2020年10月2日金曜日

ラプトル60で天体観測

今回の「ラプトル60で天体観測プロジェクト」で購入したパーツが全部届いた。ラプトル60の性格に合わせ追加パーツは廉価なものを選んだが、地味に金額が重なって合計では中々の費用になってしまった。前回までは架台や手動の微動装置をあれこれ工夫したりしたが、実はSky-Watcherの自動導入経緯台「AZ-GTiマウント」が当初から計画に含まれていた。これでパーツが揃ったので手動の微動装置はおしまいだ。

スコープテック「ラプトル60」+Sky-Watcher 「AZ-GTiマウント」


パーツ明細

マクロ雲台は手動式の微動装置やカメラ台に流用しようとしたが、うまく使えなかった。M12の長ネジやナットも一応用意したが、ラプトル望遠鏡は軽いので、経緯台モードで使う限りバランスウェイトは必要無いように思う。

Sky-Watcher AZ-GTiマウント



AZ-GTi 用エクステンションピラー


自動導入経緯台のAZ-GTiマウントは、赤道儀としても使うことができるファームウェアが提供されている。メーカー的にはこの製品は観望用という位置付けのようで、天体写真撮影を想定した性能は保証しない、という条件でこのファームウェアは提供されている。だが、実際には短時間の長時間露光(?)でなら写真撮影にも十分な性能はあるらしい。AZ-GTiマウントは弄り始めると奥が深いようで、PHD2というフリーウェアとガイドカメラを使ってオートガイドをする方法や、分解してモーターギアのギャップを切り詰め、バックラッシュを無くす方法など、ユーザーによる多くの情報がYoutube上で公開されている。そうなると、近いジャンルで一軸の「ポラリエ/ポラリエU」や「スカイメモS/スカイメモT」などに比べ、AZ-GTiマウントは機能や拡張性という点でもこちらの方がずっと面白く、耐荷重も5kgであり価格面でも割安感がある。それらの理由からだろう、天文業界では一家に一台と言われる程、このAZ-GTiマウントは重宝されているという。
上の写真ではAZ-GTiマウントの左側に望遠鏡を取り付けているが、経緯台・赤道儀のデュアルモードに対応するファームウェアに更新した場合、経緯台モード・赤道儀モードとも望遠鏡は右側に取り付ける形になる。今日現在、最新のファームウェアは「Firmware: AZGTi Mount, Right Arm, AZ/EQ Dual Mode, Version 3.26 (08-09-2020)」が配布されているが、これを入れてみたところSynscanアプリから速度9で動かした際の動きがおかしいようで、途中で止まってしまったり、それ以下の速度でもモーターが止まらなくなったり、アライメント後初回の導入操作はできるが二度目でハングアップするなど、どうも様子がおかしい。Sky-Watcherのサポートページから、一つ前の「Firmware: AZGTi Mount, Right Arm, AZ/EQ Dual Mode, Version 3.20(30-08-2019)」がダウンロードできたので、祈る思いでこれを入れてみたところ、同じ不具合は出ないようでほっとした。
赤道儀モードで使うには、これを傾斜させて三脚に取り付けるための工夫や、バランスウェイトなどが必要になるが、なにぶん素人なので、当面は経緯台モードだけで使おうと思う。

スコープタウン HSRA6063/鏡筒バンド(鏡筒外径63mm用・二本一組)
Vixen アタッチメントプレートWT


これ、スコープタウンでは組み立てたものが販売されているが、僅かに安くするために鏡筒バンドだけ注文し、プレートはAmazonで購入した。鏡筒バンドにはM6のノブ付きネジが付属しているが、VixenのアタッチメントプレートWTにもM6の六角穴付きボルト2本が付いていたので、ノブ無しの方で組み立てた。ノブ付きネジを使うとAZ-GTiマウントに干渉することが分かり、結果的にこの注文方法で正解だった。

スカイメモS用 ・ T用ショートプレート U1/4ネジ

AZ-GTiマウント側はVixen式のクランプなので、これをくっつければカメラ用の雲台やプレートが付けられる。海外の動画を見ると、AZ-GTiに緑色のこういうのをくっつけているのを見かけるが、どうも日本では販売されていないようなので、ケンコー・トキナーショップでスカイメモS用のものを入手。

スコープテック オルソスコピック/PLタイプ アイピース 31.7mmサイズ

左から3つはラプトル60に付属している「差し込みサイズ変換アダプター 24.5-31.7mm」「接眼レンズ K20」「接眼レンズ F8」。一番右が別売の「オルソスコピック/PLタイプ アイピース 31.7mmサイズ」。Amazonで売られている安価なSVBONY製のアイピースセットや広視野のものも検討したが、スコープタウンで販売されている6mmアイピースが良いらしいので、これを入手。

Astromania バローレンズ 1.25インチ 2倍

こういう形状のバローレンズはAmazonでたくさん見つけることができるが、この価格帯のものはレンズ構成が明記されているものはほとんど無く、評価を見ると一枚玉であることが多いらしい。この商品には「3エレメントアポクロマートレンズ、優れたシャープネスと色補正」という表示があり、本当かどうかは分からないが他の商品よりも良さそうだったのでこれにした。

現物を見たところ、金物としては十分な精密感だ。レンズは三枚玉かどうかは分からないが一枚玉では無いようには見える。真ん中の銀色の筒は内側にギザギザがあり内面反射は無いが、他の部分の内面反射がひどい。アイピースを挿入する筒の内側がテカテカで、直焦点でカメラをくっつけて風景を覗いたところ、センタースポットと全体にすごいフレアが出る。スコープタウンの6mmアイピースはきちんと内面反射防止処理がされているので、このアイピースの筒部分を外してこのバローに差し込んでおけば内面反射の一部は無くせる。上の矢印部分2か所にも黒の紙テープを張った。これでセンタースポットが消え、コントラストも良くなった。もう一か所は、レンズのコバが塗られておらず、筒を覗くとレンズのコバ部分が露骨に光っている。惑星を覗くには不具合は少ないかもしれないが、前方からカニ目で外せそうなので、分解して塗ってしまえば更に良くなる気がする。天体望遠鏡用のバローレンズという物を見たのはこれが初めてだが、風景を覗いた感じやカメラレンズ用のテレコンと比較した感じでは、元の像がそのまま素直に大きく暗くなるだけなので、レンズ自体はそう悪くない気がする。

やはり塗ろう。レンズを取り出す。

側面をマッキーで塗る。レンズは貼り合わせの3枚玉だった。最前面と最後面の反射光は緑色で、一応マルチコートのようだ。

他の光る部分にも黒テープを貼る。内面反射はこれでほぼ大丈夫。


ANQILAFU 携帯電話のアダプタマウント


これ、最初の状態ではアイレリーフの調整やドローチューブへ取付けようとした際に都合が悪かったので、L字の金具とカメラネジ2個を追加してある。滑り止めのゴムもすぐに剥がれてしまったので、百均の強粘着ゴムタイプの両面テープで張りなおした。構造上、使い心地はかなり悪く、眼視の際にはもちろん邪魔になる。スマホレンズの位置合わせが難しく、被写体を見失って眼視で導入しなおす場合や、アイピースを取り換える度に、いちいちスマホを取り外さなければならず、何度もスマホレンズの位置合わせをする羽目になる。これはもうちょっと工夫が必要だろう。

火星

火星 2020年10月2日 3:01

ラプトル60+2倍バーローレンズ+F.8mmアイピース(175倍)+天頂ミラー
AZ-GTi経緯台モードで追尾しiphone 6sでコリメート撮影
4K/30FPS 30秒間の動画フレームからLynkeosソフトウェアで縦横2倍サイズに引き伸ばして画像スタック(約1800フレーム)、1200x800サイズで切り出し

天気の悪い夜がもう一か月程続いていたが、やっと晴れた。満月の左下に火星が輝いている。時刻は午前3時前の西の空、かなり高い位置だ。天頂ミラーを使ったが上階のベランダを避け姿勢を低くしなければならず、相当無理な体勢で長時間頑張った。スマホホルダーの位置合わせが無茶苦茶に大変で、この後、脚がしびれて大変だった。この後すぐに寝た。夕方から深夜までAZ-GTiの赤道儀モードをずっと弄り続け、思うように動かず苦労して疲れていたのだが、夢でもずっとまだそれをやっていた。

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