2020年6月18日木曜日

AF-P DX NIKKOR 70-300mm f/4.5-6.3G ED VR入手

廉価クラスのキットレンズながら、すごく写りが良いということで以前から気になっていたレンズだ。「AF-P DX NIKKOR 70-300mm f/4.5-6.3G ED VR」は2016年にD3400のダブルズームキット向けにAF-P DX NIKKOR 18-55mm f/3.5-5.6G VRとともに発売されたレンズで、現在もD5600やD3500のダブルズームキットに含まれて販売されている。このレンズの単品での実勢価格は36,000円前後だが、ダブルズームキットのばらし品が多く流通しており、ばらし品の場合は2万円程度で入手できるようだ。今回入手したものはほぼ未使用と見られる中古品で、新品同様の品だが保証期間が切れているということで安価で手に入れることができた。単品で販売された化粧箱付きの品だ。

AF-P DX NIKKOR 70-300mm f/4.5-6.3G ED VR
15,000円(中古)

D3500に装着した状態

このD3500は、AF-P DX NIKKOR 18-55mm f/3.5-5.6G VR付きのレンズキットで購入したが、AF-P DX NIKKOR 70-300mm f/4.5-6.3G ED VRを手に入れたので、ダブルズームキットと同じ構成になった。

ワイド側70mm時

テレ側300mm時

日本では販売されなかったが、このレンズには海外向けのVRの無いバージョン「AF-P DX NIKKOR 70-300mm f/4.5-6.3G ED」という製品が存在することが知られている。価格差は僅かなため、海外のユーザーサイトではこのVR無しバージョンを間違えて買わないよう、注意が喚起されている。

サイズ比較:左から
AF-P DX NIKKOR 70-300mm f/4.5-6.3G ED VR (415g)
Ai AF Zoom Nikkor ED 70-300mm F4-5.6D(1998-2006) (505g)
AF-S Nikkor 70-200mm f/2.8G ED VR II (1540g)
AF-S NIKKOR 200-500mm f/5.6E ED VR (2300g)

AF-P DX NIKKOR 70-300mm f/4.5-6.3G ED VRはDX専用のコンパクトなレンズだが、実はフィルム時代の同焦点域のレンズ「Ai AF Zoom Nikkor ED 70-300mm F4-5.6D」と大きさは大差ない。とはいえ、おそらくFマウント史上最小最軽量の一眼レフであろうD3500ボディにAF-P DX NIKKOR 70-300mm f/4.5-6.3G ED VRを組み合わせたものは、300mmレンズ付き一眼レフとしては非常にコンパクトだ。

AF-P DX NIKKOR 70-300mm f/4.5-6.3G ED VR 実写

上の4本で比較してみたかったが、全部やるとテストが大変になるので「AF-S Nikkor 70-200mm f/2.8G ED VR II 」の一本だけ持ち出すことにした。先に結論を言ってしまうと、AF-P DX NIKKOR 70-300mm f/4.5-6.3G ED VRの解像力は、D3500の等倍画像で評価できる範囲の限度にまで達しており、大三元ズームに匹敵するなどという控えめな評価で済ますことはできない程ハイレベルだ。

全体画像
70mm・135mm・200mmで撮影し、中央と右端をクロップして比較した。

70mm 中央部

70mm コーナー

135mm 中央部

135mm コーナー

200mm 中央部

200mm コーナー

開放から1~2段絞っているAF-S Nikkor 70-200mm f/2.8G ED VR IIに比べると、AF-P DX NIKKOR 70-300mm f/4.5-6.3G ED VRはかなり不利だが、絞り開放からコントラストが高く、画面中央から画面端まで解像力も極めて良好だ。200mm f/2.8G ED VR IIとの解像力の差は感じられず、むしろAF-P DX NIKKOR 70-300mm f/4.5-6.3G ED VRの方が勝っているように見えるコマもある。ピントはコントラストAFで合わせた後、再フォーカスを行わず絞り値を変化させて撮影した。また、複数枚から写りの良いコマを選んでいるわけではないため、大気の揺らぎによる影響で写りの悪いコマもある。AF-P DX Nikkor 70-300mm f/4.5-6.3G ED VRの画質について語るべきことは少ない。ズームの全焦点域において、画面中央から端まで非常に端正な写りで、暗いレンズだが絞り開放から安心して使うことができる。これまでの他のレビューでも言われているように、少しの軸上色収差が見られるのと、強いハイライト部で滲みが見られることがあるのを確認したが、実用上なんら問題のないレベルに押さえられており、逆光の水面を躊躇するような制約にはなり得ない。

実写画像

画像クリックで元サイズ画像(24MP 4000x6000pix)を表示します。

ハイライト部は非常にすっきりしていて破綻が無く、フレアも色収差も見られない。

画面の端から端まで見事な解像力。

テレ側300mmも見事な解像力。金属部の輝きにも後ボケのハイライトにも色付きは見られない。

http://183.181.160.91/blogger/DSC_3320_nx.jpg
海外のテスト記事を見ると、MTFが最も高い値を示すのは200mmあたりだというが、実際に撮影してみるとズーム全域で素晴らしく、各焦点距離での解像力の違いは感じられない。

テレ側での近接撮影。近接での解像力低下やフレアの増大などは見られない。

ボケが汚くなりがちな厳しいアングルだが、ピント面前後の像が自然ですっきりしている。

ワイド側開放。後のボケ玉にはエッジと中央に芯が見られ、ワイド側の後ボケ像はやや硬いと言えるが、周辺部まで像が均一なため癖は無い。コーナーでは少し口径食が見られるが、撮影時と現像時にヴィネットコントロールを有効にしているので、周辺光量の低下は見られない。

テレ側開放。200mmあたりからボケ玉のエッジは消え、後ボケはテレ側に行くほど柔らかくなる。

前ボケは自然で良好。


テレ側300mm F6.3開放。元々暗めのレンズではあるが、絞り開放でこの写りは本当に見事だとしか言いようがない。周辺部にも像の流れや倍率色収差は見られず、中央部との画質差は感じれらない。本当に端から端まできちんと写っている。
この種の望遠ズームではテレ側で糸巻き型のディストーションが見られるのが普通だが、撮影時と現像時に自動歪み補正を有効にしているのでディストーションは完全に補正されれていて、実際には気にすることはない。



開放から2/3段絞るとコントラストは更に上がり、文句の付けようがない画質になる。


共通データ:
Nikon D3500, AF-P DX NIKKOR 70-300mm f/4.5-6.3G ED VR
画質モード:圧縮RAW(12bit), ISO=100 
アクティブDライティング:ON
Capture NX-D 1.6.0 M
ピクチャーコントロール:[SD]スタンダード(最新のピクチャーコントロール)
輪郭強調:デフォルト=3 → 1.5に変更
アンシャープマスク:RGB 適用量=100, 半径=3
自動歪み補正=ON, ヴィネットコントロール=50

単焦点レンズについては、時代が古いものでも写りの良いものが多く、技術革新による性能の変化にはあまり目立つものは無い。しかし、過去半世紀におけるズームレンズの性能変化は顕著だ。最初のサイズ比較で紹介した「Ai AF Zoom Nikkor ED 70-300mm F4-5.6D」は、廉価クラスの望遠ズームにEDレンズが使われ始めた頃のレンズだ。中央の解像力は現代の高画素機でも使えるくらい良いが、周辺の解像力は酷く、多量の軸上色収差とうるさいボケによりピント面を外れた像はめちゃくちゃで、撮れる写真はかなり酷い。20年以上の時代差のある「AF-P DX NIKKOR 70-300mm f/4.5-6.3G ED VR」だが、その精緻で端正な写りにはまさに隔世の感がある。

2020年6月2日火曜日

ピークデザイン アンカー リンクスに思う事

ピークデザイン アンカー リンクス AL-4を入手。今更紹介するまでもないだろう、世間では大変人気がある品だ。


カメラストラップの先にプラスチック製の受け具「ハーネス」を取り付け、カメラ側の吊り金具に「アンカー」と呼ばれる赤い玉を付けておくことで、ストラップを簡単に着脱することができる。


しかしこれ、値段もちょっと高いしプラスチックのハーネスも大きめで、邪魔というかあまりスマートなデザインでもない。他メーカーではSMALLRIGの似た製品の方がコンパクトに見える。ただ、カメラストラップ部品という製品の性格上、強度や耐久性は重視すべき点である。Peakdesign社は過去のバージョンのこの製品で、コードの耐久性に問題のあるアンカーのリコールを行っており、サポート実績においては評価できる。コードの問題はすでに改良されており、今日広く普及しているPeakdesign社のこれを選ぶのは妥当だろう。

そもそも、カメラ自体が最初からストラップの着脱が簡単な構造になっていれば良いだけの話で、実際に一部のカメラはそうなっている。

キヤノンEOS-Mのストラップ金具は、ロックピンを回転させるために10円玉のようなものが必要ではあるが、割と簡単に外せるものになっており金具もコンパクトだ。

EOS-Mのストラップを外した状態

EOS-Mのストラップを取り付けた状態

カメラ側のこういう丸い吊り金具は、マミヤの古い中判カメラにも使われている。マミヤのストラップは先端の金具に付けられた板バネを指で押し広げるだけで、カメラからストラップ外すことができる。取り付けもカメラ側の丸いピンをストラップ金具の穴に合わせてパチンとはめ込むだけだ。着脱が簡単で、自然に外れることもない。
RB67のストラップを取り外した状態

RB67のストラップを取り付けた状態

RB67のストラップ金具(上)
EOS-Mのストラップ金具(下)



このタイプの吊り金具は規格ものなのだろうか?面白いことに、RB67のストラップはEOS-Mに取り付けることが出来る。この形式は着脱が簡単で金具もコンパクトなだけでなく、ストラップが捻じれてもカメラに付けたまま片側をクルクル回転させるだけで捻じれが取れるという利点もある。もっと多くのカメラがこれを採用していてもいい気がする。