2017年11月6日月曜日

どどっと400(1995)

中野F店J館にて「どどっと400」を発見。1995年に3本セットで発売された「ニコンおもしろレンズ工房」うちの一本だ。詳しくはニッコール千夜一夜の記事を参照されたし。現代のトイレンズはわざとポンコツな描写を狙ったものが主だが、当時のコレは簡素な構造ながら良く写ることを狙ったものであり、そういう意味では今のトイレンズとは訴求方向が異なっている。


ニコンおもしろレンズ工房 どどっと400 (1995)
400mm F8.0

1983年頃、これに似た構造ものでケンコーの「クローズアップ鏡胴セット」というものを持っていた。当時のクローズアップレンズは現在でもまだ持っているが、肝心の鏡胴の方を紛失してしまい、今となってもうは遊ぶことができない。クローズアップ鏡胴セットは52mm径のクローズアップレンズ(AC No.3・AC No.5・No.2)を使い、330mm F6.3と200mm F4、125mmのソフトフォーカスレンズを作ることができた。簡素なレンズとカメラマウントが取り付けられた金属製の筒と、ヘリコイドの代わりに斜めに溝があけられた内部のチューブでフォーカシングするというどどっと400の機構は、クローズアップ鏡胴セットにそっくりだが、どどっと400はクローズアップレンズを流用するのではなく、専用の2群4枚のテレフォトタイプの光学系が最初から組み込まれている。テレフォトタイプなので焦点距離の割に全長が短く、鏡胴を前後に分割してコンパクトに収納することができる構造になっているが、光学系が組み込まれた前部鏡胴は分解することはできない。前玉のフィルター径は52mm・F値はF8.0で、ケンコーのように自作絞りを入れる構造は無い。マウント部分はプラスチックである。

発売時は他の二本のレンズ(ぎょぎょっと、ぐぐっと/ふわっと)とともに、Nikonロゴやエンブレム風のステッカーが同梱されていたらしいが、現在は1000円の値札が奢られており無常観を盛り上げている。

カメラボディにに装着した状態。
週末は丁度良い天気だったのでこのレンズを持って出かけてみる。ファインダーは暗く、ミラー切れで視野枠上方にはカゲリが出る。フォーカスエイドは使えないものの、マット面でフォーカシングをすることができる。フォーカシングチューブの操作は滑らかではないが、クローズアップ鏡胴セットよりはガタも少なく操作がしやすいように思える。
望遠レンズの拡大威力と言っていいのだろうか、そういうものを感じる目的で、50mmで撮影したものとどどっと400の画像を比べてみよう。

f=50mm F8.0
Nikon D800E, AF-S NIKKOR 24-70mm F2.8G ED

f=400mm F8.0相当
Nikon D800E, おもしろレンズ工房 どどっと400

シャープ補正+軸上色収差補正+コントラスト補正

当たり前だが、400mmなので50mmに比べ8倍の倍率で遠方が拡大されて写る。と同時に、ナノクリズームの圧倒的なコントラストにも関心する。どどっと400はレンズ内面が曇っており、ハレ切りはしているものの猛烈にコントラストが低い。解像力は素晴らしいわけではないが、周辺光量不足もなく周辺まで画質が均一で、その点では良く写っている。下の画像は、Caputure NX-Dで現像時に軸上色収差とコントラストを補正し、シャープのパラメータを変更したもの。
Amazonにカニ目レンチを注文したので、内面のクモリを清掃してから、後日また撮ってみようと思う。モノコートレンズとはいえ、2群4枚というシンプルな構成で、鏡胴内も通常のレンズと変わらず丁寧に溝が掘られ艶消し塗装が施されている。レンズを拭けばもっと良く写るに違いない。