2013年10月29日火曜日

実は十分すごい。Ai Nikkor ED 500mm F4P(IF)

先日手に入れたAi Nikkor ED 500mm F4P(IF)だが、あいにく週末の台風が続いたり、仕事が忙しかったりして、条件の良い日にテストすることがなかなか出来なかった。この前の日曜は終日仕事の予定だったが、運良く午後早くには終わったので、飯も食わずにレンズと三脚を担いで一回りしてきた。朝から気持ちよく晴れていて、午後になっても遠方の霞みは少ない。夕方近くに斜光線でコントラストの高い画像が撮影できた。

http://183.181.160.91/blogger/DSC_0077.jpg
画像クリックで元サイズ(7360x4912)の画像を表示します。
Ai Nikkor ED 500mm F4P(IF), Nikon D800E
ISO200 F5.6, 1/1000秒

14bitロスレス圧縮RAW
Capture NX2, ピクチャーコントロール[SD]
ピクチャーコントロールの輪郭強調無し
ハイパス0.7
アンシャープマスク:半径6, 適用量30%
軸上色収差補正:100


中央部600x400ピクセルをクロップ

AF-S NIKKOR 70-200mm F2.8G ED VR IIのように、非常によく解像するレンズでは、俺はCapture NX2でのアンシャープマスクの半径は2にしている。この設定はピクセル等倍ではピクチャーコントロールの標準とはかなり解像感の差が出るものの、プリントでは意味がないか、そのままではかえって細部が眠くなってしまう。ピクチャーコントロール標準の輪郭強調は、300dpiでの最大サイズ、A2プリントを想定するならばほぼ妥当なチューニングではないかと思う。 Ai Nikkor ED 500mm F4P(IF)の画像に適用した半径6も、ピクセル等倍ではピクチャーコントロールのデフォルトからかなり解像感が増すものの、プリントではピクチャーコントロール標準の輪郭強調との差はほぼ無いだろう。何が言いたいかというと、つまりはAi Nikkor ED 500mm F4P(IF)は3600万画素のD800Eでも実用に足る十分な解像力を持っているということだ。そして、なにもプリントを前提に評価する必要もない。ピクセル等倍で中央部をクロップした画像を見ていただくとお分かりだと思う。天候や光線状態など、条件さえ良ければ、このように素晴らしくシャープな写りだ。軸上色収差だけはちょっぴり気になったので、Capture NX2での軸上色収差補正をMAX値で適用している。とはいえ、気になるのは輝度差の激しい輪郭をピクセル等倍で観察するような場合に限られるだろう。
さて、最新のAF-S NIKKOR 500mm f/4G ED VRがどんなレベルなのかが気になるが、このレンズとD800/Eで撮影されたフル解像度のサンプル画像は、ググってもなかなか見つけることはできなかった。もちろん、現行のAF-S NIKKOR 500mm f/4G ED VRは最新設計のAFレンズであり、VR搭載の上ナノクリが施された超豪華レンズなので、あらゆる面において、この古いAi Nikkor ED 500mm F4P(IF)には勝っているだろうことは想像には難しくはない。辛うじて、ピクチャーコントロールの標準設定のままView NX2で現像されたと思われる、AF-S NIKKOR 500mm f/4G ED VRとD800Eで撮影されたフル解像度の画像を少数だけ見つけることができた。輪郭強調が太くてきつい、ピクチャーコントロールのデフォルトで現像された画像の場合、この古いAi Nikkor ED 500mm F4P(IF)と最新のAF-S NIKKOR 500mm f/4G ED VRとの間で解像力を比較するのは無理だった。だが、それらの画像からでも、周辺画質や色収差、ヌケの良さなどは、AF-S NIKKOR 500mm f/4G ED VRの方が上であることは判断できた。
いずれにせよ、俺はこのレンズで十分だ。ちょっとした好奇心のために100万円もする最新レンズには手をだすことなど決して出来ないし、このレンズでも十分に高品質な超望遠画像が得られる。

http://183.181.160.91/blogger/DSC_0087_1920x1080.jpg
(画像クリックで1920x1080サイズの画像を表示します。)
別のカットをWB調整しHDサイズに縮小してみた画像

2013年10月21日月曜日

ちょっと大きめの三脚

古いジッツオの5型三脚を中古品にて入手。アルミ製の5段式で、3段目まで伸ばすとアイレベルを超え、全部伸ばすと多分3メートルくらいになる。重量は約7kg、雲台を乗せると8kgを超える。三脚は小型や中型のものは間に合っているので、500ミリレンズをのせても大丈夫なくらい大きいのが一つ欲しかった。だが、この大きさと重量はかなりのやっちまった感だ。太くて頑丈という意味で大きいのは欲しかったものの、アイレベルをはるかに超える高さはいらなかった。この三脚は縮長が85cm程あり、雲台を付けると100cm近くにもなる。持ち出すには車が必要だ。

GITZO 5型5段アルミ三脚(型番は#690L)


見た目は若干くたびれているが、ロックナットの操作やパイプの出し入れはスムーズで精密感がある。4段目のロックナットのゴムが1個無くなっていたので、別のジャンク3型から拝借して装着した。

ごついエレベーター部分。41mm径のぶっとい脚は、握るとひんやりとしていて、感触としてはカメラ用三脚というよりも、建築足場の単管(48.6mm)に似ている。

スリックのレベリングユニットとマンフロットギア付きジュニア雲台410をのせた状態。ジュニアとはいえ大きく重い雲台だが、この三脚には小さく見える。

ハスキー3Dヘッド#1504をのせた状態。ハスキー雲台にはマンフロットのプレートアダプター394を装着。

2013年10月15日火曜日

D800E+Ai Nikkor ED 500mm F4P(IF)その2

Ai Nikkor ED 500mm F4P(IF)を再び持ち出してテストしてみる。前回のテストで薄々気付いてはいたが、期待したよりも少し物足りない。超望遠レンズとしてはシャープなのかもしれないが、軸上色収差も残っているし、凄まじいキレ味だとか言うのはちょっと無理だ。十分にシャープなレンズの場合、Capture NX2でのシャープの設定は、ハイパス半径0.7px+アンシャープマスク半径2%・適用量20%を基本にしているが、このレンズで解像感を出すにはもう少し半径を大きくしなければならないようだ。ちょっと探ってみた結果、アンシャープマスクの半径は6%、適用量は30%として現像することにした。もっとも、これらのシャープのパラメータは、俺がピクセル等倍で画像を観察する場合に、被写体の細部を最大限確認することができるような値に勝手に調整しているに過ぎず、プリント用に調整するなら別の値になるだろう。

ISO400, F5.6
(画像クリックで1280x854サイズを表示します )

ISO400, F8
(画像クリックで1280x854サイズを表示します )

ISO400, F11
(画像クリックで1280x854サイズを表示します )

ISO400, F8
(画像クリックで1280x854サイズを表示します )

F5.6 ピクセル等倍

F8  ピクセル等倍

F11 ピクセル等倍

F8 ピクセル等倍

共通:Nikon D800E, Ai Nikkor ED 500mm F4P(IF)
Capture NX2, ピクチャーコントロール[SD]
ピクチャーコントロールの輪郭強調無し
ハイパス0.7
アンシャープマスク:半径6, 適用量30%

おまけ:一番上の画像の物体は、遠くから見たときには何だか分からなかった。近づいてみると、でっかいキノコだった。スイカを半分にしたくらいの大きさ。

2013年10月7日月曜日

Ai Nikkor ED 500mm F4P(IF) vs Reflex-Nikkor 500mm F8 <New>

週末だ。あまり天気は良く無いが、入手したばかりのAi Nikkor ED 500mm F4P(IF)のテストに早速出かけよう。大きなアルミケースと三脚をママチャリのかごに押し込んでヨロヨロと出発。せっかくなので比較用にReflex-Nikkor 500mm F8 <New>も持っていく。重い。

Ai Nikkor ED 500mm F4P(IF)
(1988-2002)
 
Reflex-Nikkor 500mm F8 <New>
(1984-2005)
 
俺がゴーヨンピーと呼ばれるこのレンズに興味を持ったのは、過去に新旧二本のReflex-Nikkor 500mmを使ってみた経験からだった。500mmの超望遠レンズは、肉眼では捉えることが出来ない遥か遠方の被写体を目前に引き寄せ、極端な圧縮効果で分厚い大気や立ち昇る陽炎などが強調された独特で不思議な世界を描き出す。ミラーレンズにはミラーレンズの面白さがあり、神秘的なリングボケや驚異的なコンパクトさ、最近接撮影距離の短さなど、楽しい特徴がいくつもある。しかしながら、ミラーレンズにはいかんともしがたい大きな欠点があった。つまりはシャープネスだ。ミラーレンズは原理的に色収差が無く、光学・機械部品の製造精度は通常のレンズと同じであるからして、うまく使えば通常の屈折式レンズと同等のシャープネスが得られ、それが出来ないのは使いこなしに原因があるのだ、という意見も見かける。そう思っていた時期が俺にもあった。しかしミラーレンズを実際に手に入れて使ったことのある人ならお分かりだと思う。どんなに工夫を重ねても、結局はあまりシャープには写らないのだ。その原理に反して。 さて、そうなると通常の屈折式レンズがどのように写るのかが気になって気になって仕方がない。だが、大砲のような大口径ED超望遠レンズはとんでもなく高価だ。現行品はもちろんのこと、比較的安く手に入るMF時代の中古品であっても、鳥や飛行機などの飛び物が趣味というわけでもない俺のような者が、面白半分に手が出せるような代物ではない。でも欲しい。あの大砲みたいなやつを三脚に乗っけて弄りまわしてみたい。巨大な前玉が紡ぎだす画面いっぱいの鮮鋭な画像が見たい。最近久しぶりにオークションページを見ていたら手頃なものが出ているではないか。でもAi Nikkor ED 500mm F4P(IF)を最近のボディで使用したサンプル画像はあまり見つからず、D800Eで使用した場合の画質がまったくもって不明だ。MF時代の大口径ED超望遠レンズの実力は一体どのくらいなのだろう。少なくとも同時代のミラーレンズよりはシャープに写るとしたら、果たしてどのくらいなんだろうか。気になる。これはもう、自分で確かめるしかない、そう思った。
おっと、話がそれた。目的地に到着した。

※画像クリックでオリジナルサイズ(7360x4912 pix)の画像を表示します。

Ai Nikkor ED 500mm F4P(IF) F4

Ai Nikkor ED 500mm F4P(IF) F5.6

Ai Nikkor ED 500mm F4P(IF) F8

Ai Nikkor ED 500mm F4P(IF) F11
Ai Nikkor ED 500mm F4P(IF) F16

Reflex-Nikkor 500mm F8<New>

共通:Nikon D800E  ISO200
14bitロスレス圧縮RAW/Capture NX2
ピクチャーコントロール[SD]スタンダード
WB=晴天 
ピクチャーコントロールの輪郭強調=0, NR=なし
ハイパス:0.7px、アンシャープマスク:半径=2% 適用量=20%
灯台までの距離:約1210m
背後のTRPの建物までの距離:約1680m

いずれもライブビューで拡大して精一杯ピントを合わせ、ミラーアップして撮影したものだ。雲行きが複雑で露出が安定しない。ガスもかかっていて遠方はあまりクリアーに見えない状況なので、これが全てとは言えない。また、ピントを合わせた中央の灯台よりも、背後の建物は地図上では470メートル程後方にあり、周辺画質についてもこれが正確なものではないと考えた方がいい。次回は別の場所へ行って、もうちょっと良い画像を撮ってこようと思う。

気になるAi Nikkor ED 500mm F4P(IF) と Reflex-Nikkor 500mm F8 <New>の差だが、F8同士の画像を見てみると分かりやすい。



Ai Nikkor ED 500mm F4P(IF)のF5.6~F11では正面の赤い灯台に色モアレが生じていて、F16まで絞った画像ではこの灯台のモアレが消えている。Reflex-Nikkor 500mm F8 <New>は解像しきれていないようで、このモアレが生じていない。

Reflex-Nikkor 500mm F8 <New>の画像は、ソフトフォーカスのようにふんわりしていてコントラストが低い。だが、細部をよく見ると像の芯は確認できるので、これはシャープのかけ方次第ではもっと解像感が出る気がする。下の画像は、Reflex-Nikkor 500mm F8 <New>のシャープを調整してみたものだ。ピクセル等倍表示では少しノイジーだが50%くらいで縮小表示すると、もやっとした感じが減ってかなり良い感じになる。

※画像クリックでオリジナルサイズ(7360x4912 pix)の画像を表示します。 

Reflex-Nikkor 500mm F8 <New>
ハイパス:1.43px、アンシャープマスク:半径=7% 適用量=25%

左はReflex-Nikkor 500mm F8 <New> シャープ調整後
右はAi Nikkor ED 500mm F4P(IF)で上と同じ画像



おまけ:Ai Nikkor ED 500mm F4P(IF) の三脚座にはネジ穴が前後に2個ある。マンフロットの410PLプレートをくっつける際に、デジスコドットコムのネジを+1本調達し、ネジ2本で固定した。マンフロットのネジよりもちょっと傘が大きいが一応使える。


2013年10月6日日曜日

Ai Nikkor ED 500mm F4P(IF)入手

今回は大物だ。Ai Nikkor ED 500mm F4P(IF)を入手。フード・銀箱・ゼラチンフィルターホルダー付きのほぼ完品。このレンズはハードに使い込まれて外観がずたぼろになっている品が多いが、届いた品は銘板の塗装剥がれも少なく鏡筒やゴムローレットは新品を思わせる風情があり、年代の割にとてもきれいな品だった。フードや三脚座底面には相応のスレがあるので、使われていなかったわけではなく、運搬や保管の際に丁寧に扱われていたものと思われる。

Ai Nikkor ED 500mm F4P(IF) (1988-2002)
137,000円 (中古・オークションにて)

 HK-17フード装着状態
フードは触った感じや叩いた音からは金属製としか思えないが、
 仕様では炭素繊維強化樹脂となっている。

Ai Nikkor ED 500mm F4P(IF)がなぜマニュアルフォーカスなのか。このレンズが発売された当時の背景が気になったので調べてみた。このレンズはF4(1988年9月)よりも前の1988年3月に発売されたもので、当時、カップリングで駆動するタイプのAiAFニッコールが300mmまで発売されていたものの、既に1986年に発表済みだったAiAF Nikkor ED600mmF4S(IF)がレンズ側モーターの開発の遅れにより生産の目処が立たず、その穴埋めにこのNikkor ED 500mm F4P(IF)がマニュアルフォーカスのCPUレンズとして発売されたらしい。レンズ側にDCモーターを内蔵したAF-Iタイプの300mmや600mmが発売されるのは1992年なので、1990年に登場した伝説的巨大ズーム、Ai Zoom-Nikkor ED1200-1700mmF5.6-8P(IF)がPタイプのマニュアルフォーカスレンズなのも納得がいく。