以前、D700+Ai Micro NIKKOR 55mm F3.5+ベローズPB-5+スライドコピアPS-5で135判フィルムを複写しようとしたところ、像面湾曲が原因と思われる周辺部の画質低下のせいで使 うことができなかった。そろそろフィルムスキャナを買おうとは思っているが、AF-S Micro NIKKOR 60mm F2.8G EDで、近接撮影時の像面湾曲が補正されているか確かめるために、フィルムを複写してみた。
AF-S Micro NIKKOR 60mm F2.8G EDは単体で等倍までいける。本来ベローズ用のスライドコピアPS-5をレンズ先端に直結する。PS-5のレンズ側には52mm径のフィルタースレッドに取り付けるためのクリップがある。
レンズ側から、マルミDHG保護フィルター62mm、マルミ ステップダウンリング62mm-52mm、PK-4リング(10mm)、ニコン スライドコピアPS-5の順で取り付ける。倍率1:1でちょうどピントが合う。微調整はレンズ側のピントリングで可能。PS-5にネガやスリーブフィルムをはさむ場合はこれで良いが、マウントされたスライドフィルムを入れる場合は距離が近すぎるので、52mmか62mmのフィルターを1~2枚入れる必要がある。
F2.8開放でテストしたが、周辺部でもきちんと粒子が写っており、F11程度まで絞れば、画面全域で極めて良好に複写することができる。ただし、本当にきっちり等倍なのでコマを合わせるのが難しく、ライブビューでフレーミングしたが、上端にスライドコピア枠のかげりが出てしまった。もうほんの少し倍率を上げたいところだが、レンズ側に絞り環の無いGタイプレンズのため、PKリングやベローズは使用できず、また、それらが使えたとしても倍率が高すぎる。ACクローズアップレンズを使う方法も考えられるが、ピントリングの位置が変わってしまい、せっかくの近距離補正が十分働かなくなると思われ、周辺画質がどうなるか疑問だ。いずれにせよ、このレンズではフィルムの複写などの使い方は想定されていないに違いない。
ここでひとつの疑問が起こる。F時代のベローズPB-5+スライドコピアPS-5を使用する際に、本来想定されていたレンズは何だったのだろうか。マイクロではない標準レンズでは像面湾曲と樽型の歪曲がひどく、等倍での撮影は無理だ。この時代のマイクロといえば、1/2倍タイプの55mm/F3.5に違いないが、俺が使ったAiタイプとレンズ構成は変わらないはずなので、周辺画質に同様の問題があるはずである。このベローズとスライドコピアを入手した際に、L39マウント仕様に改造されたBR-2リングと共に、EL-Nikkor 80/5.6が装着されていたのを不思議に思ったが、実はこういったベローズ取付型のスライドコピアを使用するためのFマウントニッコールは存在しないのではないだろうか。Ai Micro-Nikkor 55mm F2.8Sの場合、ベローズを使わないタイプのスライドコピーアダプターES-1が用意されている。おそらく、ベローズの最短がPK-13よりも厚く、等倍にするにはピントリングを無限遠方向へ多少戻さなければならず、ベローズ取付型のスライドコピアでは、近距離補正が十分働かずに周辺画質を確保できないため、このようなアクセサリーが別途用意されているのだと思われる。スライドコピーアダプターES-1はマウントされたスライド専用で、スリーブやネガフィルムをはさむことは出来ない。
ここでひとつの発見が。Ai Micro-Nikkor 55mm F2.8Sの場合、「接写リングPK-13やテレコンバータTC-201を装着すれば、等倍までの近接撮影が可能」とある。まさかとは思うが、近距離補正の無い55/3.5で等倍撮影する際はPK-3やPK-13ではなく、テレコンを使うことで、像面湾曲の出るごく周辺部を捨てて画面全域で良好な画質を得ることが可能なのではないか。
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