2009年12月25日金曜日

枯野に蚊柱

この前のAi Micro-Nikkor 200mm F4 IFをまた持ち出してみた。前回、遠景の描写が悪いのが良く分かったので、今日はピントリングに倍率表示のある、約2.5m~0.71m(1/10~1/2倍)の間の撮影距離を中心に使ってみた。いつもの森へ出かけてみると、つい一週間前まで見かけたジョロウグモは、今日はもうすっかりいなくなっていた。あれは年中いる虫かと思っていたが、冬にはいなくなるみたいだ。「蚊柱」は夏の季語だそうで、冬の森で見かける蚊柱は、夏の蚊とはぜんぜん種類の違う「ユスリカ」という虫らしい。今この森で見かける虫といえば、このユスリカだけだ。

小さな虫はうまく写らない。このレンズはきっと、花やトンボなどに向いているのだろう。






Nikon D700, Ai Micro-Nikkor 200mm F4 IF
ピクチャーコントロール LS ISO200-400

正直、あまり写りはよくない。マイクロニッコールの銘に期待しすぎなのかもしれないが、とりわけシャープだとも思えないし、色収差も目立つ。カビ玉なのを差し引いても、逆光に弱くフレアが出やすいのは、元々のように思う。前玉のコーティングがやられている影響は少なからずあるようで、順光で十分絞っても、今ひとつ抜けが悪い。もちろん、千円の割には十分とは言えるし、コンディションの悪い品なので正しい評価は出来ないが、もし同じレンズできれいな物があっても、俺なら手を出さない。そもそも、200mmという焦点距離の性質上、近距離では画角が狭すぎて使い辛いのに、遠景での画質が非実用レベルというのは厳しすぎる。最大倍率が1/2倍という仕様もちょっと物足りない。このレンズでの等倍撮影にはテレコン(TC-300)を使う仕様らしいが、画質的には無理があるだろう。なお、Micro-Nikkor 200mmは、AF化されたED IFタイプから、単体での最大倍率が等倍になっている。

2009年12月23日水曜日

今年もあと少し

丸いデコレーションケーキが食べられるのは、お誕生日とクリスマスぐらいなものだ。お誕生日がクリスマス直前という方の場合はきっと、一個で兼用されてしまうに違いない。そういえば去年もこの日は休みだった。今年も一丁行ってみるか。天気も良いので。

すんごい人の数。
12月23日、天皇陛下の76歳の誕生日を祝う一般参賀に訪れた人の数は昨年を上回る3万560人だそうだ。ちらほら見える旗は、ツアー客を先導する旅行会社のもの。

参賀者にはインド、中国、欧米系とおぼしき外国人の方々も多い。
のぼり旗を立てている団体の方の真似をして、外国人の方々も「バンザーイ」と叫ぶ。
ハスキー三脚に大望遠の砲列

2009.12.23 11:00
昨年とほぼ同じく、「厳しい経済情勢の中で困難に直面し苦労している人々を案ずる」というお言葉。

2008.12.23 11:40
ちなみに昨年のご様子。Ricoh R8(200mm相当)で撮影。紀子様の服が同じ(帽子は違う)みたいだ。

2009年12月21日月曜日

Ai Micro-Nikkor 200mm F4 IFのテスト

フリーマーケットのダンボール箱から救出した、Ai Micro-Nikkor 200mm F4 IFをD700に付けて持ち出してみた。前玉のコーティングがカビでひどくやられているが、表面が乾いている状態では透明だ。前玉に小さな引っ掻きキズがいくつもあるが、望遠レンズなのであまり影響はないようだ。救出時は、前玉周囲の丸い染みをバルサム切れだと思っていたが、レンズ構成図を見ると最前面のレンズは単レンズだった。レンズクリーナーや雨滴などの水分が浸入して円弧状に染みになったものなら、分解して拭き取ることができればもう少しマシになるかもしれない。今回試してみたところ、現状でもカビやキズによる影響は感じられず、モノコートのEL-Nikkor 80mmF5.6よりはヌケがいい。結局のところ、十分まともに写る。
逆光時にはフレアが見られるが、カビ跡ののせいではなくて、元々こういう性能だと思われる。内蔵レンズフードはほとんど効果がないが、ハレ切りすると効果がある。

Nikon D700/ Ai Micro-Nikkor 200mm F4, F4
逆光時 内蔵レンズフードのみ

Nikon D700/ Ai Micro-Nikkor 200mm F4, F4
逆光時 内蔵レンズフードに手のひらでハレ切り

画面全体に空を撮影し、周辺光量をチェックする。開放では周辺光量落ちが見られるが、良い方だと思う。完全に均一になるのはF11から。


各絞りで撮影した画像を比べてみる。F4開放では甘く、絞ると良くなるが、シャープネスの最良範囲はF8~16の間。F22からは絞り過ぎで甘くなる。

全体画像(撮影距離:約15m)

中央部分を拡大(クリックで拡大画像)
このレンズ、マクロレンズなので仕方が無いと言えばその通りだだが、遠景の描写がとても悪い。このレンズは、1978年に発表されたマイクロニッコール初のインナーフォーカスタイプだが、遠景撮影時の性能はどうやら考慮されていない。設計上の基準倍率は不明だが、ピントリングに倍率表記のある1/10倍~1/2倍(約2.5m~0.71m)の間が、適正な撮影距離の範囲なのではないだろうか。無限遠では周辺部のぼやけがひどく、絞っても改善されないので、遠景では実用的ではない。

遠景のテスト。Nikon D700/ Ai Micro-Nikkor 200mm F4, F11
撮影距離:約45m

遠景中央部の拡大
モヤっとしてあまりシャープではない。

遠景右下角の拡大
こりゃちょっとひどい。カビのせいではなく、こういう性能だと思う。
F8 撮影距離 約1m

F8 撮影距離 約5m

F8 撮影倍率:1/2倍

F8 撮影倍率:1/2倍

F4開放時。点光源の後ボケ輪郭に、
前玉周囲の染みやカビ跡が写り込んでいびつな形になっている。


後ボケの点光源の輪郭には、前玉周囲の染みがモロに影響していて、見事にヘンなガタガタの形になっている。もちろん、近接撮影では十分にシャープな画像が得られるが、抜群かといえばそこまでのものは感じない。だが、このレンズの魅力が価格だけかというとそうでもなく、55mmや60mmよりもワーキングディスタンスが長くとれる点については利点だろう。俺は虫の撮り方は知らないが、このレンズなら虫が逃げない気がする。

2009年12月20日日曜日

Ai Micro-Nikkor 200mm F4 IFを救出

フリーマーケットのダンボールの中から千円で救出。Ai Micro-Nikkor 200mm F4 IFだが前玉のカビがひどくキズも多い。Ai-Sタイプではなく、フロントキャップと三脚座リングが無い。フィルタースレッドに変形があり、鏡筒も傷だらけだが、なんとかなりそうな気がして持ち帰った。

Ai Micro-Nikkor 200mm F4 IF ジャンク
1000円(フリマ)

前玉のカビがひどい。

前玉表面クリーニング後。なんか色々残っているが、割ときれいに。

鏡筒をきれいにした後、マウント面もきれいにする。望遠レンズにある、絞り羽根から後ろにはレンズがないタイプだ。絞りを開放にして、割り箸に巻いたレンズペーパーにエタノールを染み込ませたもので、最後面の玉を拭く。
汚いレンズはカビの伝染とホコリの逆流が怖い。鏡筒内の植毛紙についたホコリを、ブロワーとセロテープで丁寧に取る。後部キャップが取り付けられていたため、内部は意外ときれいなようだ。気になる前玉をエタノールで何度も拭く。見た目はきれいになったが、カビでコーティングがひどくやられていて、ハァハァして曇らせるとカビ跡が浮き上がって見える。表面には傷がいくつかあるが、画像全体が白っぽくなるようなヘアライン状の拭き傷ではなく、アタリのような傷なので意外に影響が少ないかもしれない。前玉の内側周囲に丸い染みやカビがあるが、化粧リングの外し方も分からず、レンチも持っていないので前玉の内側は拭くことができない。今回はこれまで。クリーニング後に観察してみると、やられているのは最前面レンズの前面がひどく、裏面は周囲の染みだけのようでクモリはない。2枚目の玉以降はカビもクモリもなくきれいに見える。いきなりD700に取り付けるのは怖いので、F3に取り付けてファインダーをのぞいてみる。うん。思ったよりもひどくない。むしろ、のぞいている限りでは前玉が汚いのは分からない。これは普通に写る気がする。絞りリングはクリックがヘタっているが、羽根の動きも問題ない。もう一度、腕が痛くなるまで後部をブロワーで吹いてから、D700に装着し、テスト撮影。

Ai Micro-Nikkor 200mm F4 IF
撮影倍率:1/2倍

最近接撮影距離は0.71m、マウント面からのレンズ長は172mmなので、最大撮影倍率の1/2倍時、レンズ先端から被写体までの距離(ワーキングディスタンス)は66.35cmになる。開放から一段ずつ絞ってAF-S Micro-Nikkor 60mm F2.8G EDの同倍率の画像と比較してみた。

左:Ai Micro-Nikkor 200mm F4 IF  右:AF-S Micro NIKKOR 60mm F2.8G ED
上から順にF4, F5.6, F8, F11, F16

どうも、60mmの撮影画像がちょっとピンボケだったみたいで、イマイチちゃんとした比較になっていない。とりあえず、Ai Micro-Nikkor 200mm F4 IFについてはF4開放時は少し甘く、シャープなのはF8~16の間。順光で絞る分にはかなり普通に近い状態で使えるんじゃないだろうか。今度、屋外へ持ち出してテストしてみよう。前玉のカビ跡と傷による逆光撮影時のコントラストの低下が、もしも許容範囲ならうれしい。

2009年12月12日土曜日

EL-Nikkor 80mm F5.6 逆付け

EL-Nikkor 80mm F5.6をL-Fリングを使ってベローズに逆付けし、D700といっしょに持ち出してみた。

Nikon D700, EL-Nikkor 80mm F5.6(ベローズに逆付け)
F5.6 撮影距離:約10m

中央部 ピクセル等倍

右上角 ピクセル等倍

半逆光のせいもあるが、玉がきれいなレンズの割にはヌケが悪く、開放ではコントラストが低い。中心部はシャープだが開放ではハロっぽい。像面湾曲が出るらしく、周辺部はピンボケで、コマも見られる。逆付けしているので、ベローズはできるだけ伸ばした上、撮影距離も焦点距離の80mmに近いあたりで使うべきなのだろう。絞っても中・遠景では実用的ではなく、画像は割愛する。そして、逆光時はフレアが盛大で使用は不可能。もちろん、順光での近接撮影なら十分シャープな画像が得られる。

F11 逆光時

F11 撮影距離:約0.5m


F11 撮影距離:約10cm

このつる状の植物の種は、ベローズを80%ぐらい伸ばして撮影。実物は直径5mmくらいなので、倍率は約2倍くらい。正付けでの中・遠景を見てみたいが、それにはBORGのm42ヘリコイドシステムや、EL-Nikkor用のREVERSING ADAPTER(34.5mmフィルタースレッドオス-L39マウントオス)が必要になる。

2009年12月10日木曜日

EL-Nikkor 80mm F5.6

秋葉原N店は何度かのぞいたことがあるが、俺の欲しいものは何もない。だがジャンク品を主に扱う別館(写真用品館)が最近できたようで、ちょっとのぞいたところ良さげな感じだ。35mm一眼レフ用レンズは9割方はひどいカビ・クモリ品だが、お値段は2000円前後で、探せばカビのないきれいな品もある。レンジファインダーのコンパクト機も豊富でお値段も2000円程度と手頃だが、かなり選別された故障品と見え、動作させるには同じものが2~3台必要、といった感じの手強そうなものが多い。今回は収穫無しかと思われたものの、以前から探していたEL-Nikkorのケース入りできれいな物があったので確保。

EL-NIKKOR 80mm F5.6
2,000円(秋葉原N店写真用品館)

EL-Nikkor 80mm F5.6は同じ物を持っているが、これは以前ベローズのおまけについて来た物で、ひどいクモリと拭き傷のある品を、無理やり磨いて引き伸ばしに使っていた。今回入手したものはそれよりも古い品だが、クモリもない極美品だ。

左:今回入手したEL-Nikkor 80mm F5.6(Nippon Kogaku銘)
右:以前入手したEL-Nikkor 80mm F5.6(Nikon銘)

6x7判の引き伸ばしや、ベローズマクロなどに使える。このレンズの基準倍率は2~15倍となっていて、本来は等倍での使用は想定されていないが、以前このレンズを使って35mmフィルムをD700で複写してみたところ、像面湾曲もなく周辺画質も良好だったため、スライドコピア用にも使用可能。このあたりの焦点距離のEL-Nikkorで無限遠を出す方法としては、BORGのM42ヘリコイドを使う方法が知られているが、別途M42マウントアダプタ等も必要になるので俺にはコスト高だ。また、トミーテック社の案内では80mmレンズとBORG M42ヘリコイドの組み合わせでは、Fマウントよりもフランジバックが2.5mm短いEOSマウントでも無限遠が出ない、となっているのでFマウントでは無限遠が出ないことになる。だが、俺にはベローズを使って無限遠を出す方法がある。実は、EL-Nikkor 80mm F5.6の鏡筒はFマウントの穴に入るのだ。なので、逆付け状態であれば、レンズをベローズの中に入れることができ、無限遠を出すことができる。俺が持っているL-Fアダプタが特殊なのかも知れないが、アダプタ内側のL39ネジがマウントを貫通しているので、本来カメラ側になる面にレンズを取り付けることができるのだ。

L-Fアダプタを使って逆付けするとEL-Nikkor 80mm F5.6の鏡筒がベローズ内に入る。

ただし、同じEL-Nikkor 80mm F5.6でもL39マウントリングの外径の違いにより、Nikon銘のものはFマウントの穴に入るがNippon Kogaku銘のものは僅かに大きくて入らないことが分かった。マウントリングは取り外すことができるので、たまたま両方もっている俺の場合は、Nikon銘のレンズに付いているマウントリングをNippon Kogaku銘のレンズに付け替えればいいだけなので問題ない。

すっぽり入る。
もちろん、絞りを操作する際にはレンズをいったん取り外す必要がある。

後から見た状態。

俺は持っていないが、EL-Nikkorの34.5mmフィルタースレッドに取り付けるための、純正の前側マウントリング「REVERSING ADAPTER for EL-Nikkor 50/4 80/5.6」という品物があるらしい。これとL-Fアダプタを使用すれば、ベローズ内に鏡筒が入り込む形で正付けができると思われるのだが、入手は困難だろう。

2009年12月5日土曜日

また森か

時間があると行ってしまう。ここでは日々刻々と何かが変化している。今は何をするよりも、この森へ行くのが楽しい。数日前には葉を落としていなかった木が今日はすっかり葉を落としている。俺は枝にくっついている鮮やかな紅葉よりも、全部葉が落ちて地面にいっぱい敷き詰めらた渋い色調の方が好きだ。この森は、今が一年中で一番良い季節だ。












沼の水面を覆う緑色の生物。どうやらミジンコウキクサという植物らしい。

Nikon D700 Nikkor-S Auto 35mm F2.8 F2.8
AF-S Micro NIKKOR 60mm F2.8G ED
ISO200-800 ピクチャーコントロール LS