]スタンダードの感覚からすると彩度が低いように見える。Z7IIは、Z7から画作りの変更は無いはずなので、彩度が変わったとしたらExpeed 6からということになるが、Expeed 6の説明には彩度の変更などといった情報は無く、Z7/Z6の発売からもだいぶ経っているが、彩度が低いという話も聞いたことが無い。Z7IIの彩度が低いように感じるのは気のせいだろうか? Lightroomのカメラプロファイル「カメラ標準」でZ7IIのRAW画像を開いてみたところ、カメラJPEGよりも彩度が高く表示され、ここでの違和感はない。ただ、Adobeの「カメラ標準」はニコンの[SD]スタンダードを模してはいるが、カメラJPEGやCapture NX-Dと発色が同じとは言えず、青空や枯葉などはニコンの純正画像よりも少し原色寄りで鮮やかに見える傾向が以前からあり、Z7IIの彩度が低いと感じるのが気のせいかどうかを判断するには、Z7IIとD850で同じ被写体を撮り比べてみるしか方法がない。

自動ゆがみ補正について

Nikon Z7IIとNIKKOR Z 24-70mm f/4 Sで撮影したRAW画像を最新バージョンのCapture NX-D(1.6.4 Mac)で現像した場合、自動ゆがみ補正が適用されない場合がある。このレンズは、カメラ側の設定やCapture NX-D内では自動ゆがみ補正を任意で「非適用」にすることができない仕様だと思うが、ズームの50mm~テレ側70mmで撮影したものは、ゆがみ補正が適用されない(あるいはカメラJPEGとは適用量が異なる?)画像が出力されてしまうようだ。なお、Lightroomの場合もレンズプロファイルによるゆがみ補正の有効・無効は選択できず、「内蔵のレンズプロファイルを適用しました。Nikon Z 7 2 NIKKOR Z 24-70mm f/4 S この RAW ファイルには、ゆがみ、色収差および周辺光量補正用の内蔵されたレンズプロファイルが含まれています。 プロファイルは既にこの画像に自動で適用されています」と表示され、やはりゆがみ補正を任意で非適用にすることはできない。Lightroomで出力された画像を見ると、カメラJPEGとのズレはほぼ無いので、カメラJPEGとLightroomでは自動ゆがみ補正が効いているとみられる。










展望台のあるビル(渋谷スクランブルスクエア)。絞りF4開放ながら、周辺部まで見事な解像力。







ワイド側の画像だが、完全な逆光で太陽がフレーム内に入っているものの、暗部にコントラストの低下は見られず、素晴らしい逆光耐性と言える。僅かなゴーストが見られるが極めて優秀な部類だろう。なお、このレンズにはプロテクター(HAKUBA XC-PRO 72mm 反射率0.3%)を装着している状態なので、フィルターを外せばゴーストの数は減る可能性がある。

テレ側の画像。こちらも見事なコントラスト。



共通データ:
Nikon Z7II,NIKKOR Z 24-70mm f/4 S
Capture NX-D 1.6.4(Mac)
ロスレス圧縮RAW(14bit)
ピクチャーコントロール:[SD]スタンダード
彩度+1 輪郭強調=0
シャープ:半径=2・適用量=100

おまけ:木星と木星が大接近している
スコープテック ラプトル60 f=750mm 直焦点
Nikon D850 ISO1600 1/2秒(中央部をクロップ)

現在、木星と土星が大接近していてこの日は最接近日だった。方角的に隣のビルに隠れてしまい、自宅からの観測はあきらめていたが、ちょっとだけ見えたので急いで撮影した。高度が低くシーイングが悪い。像がぼやけていて土星の環が見えないが、木星と土星非常に接近している珍しい現象をこの目で観測することができた。

2020年12月18日金曜日

Nikon Z7II入手

Zシステムが最初に発売された頃は、D850を使いはじめてからまだ1年程しか経っておらず、とても買えるタイミングではなかった。Zマウントレンズの光学性能が画期的に進歩していることを知ったが、Zマウントレンズは高価なZボディにしか付かないので、この2年間はずっと指をくわえて我慢していたのであった。しかしながら、今年のZ7IIの発表とともにZを手に入れる決心をした。 

Nikon Z7II(¥358,380)
NIKKOR Z 24-70mm f/4 S(中古:¥49,800)
NIKKOR Z 50mm f/1.8 S(¥74,250)
マウントアダプターFTZ(中古:¥26,800)
マップカメラ

 Z7IIボディと同時に「NIKKOR Z 50mm f/1.2 S」が発表されてしまったが、これはちょっと手が出ない。Zマウントで一番欲しかったレンズは「NIKKOR Z 50mm f/1.8 S」なので、今はこれでいい。2018年のZマウントが発表される少し前、Fマウントの「AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VR」を買ったものの、あまりの光学性能の悪さに大いに落胆した経験を持つ自分にとっては、「NIKKOR Z 24-70mm f/4 S」も是非とも欲しいレンズだった。Zの24-70はF2.8バージョンも発売されているが、自分が24-70ズームに最優先で要求するのは周辺画質だ。開放から1~2段絞ったあたりで周辺まできちんと写るのであれば大三元クラスは必須ではない。この焦点域で大きなボケが欲しければ、更に明るい単焦点レンズを使えばいいという考えだ。コンパクトなNIKKOR Z 24-70mm f/4 Sは、F8あたりで風景を撮る用途にはもってこいの仕様である。なお、Z7IIにはレンズキットが用意されておらず、「NIKKOR Z 24-70mm f/4 S」と「マウントアダプターFTZ」は中古品を注文し、ちょっと不安はあったが、届いたのはほぼ未使用と見られるきれいな品だった。出番のほとんど無いFマウントの「AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED」を下取りに出したら¥88,500で買い取ってもらえたのでマップカメラに感謝。

おまけ:月と木星と土星が接近していた
Nikon D850, AF-S NIKKOR 200-500mm f/5.6E ED VR
f=200mm ISO1600 F8 1/2秒