2025年6月12日木曜日

Olympus PEN-F用 F.Zuiko 38mm F1.8(1963)

Nikon Z50IIとZuiko 38mm F1.8についての動画を作成した。




Nikon Z50IIは、NIKKOR Z 180-600mm f/5.6-6.3 VRを付ければ軽量な野鳥撮影セットになると考えて手に入れたが、それ専用というのももったいない。PEN-F用のレンズは、以前EOS-Mに取り付けて使っていたが、フランジバックの短いZマウントにも原理的には取り付けることができるはずだ。フルサイズのZ9を使っている限りでは、PEN-F用のレンズを取り付けることはまったく思いつかなかったが、DX機のZ50IIを手に入れて、PEN-F用のレンズを取り付けることを思いついた。DXレンズは、キットレンズのNIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VRだけ持っている。このレンズは写りはシャープだが、明るいレンズではないため表現がパンフォーカスに制限されてしまうのが窮屈だ。フルサイズの標準ズームは、NIKKOR Z 24-70mm f/4 Sを持っているが、これも解放F4のボケ量では背景の整理も限定的で、Z9に付けて散歩に持ち出すのはもっぱらNIKKOR Z 50mm f/1.8 Sの方になっている。そういうわけで、Z50IIにも明るい単焦点標準レンズが欲しくなる。廉価な中国製のものであれば、TTArtisan 35mm f/1.4 C7artisans 35mm F1.4 Mark IIPERGEAR 35mm F1.4(フルサイズ対応)TTArtisan AF 35mm F1.8 II APS-C (AF対応)、のようなものを見つけることができるが、ことレンズに関しては、新興中国メーカーの物に対しては、どうにも薄っぺらで即物的なイメージしかなく、まったく使う気がしない。時間や気持ちに余裕がある人であればチャレンジしてみるのも悪くはないだろうが、少ない時間を大切にしたいのであれば、国産ズイコーのオールドレンズのように、いかにも魂がこもったレンズを使いたいものである。
動画中でも触れているが、この F.Zuiko 38mm F1.8(1963)は放射能レンズである。動画中で測定しているのはアルファ線やベータ線も含めた線量のため多めの測定値になっているが、ガンマ線だけを測定するフィルターに切り替えた場合、0.5マイクロシーベルト毎時程度の値であった。なお、このレンズをZ50IIに装着し、キャップをした状態でISO25600・30秒間の露光を行ってみたが、放射線によるノイズやカブリの発生などの影響は見られなかった。

動画中で使用した画像(一部割愛)





























2025年3月15日土曜日

スーパーイコンタ(6x9)にて

 このイコンタは一年程前にメルカリで手に入れた物で、動作良好との説明だったが当然のようにインチキだった。シャッターの係止が出来ず、レンズボードにはレンズがきちんと固定されておらずグラグラしている状態で、とても撮影できる状態ではなかった。

ZEISS IKON Super Ikonta 530/2(1934)
Carl Zeiss Jena Tessar 10.5cm F4.5


一度修理を試みたが、シャッターを分解するのには躊躇があり、しばらく寝かせてあった。その後、前回修理したWelta Parleのシャッターがこれとほぼ同じで、どうにか分解組立できることが分かったので、このイコンタの修理にも取り掛かることにした。
問題は、シャッターをチャージした後レリーズレバーを手動で持ち上げて引っ掛けないと係止ができないことで、この状態だとレリーズレバーにちょっと触れただけでもシャッターが切れてしまい、これでは貴重なフィルムが無駄になってしまう。
原因は、上の赤丸の位置にあるヒゲのようなスプリングの取り付け方が異常で、このシーソーのように動くパーツに逆向きのテンションが掛かっていたことだった。これを修正すると係止の問題は復旧した。

絞りとシャッターのブレードを全部ばらしてクリーニングした後に組み戻すわけだが、絞りやシャッター羽根の組み立ては難儀だった。距離計のドレーカイルが狂っていると俺のような素人にはお手上げだったが、この辺は問題なかったのでピントグラスを当てて無限遠を調整した後、ヘリコイドとの連結ギアを入れて組み立てた。惜しいのは、どう組み立ててもフォーカシングノブの動きが渋く、操作には若干の難はある状態になってしまった点だが、機能上は一応使えるようにはなった。テスト撮影をしてみると、蛇腹の穴は全部ふさいだはずだったが、ネガには光漏れが見られた。赤窓から光が入ったのか、まだ蛇腹に穴があるのか。原因はよくわからないが、フレームの影が出ているようなのでどうも赤窓か裏蓋付近ではなかろうか。

撮影画像








トライX ISO400(期限不明)ミクロファイン1:1希釈 22℃ 12分


2024年12月22日日曜日

ウェルタ・ペルレ (Welta Perle)

先日、世田谷ボロ市でTessar F2.8付きのカメラを手に入れた。3千円也。ZEISS IKONと型押しされた革ケースに入っていたのでセミイコンタだと思っていたが、帰って調べてみるとウェルタ製のペルレというカメラだった。このWelta Pelre(ウェルタ・ペルレ)はボディ側にシャッターボタンが付いたII型のようで、レンズのシリアルナンバーから1937年製と見られる。


世田谷ボロ市

Welta Perle II型(1937年ドイツ製)
セミ判 Carl Zeiss Jena Tessar 7.5cm F2.8

革ケースにはZEISS IKONと書いてある。

上部の手提げ革が無くなっている。フィルム送りは赤窓式で、裏紙の6x9判用のナンバー(1~8)を左右の赤窓に順番に見えるように巻いて16枚撮影する。
ボディ側のシャッターボタンが、レンズ側のシャッターレバーとリンクしている。

蛇腹はきれいだったが、穴があったのでちょっと補修。

フィルム室は妙に凝った構造になっている。軸を入れるところが半分開くようになっていて、巻きだるみを防止する板バネが入っている。

ファインダーの横にあるポッチを操作すると、近接時のパララックスを補正することができ、ファインダーがちょっとだけ下向きになる。

付属の革ケースはカビも無く、意外に状態が良かった。ストラップは乾いて切れそうなところもあるので、百均の靴クリームをすり込んでおこう。


Tessar 7.5cm F2.8 付きのこのモデルはセミ判の割にはでかいシャッターが付いていて、6x9判のスーパーイコンタ(右)と同じコンパーラピッドシャッター0番がついている。ウェルタ・ペルレにはほかに、Weltar Anastigmat 7.5cm F4.5やTessarのF4.5/F3.5などが付いたモデルがある模様。
 
レンズはややクモリはあるものの派手なカビは無く、割とクリアーだったが、シャッターと絞りはまったく動かすことができない状態だった。分解してみると、絞り羽根もシャッター羽根もなんだか分からない油でベトベトに張り付いていた。これでは操作できるはずがない。

ぜんぶばらしてパーツクリーナーやアルコールできれいにする。



シャッターのガバナーはクリーニングと注油で動作は復旧したが、セルフタイマーのガバナーは動きが渋く、途中で引っ掛かってしまい復旧できなかった。
一応シンクロ接点があるが、どうせ使わないのでこれも放置。

テスト撮影

一体何年前に期限切れになったかわからない上に常温保管されていたというトライXフィルムと、1年か2年前のミクロファイン現像液を使用し、22℃で9分間現像してみた。ネガが1段分くらい薄かったが、Z9とMC105mmで複写してLightroomでポジ画像にする。キングのベルト式のリールを使ったところ現像ムラがひどく端にベルトの跡もついており、フィルムをきつく巻き過ぎたのかもしれない。

F8.0

F2.8

F8.0

F8.0

F8.0

F5.6(たぶん)

F8.0

F8.0

F5.6

F8.0

F2.8

F5.6(たぶん)

F2.8

F2.8

共通データ
Welta Perle II Carl Zeiss Jena Tessar 7.5cm F2.8
Kodak Tri-X
ミクロファイン1:1希釈 22℃ 9分