2008年3月31日月曜日

ハイキー。オサレカメラ

オーバー目に撮ってハイキー調に仕上げるのが流行っているらしい。ハイキー写真の光が溢れる感じや、柔らかに滲む輪郭は嫌いではない。そういうのはわからんでもないが、多分昨今のハイキーがいいっていう話は、SX70にISO600のフィルムを突っ込んで撮った露出オーバーな写真を見て、ポラロイドならとにかく何でも素敵って事で、ポラロイドがオサレならハイキーもオサレなんていう訳の分からんノリに違いない。故意か故障か知らないが、PEN-Fでハイキー調の写真を撮ったものを作品としている人がいるらしい。どういう誤解からか、それに食いついた人達はどうもPEN-Fで撮ると自然にそうなると思っているようで、そのためにPEN-Fが欲しいという人までいる。昨今のオサレカメラというのは、露出やレンズがおかしいカメラのことだったはずである。そりゃマニュアルだし何でもできるだろうが、一流のシステム一眼レフをそういう目で見るのはお門違いもいいところである。スタイルが素敵なこともあってPEN-Fがロモやポラロイドに興じたオサレさんの標的にされているらしい。PEN-Fもまた、おかしな革を貼られ、ペイントされ、高額で売買された挙句、フィルムが無くなったとたんに捨値で売り払われてしまうSX70のような悲しい運命を辿りつつあるのだろうか。

2008年3月30日日曜日

0円プリント

PENとの付き合いは、0円プリントとの付き合いでもある。同じセブンイレブンで0円プリントに出しても、前回は黄色カブリ気味で粒状感あふれるプリントだったが、今回は黄色カブリもなく、鮮やかで滑らかなプリントだった。プリントを裏返してみると、前回と今回ではペーパーが違うことがわかった。両方ともFUJICOLOR EVER-BEAUTYだけど今回のはfor LASERだ。メーカーのサイトで確認すると…。

(1) フジカラー「EVER-BEAUTY PAPER(エバービューティー ペーパー)」
   アナログ面露光方式の機器用(ex.当社ミニラボ「ロッキー」)
(2) フジカラー「EVER-BEAUTY PAPER for LASER(エバービューティー ペーパー フォー レーザー)」
   レーザー露光方式の機器用(ex.当社デジタルミニラボ「フロンティア」シリーズ)

つまり同じセブンイレブンから出した場合でも、フロンティアに回される場合とそうでない場合があるらしい。プリント時に諧調や色調などをあれこれ細工されるのはネガカラーの宿命だが、同じ細工されるとしたらフロンティアのプリントの方が圧倒的にきれいだ。同じ0円プリントでもこの差は大きい。
どうしたらフロンティアへ回してもらえるんだろう。前回も今回もハーフであることは告げていない。この店の集荷時刻は一日1回15:00らしい。集荷前後で送られる現像所が違うんだろうか?それとも前回はISO200 24EXだったが今回はISO400 36EXだ。高感度フィルムの場合、粒状性に配慮してフロンティアでプリントしてもらえるのだろうか?枚数は関係ないと思うが、36EXだと高速な最新設備へまわしてもらえるんだろうか?それとも一定の法則など無いのだろうか…。

2008年3月29日土曜日

お花見

上野恩賜公園の桜は、今日あたり満開の様子だ。週末なので凄まじい人出が予想されたので、朝早い時間に一回りして帰ってきた。



D80/AT-X124

青空がきれいに出るようにと、少しアンダー目で撮ったものが多かったが、花が暗い感じになってしまった。花の光が当たっているところをハイライト近くにもってくるのが正しかったんだろう。D80の背面モニターは+1EVくらい明るめに見えてしまうのでよく失敗する。液晶を暗めに調節すると屋外では見にくいので標準のまま使うしかない。D80のマルチパターン測光はよく出来ているので常用しているが、スポット測光はほとんど使ったことがない。スポット測光エリアがフォーカスエリアと連動しているのが何だか使いづらいのだ。OM-4みたいに多点スポットやハイライト・シャドーコントロールが出来たらいいのに。

2008年3月25日火曜日

Pen-D2

さっきPen-D2で撮ったやつのプリントをもらってきた。788円でどっさり79枚。PEN-Fに比べると撮るのが難しいし、ピントや写る範囲もわからないので引き気味の写真が多くなってしまい、つまらないのが多い。枚数撮らなきゃいけないっていう惰性もあったりするし。
PEN-Fの修理について、さっき修理店の方から連絡があった。ちょっと混んでいるそうで期間は3週間程度、費用は本体+レンズ2本のOHで15000円以内だという。噂どおり格安だ。喜んでお願いした。
Pen-D2 32mm F8
Pen-D2 32mm F16
Pen-D2 32mm F1.9

2008年3月24日月曜日

もう一度GT-8200UF

PEN-Fで撮ったDNPセンチュリア200のネガを、この前のジャンクスキャナEpson GT-8200UFでスキャンしてみた。
左  0円プリントL判をCanonの複合機MP-600で読み込み
中央 Epson GT-8200UF 補正なし
右  Epson GT-8200UF Autoで補正

0円プリントは非常にシャープだがハイライトが飛んでしまっている。色も汚い。GT-8200UFはボヤっとして解像感がないが、プリントではハイライトと見えた部分に多くの諧調が残されていることがわかる。画面で見る限りGT-8200UFの方がきれいだ。DNPセンチュリアはオレンジベースが濃く、Epsonのドライバでカラーネガを指定した場合、青カブリがとれない。このため、多少青カブリしたままの真ん中の写真は緑がきれいに見える。

2008年3月22日土曜日

F3HP 試写その2

どうやら一本目のフィルムはデータバックが不調だったようで、日付の写しこみができていなかった。本体とデータバックの接点部分をクリーニングしてみたところ、正常に写しこみができるようになった。
フィルムを使う機会はあまりないだろうが、F2フォトミックの露出計は10年以上も前からとうに壊れたままだ。もう一台代わりにF3があっても悪くない。


PEN-F修理へ

Webで修理店の情報を探す。気になるお店がひとつ。ここへ頼むと素晴らしい状態になって戻ってくるという。PEN-FのOHを受け付けてもらえるか一応電話で確認したところ、部品が折れていたりして修理不可能なケースを除けば大概可能との事。レンズ2本とともに送ることにした。

2008年3月19日水曜日

PEN-F 35/1.8 100/3.5 試写

PEN-Fで撮ったフィルムの同時プリントが出来上がってきた。38mmも100mmも非常にシャープだ。ピントも合ってる。38mmは絞りの後ろの玉の表面にカビが発生していた。拭いてきれいになったがコーティングがやられている。逆光では辛いが、古いレンズはまあこんなもんだろう。なにより一眼レフなので、フレアやゴーストなどの具合は見ながら撮れるので安心できる。
F.Zuiko 38mm F1.8


E.Zuiko 100mm F3.5

ところで、プリントがなんか黄色い。色もくすんでいて変だ。DNPセンチュリアで撮ったのは、ローソンもセブンイレブンもこんな色だし、やっぱりフィルムのせいだろうか。DNPってコダックと同じなんだろうか。

2008年3月18日火曜日

PEN-F ミラーアップ状態の解除方法は?

オリンパスSSでミラーアップ状態を解除してくれたが、やり方はわからない。恐る恐る巻き上げ、何度かシャッターを切ってみる。問題ない。すぐには再発しないようだ。
ミラーアップしてしまった場合、一体どうやって直すのか考える。ググってみると、PEN-Fにとってミラーアップしたままになるという現象はよくある不具合のようで、「持病」とも呼ばれているようだ。SSで部品が必要と言われたのは、きっと原因を知っていたからだろう。底蓋を開いてみる。PEN-FTのメンテナンス情報を紹介している方のWebなどを見て考える。FとFTでは部品の形や配置が違うようだ…。
目を凝らして観察する…。Aの部品が、ミラーや絞りレバーとつながっている。シャッターチャージ前、Aの部品は写真の位置にある。Cの部品は見えている部分が先端で、この下方向に支点か軸があり、左方向へ回転するか、往復して戻ってくるものらしい。チャージするとCの部品は左回転方向にテンションがかかる。Bの部品はそれをとめている。レリーズボタンを押すとをBの部品とCの部品のかみ合わせがはずれ、Cの部品はそのまま左へ行く。Aの部品が矢印方向にスライドし、ミラーアップが始まる。シャッターが開く。シャッターが閉じるとAの部品がスライドして戻ってくる。Cはが戻ってきて、元のようにBとかみ合う。Bの部品のカギ状の部分かCの先端が磨り減ったり変形すれば、B,Cがかみ合うべき時に脱落したり、外れるべき時に引っかかったりするかもしれない。それが原因だろうか。脱落したり引っかかったりすれば、シーケンスが狂い、何らかの現象が起こると思われる。BもCも分解しない限り修正や加工はできない位置だ。変形しているようには見えない。元々が分からないので、磨り減っているのかどうかも分からない。
この個所は注油しないほうがいいのか、した方がいいのか。どっちにしてもいったんきれいにしてみよう。細い綿棒にベンジンをつけてBとCの隙間を拭いてみるか…。
げげ。触ったら外れたやってしまった。ミラーアップ状態。しかもシャッターが半開きでストップ。
Aの部品は矢印方向へスライドし、ロックされてしまった。SSへ持ち込んだ時の状態と似ているがそのときはシャッターは走行完了していた。今回は半開きだ。みるからにやばい。なぜだろう。実は今、一回しか巻いていなかった。PEN-Fは2回巻き上げなので、半チャージ状態だったことになる。BとCは外れたまま、Cの先端は左回転方向へ行ったままだ。Cの先端を右回しに戻そうとしたが動かない。ミラーボックス内のシャッター軸のギアを触っても動かない。
Aを戻せばシーケンス内に戻せるかも知れない。だとしても、Aはロックされていて動かず、ロックをどうやって外すかが分からない。数分間あちこちチョンチョンして方法を探る。見つけた!
ちなみにこの写真右、穴の空いたスプロケットの軸にチャージのぜんまいが巻かれている。
黄色でマークした四角い部分。ここだ。黄色部分より右に支点がある部品の一部だと思う。上の写真の位置関係で言うと、Aの部品が左方向にスライドしたままロックされているときは、この黄色の部分が下がっている。はっきりはわからないが、本来はシャッターの走行完了を通知されて、上方向に動作する部品じゃないだろうか。シャッターは半開きだ。黄色の部分を、銅線の先っちょを曲げた道具で引っ掛けて、上に引っ張る。テンションは掛かっていないようだ。Aの部品のロックが外れた。Aにもテンションはかかっておらず、手でスルスルと右方向へ戻すことができる。連動してミラーも戻る。いつの間にかシャッターも閉じていたと思う。一回巻いてみると、巻き始めに、巻き戻しボタンが飛び出してきた。黄色の箇所を探している途中で、巻き戻しボタンをのせて押し込んでロックした状態にしていたからだ。もう一度巻く。やばい。2回巻いたがまだ巻けそうだ。巻きすぎるとチャージのぜんまいがやばい。巻き戻しボタンが飛び出した回はノーカウントでOK?恐る恐るもう一回巻いてみる。よし。止まった。
レリーズボタンを押すとシャッターが切れ、ミラーもクイックリターンする。音は普通だ。何回かシャッターを切ってみる。チャージのぜんまいを観察する。巻きすぎ状態でシーケンスに戻していないだろうか…見た目ではわからない。巻き上げレバーの感触は以前と同じに思える。大丈夫みたいだ。ふー。焦った。直ったようだ。
だが、これでは半チャージ状態でB,Cが外れた場合の戻し方しか分かっていない。
しかし今回は黄色の発見があった。

SSへ持ち込む前のミラーアップは最後の一枚で起こった。巻上げが渋くなり、なんとかチャージできた状態でシャッターを切った直後だ。最後の一枚で無理に巻き上げてチャージすると、フィルムが突っ張った状態になり、スプロケットかそこらへんに逆方向のテンションがかかった状態になるのかもしれない。そうなるとB,Cが掛かりにくくなるのだろうか?いやまてよ。あのときAのスライドはロックされていた。BとCは外れた状態だった。黄色の部分を持ち上げる方法はまだ発見していなかった。もしかすると、B,Cが掛からないんじゃなくて、黄色のロックが引っかかっていただけかもしれない。
正常なシーケンス内なら、Aがスライドしてロックされている状態で、BとCがかみ合っていなくても異常ではない。黄色部分のロックさえ外れれば、Aのスライドも自動的に戻り、Cは戻ってきてBと自動的にかみ合う予定だったはずだ。

シャッター走行後に、ミラーアップしたままになる現象が起こるパターンは、2つ考えられる。
一番目は、シャッター走行完了後、Aのスライドはちゃんと戻り、B,Cがかみ合わせに失敗する可能性だ。しかしそれが起こるとしたら、クイックリターン後にAがバウンドしてもう一度スライドし、ロックされていることになる。クイックリターン後は、チャージのぜんまいに大きなテンションは蓄えられていないと思われ、Aがスライドしきってロックされるとは考えにくい。最後の一枚を撮った際も、ミラーがバウンドしたようには見えなかった。また黄色の部分はシャッターが走行開始するときにスライドしてきたAをロックするものだと思われる。この現象が起こるとしたらAはスライドしても、ロックはされないのではないだろうか。もし発生したら、Aにはテンションもなく、手で戻せる状態になっていて、ミラーもぷらんぷらんしているんじゃないだろうか。
二番目のパターンは、シャッター走行後に、黄色の部品がなぜか戻らず、Aのスライドをロックしたまま戻らないという可能性。もしこれなら、黄色を外せばAにテンションが残っていて自動的に戻ることになる。
ジャンクから救出した直後も、やはりAのスライドはロックされていた。黄色の部分を持ち上げる方法はまだ発見していなかったが、あちこちチョンチョンしているうちに、カチっとミラーだけが自動的に戻った。どこをチョンチョンしたか分からなかったが、この黄色の場所だったんじゃないだろうか。ジャンク救出直後と、最後の一枚で起こっていた現象は、どちらも後者のパターンだった可能性が高い。
次に起こったら、黄色のあそこを引っぱり上げるだけで解除できると思う。あそこらへんにちょっとだけCRCをつけておこう。
*あとで分かったが、Cはミラーとくっついている部品。黄色の箇所はシャッターユニット内のカムのストッパーになっているL字型の部品の下端で、シャッターが閉まった動作を受け止めて、支点の反対側にあたる黄色の箇所が俺が引っぱり上げた方向に動く。

いずれにせよ、良いお店を探して修理に出そう。OHだけでミラーアップの不具合も出なくなるかも知れない。モルトや絞りもひどい状態だ。きれいにしてもらわなければ。元々フィルム機はお金がかかるので気軽に使えない。しかしこいつはハーフゆえに0円プリントが使えるのだ。直すのに少々かかるだろうが、快調になればバシバシ使えるし、第一面白いじゃないか。早くこの前のフィルムが見たいな。

2008年3月17日月曜日

PEN-F オリンパスSSにて修理不可

オリンパスサービスステーションへ。とりあえず見てくれた。奥のパーティションの中でなにやら15分程作業の後、返却してくれた。38mmレンズの絞りの粘りやカビ等は8000円でクリーニング可能とのこと。しかし、PEN-F本体の修理には部品交換が必要だという。メーカーでの対応はできず、参考ということで修理店のリストをいただいた。そうか。残念だ。しかしなんと、なんとミラーを戻し、シャッターが切れる状態にしてくれたという。あのパーティションの中に職人がいるに違いない。
お礼を言って後にする。一体どうやって戻したんだろう…。方法を聞きたかったが、どうもそういう雰囲気じゃなくて、聞くことができなかった。修理はしていないと言っていた。あの時間では大規模な分解などされていないのは明らかだ。ということは、せいぜい底蓋を外した程度の状態から、アクセスできる範囲の部品を触るだけで、ミラーを戻す作業ができるらしい。ううむ。自分でも解除できるかもしれない。
しかし、根本原因についてはプロに修理してもらいたい。SSでもらったリストはカメラ雑誌の記事の一部だそうで、内容は申し訳程度のものだ。Webで見かけたPEN-Fをやってくれそうないくつかの修理店の名前は、どれも載っていない。
帰ったら底蓋を開けてみよう。とりあえず帰宅。

2008年3月16日日曜日

PEN-F 試写&故障

この前買っておいたセンチュリア200をPEN-Fに詰めて公園へ。PEN-D2とは全く違う感覚。一眼レフなので当たり前だがブライトフレームとは違って、枠がはっきりしている。もろに一眼レフなわけだが、ハーフじゃない一眼ともぜんぜん違う。何て言っていいか分からないが独特の見え味。スクリーンの像がめちゃめちゃシャープだ。精密だなあ…。中央に大きな丸いコンデンサーレンズ*注がある全面マットだ。
ボケがきれいで、まるで映画を見ているような感じ。薄暗いのとヘリコイドのグリスが硬いのとで、ピントはちょっと合わせづらいが、でもそんなの気にならない。すごくいい。チタン幕ロータリーシャッターのブバッ!というでかいシャッター音が独特だ。外観の印象とはぜんぜん違うパワフルな動作。強烈なバネでガシガシ動かしてる感じだ。耐久性がちょっと心配だ。最初にのぞいてシャッターを切った時、すぐに気づいたが、ファインダー像の消失時間が非常に短く、ミラーもぴたりと止まる。すごい。小型でずっしり重いボディ、冷たくスルスルした手触りや、精密感あふれる各部の操作感は古いオリンパスカメラに共通のものだ。
*実は間違い。正しくは、スクリーン中央に丸く見える部分はレンズではなく周囲がフレネルレンズだそうだ。
100mmに交換してみよう。こっちはF16でも自動絞りがちゃんとついてくるので普通に使える。2回巻き上げもおもしろい。こういう儀式はニコンのガチャガチャと似ている。つい忘れそうな動作だが、実際に使いはじめると、すぐに手が覚えて勝手にやるようになる。残念ながら38mmレンズは絞りがシャッターに追随しない。シャッター切る前にプレビューボタンを押しておくのをすぐに忘れてしまう。プレビューボタンが押しにくい上、やらないのが普通なのでどうにも慣れることができず、何度も失敗してしまった。先週F3を使った時、一日で36枚撮るのは結構大変だったが、今回は難なく24枚撮りフィルム、50枚あまりを撮り切った。楽しかった。
家に帰ったらコマ数カウンターが50になっていた。巻き上げも渋くなった。最後の一枚と思われるシャッターを切った直後、問題が発生した。

ファインダーが暗転したままだ。ミラーが戻っていない。フィルムを巻き戻して取り出す。底蓋を開けてミラーにつながる部品をツンツンしてみるが、今回はどうしても直らない。最後にシャッターが切れた後、ミラーがアップしたままぴったりくっついている。レリーズボタンも巻き上げもロックされている。ジャンク救出直後の状態ではレリーズボタンは開放されていたが、今回はその前のシーケンスで引っかかっている模様。PENのメンテナンス情報を紹介している方のサイトを参考に原因を探る。ミラーユニットへ制御を戻すためのシャッターユニットのカムがあるらしい。それが回りきっていないのだろうか。あちこちちょんちょんしても反応がない。底面からシャッターユニットへアクセスすることは不可能だ。シャッターやミラーの機構はモジュール状で独立しているそうだが、取り外すには、前面の皮をはいでマウント周りを取り外す必要がある。皮をはいでしまうと、きれいに戻すことが難しいばかりか、ミラーやマウント周りを取り外すとピントが狂ってしまう可能性がある。またミラーボックスとクイックリターン機構の接続は、ギアのかみ合わせが難しいらしい。こうなると俺のような素人ではお手上げだ。危険だ。壊してはいけない。部品はどこも破損していないと思う。どこかで腐ったモルトやグリスが粘着しているだけに違いない。悩む。分解したくない。ネジの頭やネジ止め等の状態を見る限り、俺が底蓋を開けた以外は素人による分解歴はないようだ。ボディごとトントンしてみる。エアダスターのノズルをガバナー付近にそっと挿し込んでプープーしてみる。細い銅線を挿し込んで見えない部分をコチョコチョしてみる…。だめだ。CRCを注入するなんて乱暴過ぎるしなあ。
今回は無理だ。仮に動き出しても原因を修理しないと再発するに違いない。もし緩みが原因なら、部品が脱落したり、噛み込んでしまう可能性がある。気づかずに操作して、あちこち部品が壊れてしまえば、最悪の事態になる。仕方がない。ここら辺であきらめて、プロに任せるしかない。
しまった!タダより高い物は無いと言う。幸か不幸かいったん動いてしまった。そして、猛烈に気に入ってしまった。想像をはるかに上回る素晴らしいカメラだ。ファインダーの見え味、シャッターの切れ味、高級感、精密さ、コンパクトさ、そしてハーフで一眼レフという何物にも代えられない面白さ。何もかもたまらん…。部品さえ壊れていなければオリンパスでも修理が可能だという。お金に糸目をつけなければOHはもちろん、プリズムやミラーの代替品まで用意している業者もあるという。
俺は骨董マニアでは無い。コレクションが趣味でもない。古いカメラを過剰にレストアするのはばからしいと思う。しかし60~70年代のカメラには端正な精密機械としての魅力や道具としての機能美がある。それが日本製の工業製品であり、大量生産され安価に供給されたもので、社会的にも個人的にも多くの歴史を持っているという事実もまた、代えがたい魅力である。その魅力はノスタルジーや希少価値などでは決してない。今作って売ればE-3より売れるに違いない。惜しい。まだ1本しか撮っていない。なんとしても修理してもらい復活させるしかない。とにかく小川町のオリンパスへ持っていってみよう。

2008年3月14日金曜日

今度はPEN-F 315円 レンズも315円

もう訳がわからない。あり得ない。先週に引き続きものすごいことになってしまった。そう、F3HP&25-50mm/F4を5250円で見つけた、あのお店だ。なんとあの箱にまだ凄いものが!
ちょいと暇つぶしに、またもやあのお店へGo。外人にまぎれてジャンク箱を物色。数秒後、古いコンパクトカメラ風の黒いハードケースを発見。315円だって。TRIP35かそんなもんだろう。一応、開ける。パカッ!
ぺぺ…PEN-Fじゃないか!憧れのFの華文字ぐはー!なんてこった。もう動いても動かなくてもいい。こいつは俺のだ。絶対離さないもん。しゃがんだ膝の上にしっかり抱え込む。といっても、戦う相手はいない。さっきの中南米系の人達はエレキギターやビデオカメラに興味があるようだ。この箱には見向きもしない。さらに箱をゴロゴロすると、細身のレンズケースが。間違いない。パカッ。Fの華文字!100mm F3.5だ。 フードもキャップもついてる!これも315円だ。うぐぐ。手が震える。こいつも離さんぞー。F3の後、もう来るのはやめようと思っていた。今日来てよかった…。もはや笑い泣き状態だ。更に物色するもめぼしいものはセコニックのスポットメーターぐらいか。1200円か。うーん。掘り出し物には違いないが、今回は箱に戻そう。今日はこれぐらいで許してやろう。
もう信じられん…。とにかく帰宅。

Olympus PEN-F 38mm F1.8 ケース・キャップ付き , 100mm F3.5 フード・キャップ・ケース付き
全部で630円。
PEN-Fは巻き上げレバーが動かず、ミラーアップしたままで、シャッターも切れない。巻き戻しボタンも押し込まれたままだ。外観はきれいだ。水没や分解の跡も無い。38mmはクモリが少々。100mmはカビ少々。今回は手ごわい。中でなにか引っかかってるか、部品が壊れているか…。ファインダーは真っ暗だ。ミラーや絞り込みレバー等をいじってみるがミラーが戻らない。これは駄目か。
いくら315円だとしても、品物の価値を考えれば、おいそれと革をはがしたりできない。できれば分解などしたくない。ミラーの機構にアクセスするには軍幹部より底蓋だろう。底ブタを外して観察。動きそうな部品をチョンチョンしてみる。うーん。更にチョンチョンしてみる。…カチャ。
やった!ミラーが戻った!
とりあえずファインダーをのぞく。うーん。見える見える。昔、スクリーンの上をダニが歩いているPEN-Fを見たことがある。こいつはスクリーンはきれいだ。ミラーもピカピカだ。接眼レンズは少しクモリがある。
巻き上げてチャージするとシャッターが切れる。やった。生きてる。またミラーが引っかかった。しかし今度は手で押してやるとリターンしてくる。おお。直ってる。うーん。レンズを付けると絞り込みの力が足りないようでシャッターが切れずミラーも完全にアップしない。もし不具合がこれだけならかなりの軽症だ。
赤枠のあたりの部品が絞り込みレバーと連動している。ここら辺にグリスをつけてみる。うん。いい感じだ。シャッターが切れる。ミラーもクイックリターンしてる。最初の頃は、低速ガバナーが渋かったが、いじっているうちにだんだん調子が出てきた。1秒も大丈夫だ。よしよし。
しかし、依然としてレンズを付けるとシャッターが切れない。38mmレンズの絞りが粘っている。

ピンセットをカニ目に引っ掛けて後玉を外し、可動部リングの古いグリスや、絞り羽根に滲んだ油をベンジンで拭く。しかし届く部分はほんの一部だ。絞りの後ろの面になるレンズがクモっていたのでついでにレンズクリーナーで拭く。コーティングがちょっとやられているが、こんなの当たり前程度だ。組み戻してみると、絞り込みレバーは軽くなっている。レンズ単体で絞り込みレバーをカチャカチャするとスムーズで問題なさそうなのだが、シャッターの裏からのぞいて切ってみると、幕が開いている時には絞り込みが完了していない。レンズ側のリングを清掃したのでカメラ側のパワーで絞り込みレバーを押すことが出来るようになり、シャッターは切れるようになった。しかし
絞り羽根自体はカメラ側のパワーで絞られるのではない。羽根は元々弱いスプリングで絞る方向にテンションが掛かっていて、リングに取り付けられた少し強いスプリングが、それを押し開いて開放状態にしている。カメラがリングのスプリングを更に強い力で押し戻して、羽根が自分の力で絞り込んでいく仕組みだ。リングの粘りと羽根の粘りは別物なのだ。絞り羽根は、開口部の片面しか清掃できなかったので、粘りが残っているのだろう。前面からのアクセスを試みたが、前玉を外すことができない。ラッパ状の部品を回すように思えるが、切り欠きはあるが大きなレンチもコンパスもない。分解順序も分からない。ゴムを当てて回せばいいのかもしれないが、ちょっと危険だ。残念だが今回はやめよう。開放でしか使えないのか…いや待てよ。PEN-Fレンズは、OMレンズと同じようにプレビューボタンがレンズ側にあるのだ。こいつを手動で押し込んで、絞り込んでからシャッターを切ればいい。
もう一本の100mm F3.5の方は、絞羽根自身のスプリングのパワーを完全に開放するまでに必要な、リングの回転角が小さい。リングも羽根も粘りは無いようで、最小絞りでもシャッターに追随する。

いや不思議だ。
俺の欲しいものが次々と現れるジャンク箱。
F3だってPEN-Fだってヤフオクや中古カメラ屋で買えば数万円はするだろう。敢えて買うなんて機会は一生なかっただろうし、そんな値段なら欲しくない。しかし不思議なことにタダ同然の値段で俺のところにやってくる。何故だろう。

後日ヤフオクで全く同じ、PEN-F,38/1.8,100/3.5のセットを見ていたところ、終了は37,000円だった。

2008年3月11日火曜日

F3HP 25-50mm F4試写&白黒フィルム現像

F3のテストのためにヨドバシへフィルムを買いに行った。センチュリアを買って終わる予定だったが、現像タンクとか見てるうちに、せっかくなので白黒で撮って現像もやってみたくなった。昔使っていた道具はぜんぶ捨ててしまったらしく、手元に無い。以前使っていたLPLのステンレスタンクって、今買うと7千円近くする。35mm一本用だが、こんな高かったっけ?ほんの気まぐれだから安いのでいいよな。色々見ていると、似た構造でもっと安いのがあった。こんなメーカー知らない…。フタもゴムだし。でもまあいっか。停止も水だけでいいよね。酢酸なんかいらない。帰りに100円ショップへ。台所のじょうごとかカップとか使うとしかられるし。


用意したもの
  • I.S.Eプロダクツ35mm現像タンク 1570円
  • I.S.Eプロダクツ35mmリール 960円
  • LPL フィルムクリップ2個入り 670円 ←これ意外と高い
  • スーパープロドール1L用 190円
  • ネガファイルの中身 389円
  • スーパーフジフィックス3L用 720円 ←粉末のはもう製造していないそうだ
  • ドライウェル 240円
  • ネオパン400プレスト 36EX  400円 x2
  • 計量カップ1L 100円 x 2   100円ショップ
  • 防災グッズ水タンク3L用 100円 x 2  100円ショップ
かつてはすべてISO1600で撮って増感するのが俺の決まりだったが、なんせ10年ぶりくらいなので、今回はおとなしくISO400のままにしよう。F3と子供をぶら下げて公園へ。露出計合ってるかな…。一応セコニックの露出計持ってきた。うん。大体合ってるか。一本撮るのって結構大変だなー。
帰ると子供が早くやりたいとせがむが、遮光が心配なので夜を待つ。脱衣所にこもり、撮ったフィルムを現像タンクのリールに…。アレ?んーなんかおかしい。リールが変だ。実はこのタンク、クセモノだった。LPLと見かけはそっくりなステンレスの両溝リールなんだけど、どうやってもまともにフィルムが巻けない。真ん中の軸も変。前に使ってたLPLのやつは、フィルムをちょっとカールさせて軽く巻いていけば、スーッと吸い込まれるように巻けた。こいつの場合、溝にフィルムがまともに入らない。すぐにはみ出したり引っかかったりひっついたり。とても使えたもんじゃない。脱衣所の暗闇で汗だくになり、なんとかがんばって巻いてみた。結局4コマ程ひっついたまま現像も定着もされなかった。やられた。これはひどい。










納得がいかないので、後から明るいところでいらないフィルムを何度も巻いてみたが、2時間やってもまともに巻ける方法がみつからない。1cmくらいづつフィルムを繰り出しながら、ギコギコゆすりながら巻いていくと最後までくっつかづに巻ける場合があるが、暗闇では至難の業だ。多少液漏れするとは説明書に書いてあるが、液を入れるところの小さいフタもゴムっぽい素材で、柔らかいために中央を押さえるとへこんで内圧が掛かり、ジュウジュウいって結構液漏れしてくる。今時、現像タンクを買う人は少ないと思うが、このタンクはやめたほうがいい。

ネガの取り込みには、この前のジャンクスキャナ(Epson GT-8200UF)を使った。D80とマイクロニッコールの方法の方が画質はいいと思うが、セッティングが面倒だ。GT-8200UFも解像度を控えめ にして白 黒ならそれなりに使える。うん。ネガはひっついた部分以外はいい調子だ。本来の目的だったF3のテスト。うん。ちゃんとピント合ってるし、露出も大丈夫み たいだ。

2008年3月9日日曜日

デジカメでネガカラーフィルムを取り込み


デジカメでフィルムを取り込むという方法を時々見かける。意外といけるらしい。ということでやってみた。D80にマイクロ55mm を取り付ける。これ用の中間リングは持っていない。このレンズ単体での最大である1/2倍まで寄れる。ということは35mmのネガならちょうどD80の画面いっぱいになるはずだ。実際のぞいて見るとまあそんな感じ。今回はハーフ版のネガなので2コマで画面いっぱいぐらいだ。もうほんのちょっとだけ寄りたかったのでNo.5のACクローズアップレンズを使う。光源は蛍光灯のデスクライトとディフューザー。レンズ先端からフィルムまでの距離は10~11cmぐらいになる。ネガの固定には、この前のエプソンスキャナについていたフィルムキャリアを使う。ちょっとした実験なので適当に固定。平面性や平行性に疑問があるのでF8まで絞る。オレンジベースでD80のホワイトバランスを合わせて撮影。

露出が難しい。かなりアンダーだったみたいだ。トーンを反転すると3段ぐらいオーバーな雰囲気になってしまった。ネガを撮影する際の露出は思ったよりもかなりオーバー目でいいみたいだ。シャドゥ部分の諧調がはっきり分かるくらいがいいかも。面倒なので今回はPCで補正。今回は解像度と雰囲気が見たかったのだ。色もちょっと直したが、オレンジベースでホワイトバランスを合わせただけでも割と自然。
うん。この前のジャンクフィルムスキャナよりは色も解像度もいい。ふーん。ちゃんと工夫すればかなり高画質で取り込める予感。

2008年3月7日金曜日

Nikon F3 HP+MF-14+Ai 25-50mmF4s が5250円

いまだに信じられない。F3を5250円で入手した。ありえない値段だ。
つい先日だ。近所のHard OFFのジャンク箱をいつものようにあさっていた。
箱いっぱいのコンパクトカメラやらケーブルやらに埋もれて、あずき色のニコンのハードケースが見えた。5250円の値札が貼ってある。ん??手にとってみるとずっしり重い。あれ。中身入ってるじゃん。なんだろ…パカっと開けると、丸い接眼レンズにアイピースシャッターのレバーが…。げげ! F3じゃないか!HPだ。黒だ。レンズもついてる。水没品か…いや、やけにきれいだな。おかしいな…。ケースと別か?いや値札はケースにしかついてない。もしや!当たりか!しかし、あり得ない値段だ。やっぱり水没品?
ハードケースの上のやつがボロボロになって粉がいっぱい出てくる。しかしアイピースにもレンズにも水没品らしき染みは無い。一見粉まみれで汚いがよく見るときれいだ。ファインダーを覗いても問題ない。バッテリー切れらしいが、緊急作動レバーを押すとシャッターが切れる。快調だ。幕もきれいだ。アレ?データバックがついてる。こいつはすごい。ケースから取り出してみるとアタリやへこみも見当たらない。傷もハガレもテカリもない…て言うか、塗装を見る限り新品同様じゃないか。鏡筒にもPassedのシール貼ったままだし。ミラーは?ちょっと汚れてるが問題ない。モルトのカスが少々。レンズにはカビやホコリも無く、フィルター表面にも指紋すら無い。一体どうなってるんだ?仮に不動品でも2万円以上にはなりそうだ。よし。勝負だ。ていうか既に勝った気分。電池を入れれば動くに違いない。いや、動いて欲しいな…。
半信半疑でレジへ差し出すと、お店の方は「ジャンクですから」と言いつつケースの中身も確認せずに5250円で気前良く売ってくれた。動作品なら52,500円だっておかしくない品だ。この店の普段の様子を知っているだけに、ジャンク5万円もあり得る。なんかの間違いかも知れない。早く立ち去らねば!
「そのまんまでいいです」と言い、粉まみれのケースごとF3をわしづかみにして、後ろを振り返りながらいそいそと帰宅。
Hard OFFのお買い上げシールと5250円の値札が貼られたF3が机の上に。


上カバーは捨てるしかないな。分解してチェックする。データバック、ファインダー、スクリーン、レンズ…。さっき興奮して店ではレンズはよく見なかった。てっきり35-70/3.5だと思っていたが、こいつは…すげぇ。なんとAi-s 25-50mm F4だ。
しかし、古いF3は液晶やら電子部品がやばいらしい。結局そういうことかもしれない。きれいにクリーニングした後、電池を入れてみる。電源スイッチを入れる。液晶は…。
おお!生きてる。

あれこれいじりまわすが何の問題も見つからない。オートも明るさに反応している。シャッターは全速切れるし、スローシャッターも快調。セルフタイマーも動く。ファインダー照明も点灯する。これは完動品としか言いようがない。撮ってみないとわからないが、無限遠も出ているみたいだし、この分じゃおそらく問題ないだろう。データバック MF-14も電池を入れてみたところ、問題なく日付や時刻を設定できる。
何てこった。あの店は不燃物しか置いてないと思っていた。ここ数年で最初で最後の快挙だ。やるじゃないか、Book Off。いや違った、Hard Off。近々閉店だそうだ。ありがとう。

しかし、本当に傷ひとつ無い。エプロン部の底にほんの2ミリ程度の塗装の浮きがある程度だ。このハードケース(正確にはF3用セミソフトケースCF-23D+CF-21A)は、経年変化で上身の縁取り部分の合皮が劣化し、粉を撒き散らして凄まじ い状態だったが、実はこのずたぼろのケースが、製造から25年*もの間、本体を傷ひとつ無い状態で守り続け、何かの間違いでジャンク送りになった後も、ジャ ンク箱のゴロゴロ地獄からこのF3を守り続けていた。そしてこいつは、あの日俺がやってくるのを待ち続けていたに違いない。数奇な運命の末、四半世紀の時を越えて俺の手元にやっ てきた不思議なF3。供養してやらねば。

裏蓋ヒンジ部分のスタンプと156万番台というシリアルから1982年12月製と思われる。Bの着色やグリップ素材は後期の物と同じ仕様である。