2009年9月28日月曜日

Mamiya-6 もう一本

今日もマミヤシックスをぶら下げて出発。今回は4.5x6で。二眼レフを使っていたこともあるが、実は俺は正方形のフォーマットはあまり好きではない。6x6の構図が箱の中に物を配置するような作業なのに対し、フレーム内の景色が上下あるいは水平方向に、フレーム外へも連続的に続いているような感覚を想起させる長方形のフォーマットの方が、窮屈な感じがしなくて好きなのだ。

帰ってネガを現像してみると、バックフォーカシングの関係だろうか、1コマ目と2コマ目のコマ間がほとんど無い。また、3コマ目が未露光になってしまっている。 コマ数切り替えスイッチのロックが緩くなっており、3コマ目をセットする際に、コマ数切替レバーが16と12の中間位置で引っ掛かっていたため、巻き止め が働かなかったのだ。難儀なカメラだ。










マミヤシックス V型 D.ズイコー 7.5cm F3.5
Y2フィルター使用
ネオパン100ACROS ミクロファイン1:1希釈25℃
CanoScan 8800F 2400dpi




Nikon D700
AF-S Micro NIKKOR 60mm F2.8G ED


撮影場所:東京都中央区 浜離宮恩賜庭園

2009年9月26日土曜日

Mamiya-6 ピント調整

6x6でテストした後、4.5x6で更に一本撮ってみたが、やはりほんの少し前ピンなのでピント調整することにした。フロントボードからレンズを取り外すと、シャッターとフロントボードの間にフランジバックを調整するための、数枚の紙製のリングが挟んであるので、これを抜けばフランジバックを短くできる。


ピント調整の前に、分解したついでにもう一度レンズを磨く。このレンズは3群4枚のテッサータイプで2枚目の前面(凹面)のコーティングがひどく劣化して白くくもっている。レンズペンで強く磨いたところクモリがだいぶ薄くなったが、これ以上は無理なようだ。

レンズペンで強く磨く。

光にかざすとクモリとコーティングのムラが見える。

直入射光がなければそこそこクリアー。

シャッターは操作が固いものの、ガバナーは完調、羽根に油染みも無いので軽い清掃にとどめる。そもそも、分解してしまうと組み立てる自信がない。汚れたグリスを拭き取り、擦れる部分に極少量のシリコンオイルを塗る。シャッターダイヤルを1/250秒の位置から1/500秒へ回転させる際の操作が固いと思っていたが、1/500秒だけはこの操作により、シャッターのスプリングに強力な追加テンションがセットされる仕組みになっている。だからこの操作がある程度固いのは正常なのがわかった。なお、シャッターチャージ後にこの操作を行なうのは、シャッターダイヤルに異常な力が掛かり危険だ。1/500秒のスプリングは強力なので、なるべく使用は避けた方が機械には負担が少ないだろう。

ついでに軍幹部のカバーも外してファインダーレンズなど清掃する。巻き上げノブはただ左へ回すと外れ、巻き上げノブのカニ目は取り外しには関係ない。軍幹部カバーは前後2箇所づつ計4箇所のマイナスネジを外せば取り外すことができる。右手前に5個目のネジがあるが、距離計調整用の穴の蓋であり、カバーの固定には関係ない。ファインダーの接眼レンズの内側がカビと汚れでひどくくもっているが、清掃するには距離計を下ろさなくてはならず、今回は遠慮する。

今回はこのリングを1枚抜くことにした。

古い二眼レフから拝借したピントグラス。


今回は距離計の調整はしない。ピントノブを無限遠いっぱいに回したところで距離計の二重像はちゃんと一致する。ピントグラスをフィルムゲート内に挿しこみ無限遠のピントをチェックする。ルーペで観察する。念のため絞り開放だけではなく、絞った状態でもピントを確認する。うん。うん。ピッタリだ。これで良い。早速マミヤシックスをぶら下げて出発。

F8 Y2フィルター使用

元画像(4976x4864pix)のピクセル等倍

F5.6

元画像(4976x4856pix)のピクセル等倍

F5.6

元画像(5291x5102pix)のピクセル等倍

F4

元画像(4952x4984pix)のピクセル等倍

共通データ:
マミヤシックス V型 D.ズイコー 7.5cm F3.5
ネオパン100ACROS ミクロファイン1:1希釈26℃
CanoScan 8800F 2400dpi
撮影場所:東京都北区 旧古河庭園

ピントを合わせた箇所を拡大画像にした。ほぼ無限遠の洋館の画像もキリっとしている。(これだけはイエローフィルターを使っているが)その他近景も、距離計で合わせた位置にピッタリピントが来ている。これ以上は無いだろう。良しとする。
さすがに50年以上前のレンズなので、シャープネスには限界を感じるものの、周辺部での像の流れもなく、クモリが残っている割にはコントラストも良い。古いレンジファインダーカメラ用のレンズは球面収差の補正がアンダーコレクションになっているものが多いという。アンダーコレクションのレンズは後ボケを良好にする効果や、開放時には線が太いものの、ハロを出さずに良好なコントラストの像を結ぶといわれている。このレンズも、開放で比較的コントラストが良いことや、絞り込んでも大きな変化が見られないところから、いわゆるアンダーコレクションのレンズなのではないかと思っている。3枚目の橋の写真などを見ると、気のせいかも知れないが、なんだか不思議な立体感がある。

2009年9月22日火曜日

Mamiya-6 テスト

レンズ前群は回すだけで簡単に外れたので、持ち出す前にレンズを清掃した。カビはシャッターを開ければアクセス可能な後群の最前面にあり、クリーナーで拭くだけで簡単に取れた。しかし、クモリは前群2枚目の前面で、表面のコーティングがひどく劣化したもののようだ。前群を分解し、クリーナーで拭いてみたがクモリはまったく取れず、レンズペンで強く擦ってみたところ少しは取れたものの、完全に除去する事は出来なかった。念のために、もう一度ピントグラスを使って無限遠をチェックしてみたところ、ほんの僅かに甘い。フランジバックがほんの僅かに長いかもしれない。絞れば被写界深度に入ってしまう程度かもしれないので、調整が必要かどうかは実写の具合を見て考えることにしよう。ACROSフィルムを詰めて出発。

F8 1/100sec
左上が白っぽくなっている。ネガの漏光箇所とは異なり、レンズのクモリによるものだと思われる。

F8 1/50sec

F8 1/100sec

F8 1/100sec

F3.5 1/50sec

F8 1/100sec
1200dpiでスキャンした元画像(2492 x 2436 6MP)の一部を拡大

F5.6 1/50sec

1200dpiでスキャンした元画像(2476 x 2432 6MP)の一部を拡大

マミヤシックス V型 D.ズイコー 7.5cm F3.5
ネオパン 100 ACROS ミクロファイン1:1希釈24℃
CanoScan8800F 1200dpi(6.0MP)からリサイズ
撮影場所:港区 旧芝離宮恩賜庭園ほか

レンズが怪しいので、F8くらいにまで絞りたいところだが、あまり天気が良くなかったため、ISO100のフィルムではシャッタースピードは1/50~1 /100秒となった。バランスが良く持ちやすいカメラだが、1/50秒で撮ったものはブレが少々みられる。レンズのクモリの割には画像はまずまずのコントラストで、周辺も 悪くないし絞り開放でもよく写る。2枚目の写真では、真ん中の松の木の少し後ろにピントを合わせた。通常、被写界深度はピント面の手前よりも奥により深いものだが、このレンズの場合、何だかピント面より手前に深いように見える。小便小僧の後姿では彼の背中にピントを合わせたが、やはり同じ印象を受ける。もちろん前ピンの可能性もあるが、ピントを無限遠に合わせた東京タワーや浜松町から大門方向を望む写真では、無限遠はそれなりに解像している。今回はピントを判断するのに適切な写真はなかったので、調整が必要かどうかはもう少し使ってみてから決めようと思う。



ネガを見ると漏光が見られる。モルトは当然のごとく朽ち果てているが、どちらかというと赤窓が怪しい。コマ送りが心配だったので、撮影中に何度か赤窓を空けて裏紙の送りを観察していたのだ。1枚目をセットするには赤窓を使わざるを得ないが、以降はシャッターを閉じておくべきだろう。このカメラはバックフォーカスなので、 裏蓋と圧板は密着していない。ピントが無限遠のとき間隙が最も大きくなり、赤窓からの光がフィルム面に回り込む可能性も高くなると思われる。赤窓使用時 は、フォーカスノブを最近接位置にしておくのが正しい使用方法なのかも知れない。心配だったコマ送りだが、コマ間が少し狭いようで、フィルムの最後は1コマ分ぐらいが余ってしまうようだ。ハサミを入れるのが辛い箇所もあるが、心配していたダブりなどはなく、巻き止めは正常に機能していると思われる。次回は 6x4.5を試してみよう。

2009年9月21日月曜日

Mamiya-6 確保

今日はお休みだったので、これまでノーマークだった渋谷のK店へ。中古カメラフロアへ行ってみると、超望遠レンズなどの大物は無いが、全国的に自社で買い取った品から状態の良いものを並べていると見え、35mm一眼・レンズなどきれいな品が多い。量販店だけあって価格も良心的。せいぜいオークションの1~2割増といったところで、店頭で品物を手にとって確認できる上、送料も掛からないという点ではオークションよりもお得感が高い。極めて好印象だ。
事前調査で同店のWebで見たMamiya-6(5,800円)がまだ店頭にあった。とりあえず状態を確認させてもらう。レンズにはちょいカビ・クモリありだが、シャッターOK、蛇腹穴なし、二重像鮮明、巻き上げ・沈筒・距離計連動・レリーズ連動など機械の動作には異常は無い。店頭でさんざん弄くり回した末、確保を決定。

マミヤシックス V型
純正フード・ワルツ銘48.2mm径Y2フィルター付き
(強烈にカビ臭い革ケースも付属
5,800円(渋谷K店)

背面に赤窓、左上に12枚/16枚を切り替えるスイッチがある。

軍幹部。左の巻上げノブの上には、フィルム種別をメモするためのパネルがある。
PANCHRO/H.S.PAN/ORTHO/COLOUR/INFRARED/EMPTY と書いてある。
カラーの表記がなぜこうなのか不明。

レンズはD.ズイコー7.5cm F3.5
セイコーラピッドシャッター B,1~1/500秒

店頭で触っていたときは6x4.5判のマスクが欠品していると思っていたが、
なんとマスクは内蔵式で、フリップ状にフィルム室内に格納されている。


距離計窓とファインダー(6x6)

ファインダー(6x4.5)
店頭ではファインダーの下にあるレバーが何だか分からなかった。
実はこれをスライドさせると、ファインダーに6x4.5判用のマスクが掛かる。


ブローニーは好きだがRB67は重いので、手頃なスプリングカメラを以前から探していたところだった。セミ版専用の物や距離計が無い機種は面白くない。Mamiya-6はちゃんと連動距離計も内蔵している。持ち帰った後、外観を清掃し、ブローニーの裏紙を通して巻き上げを動作を確認。このカメラ、フィルムの装填方法が非常に難しい。オートマットでもスタートマーク式でもなく、完全な赤窓式でもない。1枚目だけを赤窓で合わせ、2枚目以降は自動的に巻き止めが働く仕組みだ。知っていれば簡単なのだろうがが、このカメラについて何も知らない俺は、巻き止めとカウンターの関係を理解するのに時間が掛かった。前のフィルムを取り出した後、巻き止め解除レバーが一度でも操作されていると、最初にリーダーを送る操作でカウンターが「1」から進んでしまう。すると、赤窓に裏紙の「1」が出る前にカウンターが「2」になり、そこで巻き止めが働いてしまうのだ。つまり、フィルム装填前には必ず巻き上げノブを回してみて、カウンターが「1」から進まないのを確認しておかなければならない。もし進んでしまう場合は、カウンターが一回転して「1」になるまで空送りさせておく必要がある。この手順を怠ると、フィルムを入れ直すにはダークバッグが必要になってしまう。シャッターチャージはセルフコッキングではないが、レリーズ後にはファインダー内に赤ベロが出て二重露出を防止するようになっており、巻き止め解除レバーを操作することで赤ベロも引っ込むようになっている。ふーん。よく出来ている。更には、ピント調整はヘリコイドではなく、距離計に連動して何とフィルム面が前後するという珍しい機構で、このバックフォーカシングの機構こそがMamiya-6の最大の特徴らしい。1940年から1955年の間に製造されたMamiya-6には、多くのバリエーションがあり、最終型ではオートマットとセルフコッキングをも搭載しているという。今回俺が入手したものは、各部の特徴から、どうやら1953年11月 (昭和28年) に発売されたというマミヤシックス Ⅴ型 であるらしい。ウィキペディア(Wikipedia)マミヤ・オーピーのカメラ製品一覧で詳しい分類を知ることができる。

さて、一通りの清掃とフィルム送りのテストを終えたが、やっぱり気になるのはピントが合っているかどうかだ。早速確認してみよう。ピントの確認には古い二眼レフから拝借したピントグラスを使用する。カメラを三脚に乗せ、カメラのピントダイヤルを無限遠いっぱいに回し、遠景に向ける。距離指標が無限側でストップするところでファインダーの二重像もちゃんと一致する。フィルム面位置に置いたピントグラスをルーペで観察してみるときれいにピントが合っている。良かった。問題なさそうだ。


レンズのカビ・クモリについては下手に手をつけると、ピントが狂ってしまう恐れがある。差し当たり、このままテスト撮影してみようではないか。明日晴れるといいな。