2018年5月1日火曜日

AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VR(その3)初期不良の巻

AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VR
実は、4月中旬に入手はしていたが、不良品の個体に当たってしまったので、まずは最初の修理が完了するまでの間、前置きの記事で時間を稼いでいた。
AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VR(その1)
AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VR(その2)
品物はAmazon経由で大阪の老舗ショップから購入した新品で、一見動作は正常なものの、片ボケと解像不良に加えコントラストAF時のピンボケがひどく、性能云々を評価できる状態ではなかった。片ボケのケースではメーカーとのやりとりが長期化し問題が泥沼化するのは必至で、ショップへの返品をまず考えたものの、ショップ側に責任が無いことは明白なので、泥沼化を覚悟の上でメーカーへ修理に出すことにした。

左:AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED(2007-2015)
右:AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VR(2015-)


前玉はフッ素コートされているが、Amazonでお買い得だったハクバのXC-Proプロテクターを装着する。これも撥水防汚効果と低反射率(0.3%)をうたう。

ショップへの返品をしなかったのはこのレンズが品薄状態なのもあるが、片ボケや解像不良については元から想定内だったのもある。光学系が合格点でも、ズームレンズだとほぼ必ず位相差AFに関する調整は必要になる。いずれにせよ、初回のテスト後にはメーカーへ調整を依頼する必要があるとは思っていた。AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VRについては海外のレポート記事でも、手に入れたコピー(個体)が「偏心(Decentered)」していたという報告が数多くあり、性能評価についても賛否が大きく分かれていることから、新品の不具合は最も警戒していたのだが、予想が的中する形になった。

偏心を報告しているユーザーは海外に多く見つけられる。
https://www.cameralabs.com/nikon-24-70mm-f2-8e-vr-review/
「私がテスト用に持っていたレンズの最初のコピーが偏心していて、電磁絞りはレンズを止めるときに滑らかで安定した進行を保証しなかった」
「レンズのフロント/バックフォーカスは異なる焦点距離に対して1つのAF微調整値で効果的に補正できなかった」
「あなたが2500ユーロを要するプロフェッショナルグレードのレンズから期待すべきではない大きな迷惑」
「そして、私の2番目のコピーも偏っていることが判明しましたが、これはNikonサービスによって修正されました。」
http://srussenschuck.com/hands-on-review-nikkor-24-70-vr/
「この新しいNikkorズームは、強力なコンピュータ(MTF曲線で表現された)のレンズ設計による解像度向上が、適切な品質保証なしで迅速にどのように低下するかを示す例です。」

AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VRの発売予定日は、元々は2015年8月27日だったが、「お客様により満足していただけるよう」という理由で発売は2か月後の2015年10月22日に変更された。「満足していただけない状態」とはつまり、設計上の目標品質を製造で達成することができない状態を指すものと考えられる。発売してから約1年後の2016年11月には、外観上の不具合を理由にリコールが行われ、この件ではニコンの製品出荷手順に疑問が生じることになったが、一方で対象になる個体ひとつひとつのシリアルナンバーが公開され追跡能力の高さは示されたものの、そのバランスの悪さに違和感を感じさせる一件となった。また、2017年11月の品不足アナウンスも記憶に新しい。発売後の様々なユーザーレポートの結果では、このレンズの性能については否定的な評価が多くを占めており、発売から2年半が経過した現在でも今回手に入れたような品質の製品が出荷されている事実を見ると、発売前に起こった問題が技術的に解決されたのかどうかが怪しくなり、海外サイトの中にはニコンが大量のバックオーダーを抱えていることが乱造の原因だとするものもある。

購入直後の状態
さて、まず購入直後の状態からいこう。AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VRとAF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G EDで、各々ズームの中間あたりで一般的に最も画質が良いであろうと思われる50mm F5.6で撮影した画像を比較してみる。

AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VR
f=50mm F5.6
Nikon D850 ISO200

AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED
f=50mm F5.6
Nikon D850 ISO200
各々コントラストAFで画像中央でフォーカスし、サイレントモード1で無振動撮影している。24-70E VRは右端が極端にボケており、この画像だけでもこのレンズが異常であることがはっきりわかる。VRはONになっているがOFFの場合も同様だった。左端は24-70E VRが良好でコントラストの高い画像になっている。もし右側もこれなら原田氏のお話と合致する。24-70Gはワイド端では遠距離が苦手なレンズだが、50mm時の両端はフレア気味でコントラストの低下はあるものの、非常に良く解像している。
テストでは24mm・50mm・70mmでF2.8~F11の画像を撮影したが、面倒なのでここでは他の画像は割愛する。AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VRは、どの焦点距離でも全般に画像右側の解像が悪く、70mmではコントラストAFでは後ピン、位相差AFでは前ピンとなり、撮影した画像はすべてピンボケだった。

長くなったので、一回目の修理の結果は次回で報告したい。
次回:AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VR(その4)

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