2009年11月28日土曜日

紅葉の色

俺はどちらかと言えばモノクロ専門なので、カラー写真の厳密な色味の調整にはあまり興味はない。5年以上使っている液晶ディスプレイもコントラスト比の低い安物だし、キヤノンのインクジェットプリンタも染料インクのうえ、エレコムの詰め替えインクを使用、用紙も非純正の画彩バリューだ。とても正確なカラーマネジメントができる環境ではない。画像の再生時の色味を、実際に被写体が放っている光線の分光特性とできるだけ一致させることはきっと、カラー写真の技術的使命だ。だが、俺のような用途では、人間の感受性において、だいたいそれっぽい色に見えさえすれば十分である。仮に肉眼の印象とは異なる変な色(蛍光灯や水銀灯の緑カブリなど)になったしても、それがフィルム、あるいはデジカメの感色特性なのであれば、画像生成の細部手順にいちいち主観を介在させることなく、それを受け入れることもまた、行為として、いかにも写真らしいと思うのである。
そんな俺でも気になってしまったのが、D700で撮った紅葉の色だ。ピクチャーコントロールはいつもSD(スタンダード)で使っているが、これだともみじの濃い赤色がオレンジ色になってしまうのだ。季節によっては有り得る葉の色だけに、写真だけ見ると色の違いに気づかないだろう。露出を少しアンダーにしてみたが、色味は変わらずに暗くなるだけだ。このカメラはこの色が苦手なのか。そう思いつつも、これまで使ったことのないLS(風景)というのを使ってみたところ、葉の色が紅く良い色になった。





Nikon D700, Nikkor-S Auto 35mm F2.8, AF Zoom Nikkor 80-200mm F/2.8s ED
ISO200-800 ピクチャーコントロール LS
撮影場所:青海南ふ頭公園

ベタであるが、こういういわゆる風景にはLS(風景)が向いているのか。ふうん。LS(風景)は彩度もコントラストもかなり強調され、ハイライトも白飛びやすくなる。RAW現像時にもピクチャーコントロールや露出などのパラメータ変更をすることが出来るが、多くのファイルを一括変更すると、ファイル更新に異常な時間がかかる。俺の場合、RAW現像はシャープなJpegファイルを出力することだけが目的なので、現像パラメータの変更は一切したくない。だから、ピクチャーコントロールはカメラ側で撮影時に指定するべきだろう。
原色フィルターのベイヤー配列センサーは、青と緑、緑と赤の中間色は再現できるが、隣り合ったセルがない赤と青の中間色は原理的に補間できないことになる。多くのデジカメがすみれ色や紫の再現を不得意とする所以である。機会があったら3CCDのビデオカメラのスチル画像と比較してみるのも面白いかも知れない。

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