2012年8月30日木曜日

シーサイド・トップの夜

シーサイド・トップというのは、浜松町の世界貿易センタービル40階にある展望台の名前だ。三脚の持ち込みが可能なビル展望台は希少だが、ここはその一つだ。撮影時にはいくつかの注意事項はあるが、とりわけ大きな制限はない。とはいえ、来てみるとフロアは思いのほか静かで暗く、そこはかとなくムーディな雰囲気が充満している。若いアベックや一人黙ってボケーっとしている人が多い。ここで三脚をガチャガチャやったり屁をブリブリたれたりしては無粋である。まずは窓辺のチェアに腰掛け、冷たい缶コーヒーをチューチューしながら肉眼で夜景を楽しむとしよう。周囲の空気に十分馴染んできたようなので、そっと三脚を伸ばして密やかに撮影を行う。

  50mmレンズで撮影した3枚の画像をHuginで合成したパノラマ画像
画像クリックで1600x408ピクセルの画像を表示します。

ISO100, F8, 15秒 AWB
画像クリックで元サイズ(7360x4912)ピクセルの画像を表示します。

 ISO100, F8, 15秒 AWB
画像クリックで元サイズ(7360x4912)ピクセルの画像を表示します。

ISO100, F8, 10秒 AWB
画像クリックで元サイズ(7360x4912)ピクセルの画像を表示します。
 共通データ
 AF-S NIKKOR 50mm F1.8G, Nikon D800E
ピクチャーコントロール=SD(スタンダード)
Capture NX2/Photoshop Elements 5.0

日中屋外での撮影でAWBを使うことはあまりないが、夜景の場合はオートホワイトバランス(Auto1)が適しているようで、カブリ感がなくナチュラルな印象の色合いになる。展望室のガラスには飛散防止フィルムがはられているので、大きなサイズの画像では光源に若干の滲みが見られるものの、飛散防止フィルムの平面性は高く、ガラスも良く拭き上げられているので、十分に鮮明な画像を撮影することができる。暗幕の使用は禁止されているが、展望室のフロアの照明は非常に暗く、窓への写りこみはかなり少ない。窓によっては非常口のランプが写りこんでしまう場合があるが、ある程度は致し方なく、そこは後でフォトショップで消すしかない。

2012年8月27日月曜日

AF-S NIKKOR 50mm F1.8G vs AF-S Micro NIKKOR 60mm F2.8G ED

再修理に出していたAF-S Micro NIKKOR 60mm F2.8G EDが戻ってきた。先日AF動作不良のためSWMを交換してもらった品だが、ひどい片ボケ状態で組み立てられて返却されてきたため、再修理をお願いしていた。戻ってきたレンズのテストのついでに、AF-S NIKKOR 50mm F1.8Gでも同じ画像を撮影してきたのでどっちがシャープなのか比べてみよう。

(画像クリックで元サイズ 7360x4912ピクセルの画像を表示します)

 AF-S NIKKOR 50mm F1.8G F8

 AF-S Micro NIKKOR 60mm F2.8G ED F8

  AF-S NIKKOR 50mm F1.8G F8

 AF-S Micro NIKKOR 60mm F2.8G ED F8
共通データ:Nikon D800E, ISO100, ライビューコントラストAF
ピクチャーコントロール[SD]スタンダード, WB=5000K, ロスレス圧縮RAW(14bit)
Capture NX2 ハイパス=0.7, アンシャープマスク=半径2,20%, カラーノイズリダクションOFF

最初の画像は城南島から中央防波堤~若洲方面を写したものだ。2枚の画像を撮影した間隔は3分30秒で、光線状態にはほとんど差は無いはずだが、色合いとコントラストに若干の差がある。Micro NIKKOR 60mm F2.8G EDはナノクリとはいえ9群12枚という構成で、そこは6群7枚と面数も少ないAF-S NIKKOR 50mm F1.8Gの方が、やはりコントラストも高くヌケが良いと言える。この画像では2本のレンズとも、画像右端が中央・左端に比べてやや甘いように思う。再修理前のMicro NIKKOR 60mm F2.8G EDは、左端がひと目で分かる程の異常な片ボケだったので、片ボケそのものは直っていると言える。俺のD800Eでは実は別のレンズ(AF-S NIKKOR 14-24mmF2.8G)でも左右の解像力の差には疑問があり、ボディ側の原因も考えられなくもない。しかし、下手にボディを修理に出すと余計にひどくなる可能性もあり、一度調整に出すとまた再テストが必要になる。テストも趣味のひとつだが、そればかりに明け暮れるのは御免だ。軽微な現象はある程度甘受した方が幸せなのかもしれない。臨海トンネルの換気塔の建物を写した縦位置の画像ではAF-S Micro NIKKOR 60mm F2.8G EDの周辺画質が今ひとつだ。左右端や下端では放射方向に像が流れている。なんかおかしい。以前は周辺までもっとしっかり良く写るレンズだと思っていたが、元々こんなだっけか。フォーカスポイントが画像中央のため、タイル面はピント面よりもやや手前になるはずで、この部分はピントが合っていないとも言えるが、最初の修理で片ボケだった件が、どうもひっかかって何だか疑惑が残る。AF-S NIKKOR 50mm F1.8Gは下端のアスファルト地面や最周辺のコーナーまで抜群に解像している。F8まで絞っているとはいえ、もう少し像面湾曲による周辺画質の低下があると思ったが、フォーカスポイントを画像中央(塔の下あたり)にしている関係で、逆に像面湾曲のおかげで周辺部の前ピンが、より近い距離の地面のあたりとちょうど一致した結果なのかもしれない。塔の上部は横位置時の右端に相当するが、下のタイル部分に比べると遠方になり、周辺部も空なので画質の判断は難しい。正直、今までずっと使ってきて先日SWM交換に出すまでは、Micro NIKKOR 60mm F2.8G EDは遠景も完璧だと思っていたが、今回の比較ではAF-S NIKKOR 50mm F1.8Gの方が良い場合もあり、修理から上がったMicro NIKKOR 60mm F2.8G EDには、なんだか新たな疑惑が生じる結果となってしまった。

AF-S Micro NIKKOR 60mm F2.8G EDの片ボケ

このAF-S Micro NIKKOR 60mm F2.8G EDは、2か月程前にAF動作異常のため修理(SWM交換)してもらったものだ。修理完了後は、モーターの動作を確認しただけで、しばらく使っていなかったが、先日使ってみたところ異常な片ボケ状態で組み立てられていたことが判明。左端の像の流れが顕著で、この部分は前ピンでも後ピンでもない。単純な片ボケというよりも解像不良と言った方がいいかもしれない。この件は既に再修理が完了しているが、当時の画像だけここに残しておこう。再修理後にAF-S NIKKOR 50mm F1.8Gとの比較も兼ねてテストした様子はこちら

全体画像

左端

中央

右端

AF-S Micro NIKKOR 60mm F2.8G ED
ISO100 F8
 Nikon D800E

2012年8月5日日曜日

手作り日光写真カメラ

百円ショップで見つけた日光写真カメラのキット。フィルムは青写真用のコピアートペーパーで、アイロンで簡単に現像でき、撮影した感光紙がそのままモノクロのポジ画像になる。


キット内容は、箱になる厚紙、虫眼鏡、トレーシングペーパー、感光紙。
組み立ては簡単。外筒の先端にレンズを取り付け、内筒の底にトレーシングペーパーを張ってピントグラスにする。一番上に載っている小さな箱は外筒の先端にかぶせるシャッター。説明書ではピントを合わせた後中筒を引き抜いてトレーシングペーパーの上に黒紙を乗せ、その上にテープで感光紙を固定するように指示されていたが、この部分だけ追加部材(アルバム用の三角コーナー)を使うことにした。シャッターの絵にはF=4 36mmと書かれているが、付属レンズの焦点距離と推定F値は約90mm・F3.6。画面サイズは約3.5cmx5.5cmだ。
中筒の後ろのプリントがやけに精密感があり、本物の中判カメラをモチーフにしているっぽい。ハッセル風のピントフード、チャージレバーの形状とピントノブの配置はどう見てもRB67そのものだ。
パッケージの台紙では、中筒に密かに施されたこだわりのデザインは「一部レンズ等の線」扱い。

カメラをスリックプレートに固定し、三脚に載せる。

トレーシングペーパーに逆さの像が見える。中筒を前後させてピントを合わせ、中筒の位置を印刷された目盛りで覚えておく。感光紙を装てんするには中筒を一度引き抜かなくてはならないからだ。感光紙の装てんと現像は一応赤色光下の暗室で行ったが、感光紙の感度は非常に低く、暗めの室内で素早く作業すればカブリを生じることはないと思う。露光時間は晴天時で20~30分。露光後の感光紙にアイロンをあてるとすぐにポジ画像が浮かび上がる。アイロンの温度に指示はないが、化繊用のやや低めの温度でやってみたところ、それで現像できた。現像時間は1~2秒でそれ以上アイロンを当てても濃くも薄くもならない。




箱が軽すぎて風でぶれてしまっり、中筒がブカブカだと露光中にピントがずれてしまったりして、シャープな画像を得るのは中々難しい。2枚目の画像がベストショットだ。日光写真カメラは子供の夏休みの自由研究か工作の足しにでもなれば、と思っていたが、子供にはあまり興味が無かったようだ。結局は俺が遊んで終わった。俺が日光写真カメラで一生懸命に遊んでいる最中、子供たちは何だか変な作業を粛々と遂行していた。

カレンダーに落書きをしているようだ。
手に爪楊枝を握っている。こりゃあひどい。
と思ったら、裏返すと中々の出来栄えだった。

Reflex-Nikkor 500mm F8 <New>テスト その2

旧盆には少し早いが、混雑を避け少し早めに一週間ほど帰省。少し荷物になるが、スーツケースには三脚とReflex-Nikkor 500mm F8 <New>も入れて行く事にした。






Reflex-Nikkor 500mm F8 <New>, Nikon D800E, 
ISO100, ピクチャーコントロール:[SD]スタンダード
すべて三脚使用


Reflex-Nikkor 500mm F8 <New>はブレやピントには非常にシビアで、大変扱いの難しいレンズだ。うまく撮れた場合でも解像力は然程良いわけではなく、細部はフレアがかったソフトな写りだ。A4程度のサイズであれば十分なシャープネスだとは思うが、大きなサイズのプリントやピクセル等倍鑑賞では不満があるかもしれない。ミラーレンズではない一般の望遠レンズに比べるとコントラストは低めであるものの、色収差はほとんどなく、ピント面の前後や水面のキラキラに色が付くことも無いので、色は自然ですっきりしている。リングボケは画面周辺部でも欠けが少なく、口径食は少ないと言えるが、その割には周辺光量落ちが目立つ。上の画像はCapture NX2で周辺光量の補正を最大値で適用している。筒先が軽く三脚座も小さいため、風やミラーショックなどの微振動による影響が非常に大きい。ブレの無い画像を得るにはミラーアップが必須だ。被写界深度は無いに等しく、ピント面が前後の描写は非常に複雑なため、僅かなピンボケでも見るに堪えない画像になってしまう。フォーカスエイドは作動するものの、ファインダースクリーンでのピント合わせはほぼ無理なレベルだ。正確にピントを合わせるためには三脚に固定してライブビューで拡大する必要があり、明るく高速シャッターが切れる条件であっても、手持ちでの撮影はほぼ無理と思われる。