2010年3月25日木曜日

鶴見線国道駅


国道という名前の駅がある。駅舎は戦前に造られた古いコンクリート造りで、ガード下の風景が特徴である。鉄チャンや場末愛好家には有名スポットだ。何かのついでに行ってみたいとは思っていたが、なかなか行く機会がなかった。行ってみてわかったが、なにかのついでなどあるような場所ではない。ここに用があるのは住んでいる人だけだ。

平日の午後、ここで乗り降りする人は2~3人。

無人駅の改札

ガード下

ガード下のかつて商店や住居などがあったであろう壁面の大部分は、真新しいコンパネやトタンで覆われている。工事用のパイロン、ステンレスの自転車、エアコンの室外機が目に付く。そしてBOSSとコカコーラの自販機が燦然と輝く。確かに古い佇まいを感じる部分もあるが、よそ者の好奇の目に反発するかのように、どこを向いても残念な物が仕掛けられている。



鶴見川











Nikon D700, Nikkor-UD Auto 20mm F3.5
ISO800-3200 F3.5-11
ピクチャーコントロール[LS] ホワイトバランス:晴天


2010年3月23日火曜日

六義園の枝垂桜

駒込の六義園(りくぎえん)へ行ってきた。入り口の門をくぐったすぐのところにあるシダレザクラが名物なのだが、ちょっと早かったみたいだ。3月31日までは21:00まで開園していて、夜はライトアップが行なわれているそうだ。まだ開花したばかりのようで、見頃は来週だろう。

Nikon D700, Nikkor-UD Auto 20mm F3.5 
ISO200 F11 ピクチャーコントロール[LS]



Nikon D700, Micro NIKKOR 60mm F2.8G ED
ISO200 F2.8 ピクチャーコントロール[LS]

2010年3月22日月曜日

radikoをサービスエリア外から聴取する方法

radikoはインターネットを使って地上波ラジオをサイマル放送するサービスだ。3月15日から試験的に始まっているが、配信エリアが限られていてエリア外では聴くことができない。クライアント側のソースアドレスでエリアを判別しているようで、職場からプロキシなしでアクセスするとエリアが海外と判定されてしまう。これをどうにかしてこれをプロキシ経由でエリア外から聞けないものだろうか、という話である。そして、いきなりだが、radikoをサービスエリア外から聴取する方法を発明した。ただし、エリア内に自宅サーバーがあることが条件だ。
職場からWebアクセスする際には、自宅に立てたHTTPプロキシサーバーを使っている。この方法だと、radikoのホームページでエリアは東京と判定されるのだが、Listen Nowリンクをクリックすると、radikoプレイヤーのウィンドウは開くものの、ラジオを聴くことはできない。プレイボタンが点滅したままでやがてタイムアウトしてしまうのだ。netstatコマンドで確認してみると、radiko.jpホームページ向けのセッションは、Firefoxに設定したプロキシサーバーと接続されているが、他に見覚えのないセッションがある。
219.103.32.110:1935 SYN_SENT
どうやらFirefoxに呼び出されたフラッシュのプラグインはこのIPアドレスに直接接続しようとしているらしい。Firefoxのプロキシ設定は効いていない。フラッシュ(FLV)のプロトコルはrmtpと言うそうで、詳しくは知らないがsquidなどのHTTPプロキシはこれを扱えないようだ。パケットの中身がわからなくてもこのアドレス向けのTCP接続を、HTTPプロキシが起動しているのと同じサーバーに起動したstoneのポートへ転送してやれば動く気がする。さてどうしよう。windowsのhostsファイルで、ホスト名とIPアドレスにこのアドレスを入れてみたが、それでは駄目らしい。219.103.32.110:1935を自宅サーバーの任意のポートへ転送するには?

自宅サーバーがサービスエリア内(東京)でインターネットに接続されているとしよう。このサーバーでHTTP proxy(squid)とstoneを起動する。
stoneのコマンドラインはこれ。
stone 219.103.32.110:1935 <自宅サーバーのLANインターフェースアドレス:待受TCPポート番号(任意)>
 例)./stone 219.103.32.110:1935 192.168.0.1:11223
ラジオを聴くPCはサービスエリア外(他県や海外)でインターネットに接続されているとする。そして、ラジオを聴くPCに「Microsoft loopback Adapter」をインストールする。これが最大のポイントだ。このループバックインターフェースのIPアドレスを219.103.32.110に設定してしまうのだ。これで、Firefoxに呼び出されたフラッシュのプラグインはlocalhostに接続することになり、ラジオを聴くPCで起動したstoneで転送することが出来る。Firefoxブラウザのプロキシ設定に自宅プロキシのIPアドレスとポート番号を設定し、stoneは以下のように起動する。

stone <自宅サーバーのグローバールIP>:<待受TCPポート番号(任意)> 219.103.32.110:1935
 例)stone jitakuserver.dyn.dns:11223 219.103.32.110:1935
これで設定完了だ。あとはラジオを聴くPCでFirefoxを起動し、radiko.jpのホームページからListen Now!ボタンをクリックする。やった!音が出た。ラジオを聴くことができる。
なお、プレイヤーが接続するアドレスは219.103.32.110以外にもあるかもしれないし、接続先のポート番号も1935以外にhttp(80)だったりhttps(443)だったりするようだが、TCP1935を転送するだけで、東京7局はぜんぶ接続できるようである。

2010年3月21日日曜日

春の嵐

昨日は穏やかだったが、今日はとても風の強い日だった。風の強い日は樹木のしなる様子が面白い。








 Nikon D700, AF-S Micro NIKKOR 60mm F2.8G ED
ISO200 ピクチャーコントロール[LS]

2010年3月8日月曜日

モノクロ写真

モノクロ写真はカラー写真とは何が違うのか?といった話になると、「モノクロ写真は存在感を強調することができる」などと言われる場合が多い。そしてその撮影方法となると、「カラー写真とは被写体や撮影方法が異なり、物の形状の面白さやコントラスト、質感などに重点を置く」だとか、「色が無く階調だけで表現するため光の捉え方が重要」などと説明される場合もある。どれも断片的には正しい気がするが、モノクロ写真の本当の意味や特性を言い当てていないように思う。色が無いことがなぜ存在感を強調するのか。

 
下の画像からグレイスケールに変換


 
Olympus PEN-EE D.Zuiko 2.8cm F3.5 
DNP CENTURIA 200
モノクロ写真の本当の特性とは、環境光の色温度が持ち込まれないことだ。カラー写真では天候や時間帯などが写真に織り込まれてしまう。モノクロ写真ではそれらに付随して呼び起こされる感覚を排除することができるのだ。カラー写真から得る印象のうち、環境光の影響は非常に大きい。被写体を照らす光線の色は、意図せずとも写真を見る人の感覚を共鳴させてしまい、写真の中にある種のだらしなさや切なさなどを引きずり込んでしまう。西日に照らされた被写体は午後のけだるさや退屈感を呼び起こし、天候が悪い日に撮影された画像は憂鬱感を呼び起こす。モノクロ写真の被写体になるのは大抵、被写体の存在そのものなのであって、こういった場合は天候や時間帯などの情報は無用なのである。撮影したカラー写真を後から見たときに、心で描いていた被写体の印象とはずいぶん異なる場合がある。もちろんカラーの方が記録としてはより正確な画像であるに違いない。だが、自分が持ち帰ったものが被写体の存在感だけだった場合、カラー画像に含まれた余計な情報には違和感を覚えることになる。

2010年3月2日火曜日

レンズの色

いつも屋外ではホワイトバランスは晴天に固定しているので、今日のような曇天の場合もそれなりに天候を反映した色に写る。だが、Ai Zoom-Nikkor 80-200mm F4sを使っていると、D700の背面液晶でプレビューしただけで分かるくらい、肉眼の印象とは全然違う色に写る。明るいというか暖色系というか。以前から気にはなっていたが、このレンズだけは色が違う。


Nikon D700 Ai Zoom-Nikkor 80-200mm F4s
ISO200 ピクチャーコントロール[LS]

何本かのNikkorレンズをライトボックスの上に並べてみた。フィルターは全て外した状態だが、そういえばなんだか色がついてる気がする。


うわ!何てこった。画像を加工して彩度を上げてみるとこんな風になった。かなり違いがある。むしろなんか色とりどりできれいだ。

1. AF Zoom Nikkor 80-200mm F/2.8s ED
2. Ai Zoom-Nikkor 80-200mm F4s
3. Nikkor-UD Auto 20mm F3.5
4. Ai Micro-Nikkor 55mm F3.5
5. Ai Micro-Nikkor 200mm F4 IF
6. Nikkor-S Auto 35mm F2.8
7. Ai AF Nikkor 50mm F1.4D

予想通りAi Zoom-Nikkor 80-200mm F4sはアンバー色で最も濃いが、他のレンズにもずいぶん色があるのが分かり、そういえば普段使っている印象とも共通する。少し古めのAF Nikkor2本は同系色のイエロー系、オートニッコールは黄緑や青で、Ai Micro-Nikkor 55mm F3.5はややマゼンダ。面白いのはAi Micro-Nikkor 200mm F4 IFで、このレンズだけは着色が見られない。

2010年2月28日日曜日

RAW現像ソフト DxO Optics Pro 6とCapture NX2

View NXは無料で使えるニコンの現像ソフトだが操作性が最悪だ。パラメータを変更する度にNEFファイルが更新されてしまい、この処理に異常な時間が掛かる。保存操作をしていないにも関わらず元データであるNEFファイルが更新されてしまうことにも閉口する。そのため、撮影時のパラメータを一切変更せずにJpegファイルへバッチ変換するか、1コマだけパラメータを変更して現像し直すくらいにしか使えない。また、View NXで現像されたD700の画像を見ていると、細部がぼやけて塗りつぶされたようになっているように感じられ、今ひとつ解像感に欠ける。たまたまDxO Optics Pro 6というRAW現像ソフトの体験版をダウンロードしてみたところ、デフォルトのパラメータで非常に自然な画像が得られることが分かった。現像時にアンシャープマスクの細かいパラメータ調整もしてみたかったので、DxO Optics Pro 6とCapture NX2の体験版で画像を比べてみる。

比較用画像の全体
Nikon D700 Nikkor-S Auto 35mm F2.8, F11 ISO800


DxO Optics Pro 6のデフォルトパラメータでの画像は、コントラストを見るとニコンのピクチャーコントロールでの[SD](スタンダード)に近い。View NXもCapture NX2も同じニコンのソフトなので、ピクチャーコントロールのパラメータが同一なら出てくる画像も同一のようだ。DxO Optics Pro 6で控えめにアンシャープマスクをかけて現像した画像は不自然なエッジを出さずに抜群の解像感が得られた。ざらついた画像ではあるものの、石段や金属の手摺などの質感が良く、細部の消え入り方が銀塩写真の感覚に近い。Capture NX2でもアンシャープマスクをかけることができるが、半径のパラメータを最小にしてもデジカメ臭い不自然なエッジが目立つだけで、これならなにもしない方が良い。


 Capture NX 2
ピクチャーコントロール[SD](スタンダード)
パラメータはすべてデフォルト
 
 DxO Optics Pro 6
DxOデフォルト


Capture NX 2
ピクチャーコントロール[SD](スタンダード)
デフォルト+アンシャープマスク(RGB/適用量100%/半径1%/しきい値0)

  DxO Optics Pro 6
DxOデフォルトアンシャープマスク(濃度200/半径0.5/しきい値0)



View NXとCapture NXで現像した画像に、偽色のような部分を見つけた。緑青色の屋根に黄色い部分が見える。DxO Optics Pro 6で現像した画像はこんなふうにはならない。

DxO Optics Pro 6


 Capture NX 2 (View NXで現像した画像もこれと全く同じ)
ピクチャーコントロール[SD](スタンダード)

以前からニコンのピクセル等倍画像には疑問があり、5Dや7Dなどキヤノン機のサンプル画像と比べると明らかに解像感が劣るように感じていた。ローパスフィルターの違いによるものかと思っていたが、どうやら画像処理のポリシーの違いによるものが大きいようだ。ただ、現像時にアンシャープマスクを掛けるのはパンフォーカス的な細密描写には有効だが、ボケを生かした作画ではざらつきが目立ってしまい、万能というわけでもなさそうだ。

2010年2月25日木曜日

SIGMA 18-35mm F3.5-4.5 ASPHERICAL その2

先日のSIGMA 18-35mm F3.5-4.5 ASPHERICALをまた持ち出してみた。テレ側35mmではAFはうまく作動するが、ワイド側18mmではAFがうまく作動せず、無限遠の被写体がピントリングの2m程のところで合焦してしまう。被写界深度でカバーされる範囲ではなく、拡大してみると明らかにピンボケだ。MFでピントリングを無限遠に合わせればちゃんとピントが合う。早速、俺愛用のNikkor-UD Auto 20mm F3.5と各絞り値での画像を比較してみる。なお、SIGMAレンズのテレ側には興味がないのでテストは割愛する。


全体画像
 SIGMA 18-35mm F3.5-4.5 ASPHERICAL  18mm
Nikkor-UD Auto 20mm F3.5, F11
Nikon D700 ISO200 ピクチャーコントロール[LS] 

中央部の比較

周辺部(左下)の比較


SIGMA 18-35mm F3.5-4.5 ASPHERICALの描写性能については評価が分かれるようで、ググってみたところ描写が甘く使い物にならないという人もいれば、天体写真の分野ではワイド側開放時のコマの少なさや周辺光量不足の少なさが評価されていたりする。このレンズは中玉に汚れのあるジャンク品のためコントラストは低めだが、実際のところシャープネスに関してはまずまずのように思える。20mm時の周辺が異常に甘いのが気になるが、18mm時は周辺も良好だ。中央部については絞りの違いによるシャープネスの変化はあまり見られず、開放付近はコントラストは低いものの絞った状態とさほど変わりない。Nikkor-UD Auto 20mm F3.5は非常に古い単焦点レンズだが描写性能には定評があり、中央部は開放から十分なコントラストで、絞るに従い周辺も良くなる。開放付近での周辺光量不足は目立つものの、このレンズは近年オーバーホールしてもらったばかりなので非常にヌケが良い。


 SIGMA 18-35mm F3.5-4.5 ASPHERICAL  18mm F11
Nikon D700 ISO200 ピクチャーコントロール[LS] 


SIGMA 18-35mm F3.5-4.5 ASPHERICAL  18mm F11
Nikon D700 ISO200 ピクチャーコントロール[LS] 

 SIGMA 18-35mm F3.5-4.5 ASPHERICAL  18mm F3.5
Nikon D700 ISO200 ピクチャーコントロール[LS]

Nikkor-UD Auto 20mm F3.5, F11
Nikon D700 ISO200 ピクチャーコントロール[LS] 

 Nikkor-UD Auto 20mm F3.5, F11
 Nikon D700 ISO200 ピクチャーコントロール[LS] 

  Nikkor-UD Auto 20mm F3.5 F5.6
観察小屋に備え付けの60mmフィールドスコープ(20倍)にコリメート
 Nikon D700 ISO800 ピクチャーコントロール[LS] 

撮影場所:東京港野鳥公園 (大田区)

2010年2月24日水曜日

ペンEE DNPセンチュリア200

DNPセンチュリアというフィルムは、色は悪いけれど値段が安いのでよく使っていた。もう生産されていないそうだ。冷蔵庫に一本だけセンチュリア200が残っていたので、この前レンズを清掃したペンEEに入れて撮ってみることにした。レンズ清掃の効果があったのか無かったのか、逆光ではもやっとしてコントラストが低い。


Olympus PEN-EE D.Zuiko 2.8cm F3.5
DNP CENTURIA 200

最後の画像の中央部をクロップしたもの。推定絞り値はF22。
DNPセンチュリア200は粒子が非常に粗く、超高感度フィルムのようだ。
 デジタル化はD700にベローズ・スライドコピア、
Aiマイクロニッコール55mmF3.5をリバースで使用。

ペンEEは固定焦点なので、ピントを操作することができない。操作としては写るンですのようなレンズ付きフィルムと同じなのだが、あれとは構造も撮影方法も根本的に違う。ペンEEは絞りとシャッタースピードが可変であるがゆえ、レンズ付きフィルムよりもずっと奥が深いのだ。プログラムEEなので、絞りとシャッタースピードを直接操作することはできない。だが、シャッターボタンを半押しすれば絞り羽根の開口具合から大体の絞り値を読み取ることができる。ピントを操作することはできないけれど、そうやって撮影距離と被写界深度を考慮してやれば、シャープな画像を撮ることができるのだ。それは制約というよりもむしろ、一種のスタイルやフォーマットみたいなものだ。構図や距離範囲がその場の明るさによってある程度決められてしまうが、できる範囲で工夫する面白さがある。3.2メートル先の被写体だけを探すとなると随分ストイックだが、屋外ではたいてい赤ベロ寸前にまで絞り込むことができるので、中距離から無限遠までをパンフォーカス撮影することもできる。