2009年12月21日月曜日

Ai Micro-Nikkor 200mm F4 IFのテスト

フリーマーケットのダンボール箱から救出した、Ai Micro-Nikkor 200mm F4 IFをD700に付けて持ち出してみた。前玉のコーティングがカビでひどくやられているが、表面が乾いている状態では透明だ。前玉に小さな引っ掻きキズがいくつもあるが、望遠レンズなのであまり影響はないようだ。救出時は、前玉周囲の丸い染みをバルサム切れだと思っていたが、レンズ構成図を見ると最前面のレンズは単レンズだった。レンズクリーナーや雨滴などの水分が浸入して円弧状に染みになったものなら、分解して拭き取ることができればもう少しマシになるかもしれない。今回試してみたところ、現状でもカビやキズによる影響は感じられず、モノコートのEL-Nikkor 80mmF5.6よりはヌケがいい。結局のところ、十分まともに写る。
逆光時にはフレアが見られるが、カビ跡ののせいではなくて、元々こういう性能だと思われる。内蔵レンズフードはほとんど効果がないが、ハレ切りすると効果がある。

Nikon D700/ Ai Micro-Nikkor 200mm F4, F4
逆光時 内蔵レンズフードのみ

Nikon D700/ Ai Micro-Nikkor 200mm F4, F4
逆光時 内蔵レンズフードに手のひらでハレ切り

画面全体に空を撮影し、周辺光量をチェックする。開放では周辺光量落ちが見られるが、良い方だと思う。完全に均一になるのはF11から。


各絞りで撮影した画像を比べてみる。F4開放では甘く、絞ると良くなるが、シャープネスの最良範囲はF8~16の間。F22からは絞り過ぎで甘くなる。

全体画像(撮影距離:約15m)

中央部分を拡大(クリックで拡大画像)
このレンズ、マクロレンズなので仕方が無いと言えばその通りだだが、遠景の描写がとても悪い。このレンズは、1978年に発表されたマイクロニッコール初のインナーフォーカスタイプだが、遠景撮影時の性能はどうやら考慮されていない。設計上の基準倍率は不明だが、ピントリングに倍率表記のある1/10倍~1/2倍(約2.5m~0.71m)の間が、適正な撮影距離の範囲なのではないだろうか。無限遠では周辺部のぼやけがひどく、絞っても改善されないので、遠景では実用的ではない。

遠景のテスト。Nikon D700/ Ai Micro-Nikkor 200mm F4, F11
撮影距離:約45m

遠景中央部の拡大
モヤっとしてあまりシャープではない。

遠景右下角の拡大
こりゃちょっとひどい。カビのせいではなく、こういう性能だと思う。
F8 撮影距離 約1m

F8 撮影距離 約5m

F8 撮影倍率:1/2倍

F8 撮影倍率:1/2倍

F4開放時。点光源の後ボケ輪郭に、
前玉周囲の染みやカビ跡が写り込んでいびつな形になっている。


後ボケの点光源の輪郭には、前玉周囲の染みがモロに影響していて、見事にヘンなガタガタの形になっている。もちろん、近接撮影では十分にシャープな画像が得られるが、抜群かといえばそこまでのものは感じない。だが、このレンズの魅力が価格だけかというとそうでもなく、55mmや60mmよりもワーキングディスタンスが長くとれる点については利点だろう。俺は虫の撮り方は知らないが、このレンズなら虫が逃げない気がする。

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