2010年10月4日月曜日

AF-S NIKKOR 24-70mm F2.8G ED 24mm側 ピント再テスト

前回の続きだ。AF-S NIKKOR 24-70mm F2.8G EDの24mm側での像面湾曲の状態を再度調べてみた。このレンズは、先日工場で解像力点検とAF精度の再調整をしてもらったものなので、これがこの製品のベストな状態と考えられる。このレンズの24mm側で無限遠にピントを合わせる場合、位相差AFで中央(C6)*のフォーカスエリアを使ってピントを合わせると、Exif情報のFocus Distance*は「5.01m」になる。左端(C1)または右端(C11)のフォーカスエリアを使ってピントを合わせた場合のFocus Distanceは「6.68m」となる。ズーム24mm側での距離情報は、無限遠ではこの2種類のいずれかになる。ライブビューのコントラストAFを使った場合もほぼ同じだが、コントラストAFでは右端のフォーカスエリアは必ずしも「6.68m」にならず、「5.01m」となる場合がある。位相差AF、コントラストAFとも中央と左右端との中間のフォーカスエリア(C3やC9)では「5.01」mまたは「6.68m」のいずれかで合焦する。
今回はズームの24mm側で無限遠撮影をおこない、Focus Distanceが「5.01m」または「6.68m」のいずれかになるように撮影し、画像中央部と周辺部を拡大して比較してみる。


ブラウザでご覧の場合は画像を右クリックし、それぞれの画像を新しいタブで開いていただいた後、タブを切り替えながら画像の同じ位置を交互に観察していただければ比較しやすいと思う。

Focus Distanceが5.01mの場合 
(位相差AF 中央のフォーカスエリアを使用)

Focus Distanceが6.68mの場合 
(位相差AF 左端のフォーカスエリアを使用)

画像中央、周辺ともバランス良く解像力を発揮するのはFocus Distanceが5.01m、絞り値がF5.6~F11の間のようだ。Focus Distanceが6.68mの場合、開放~F5.6までは周辺部はピントが合うものの中央部がピンボケになる。F8は微妙だが少なくともF11まで絞り込むと中央のピントは改善してFocus Distanceが5.01m場合と同等となる。F16~F22では回折ボケで中央・周辺ともやや甘くなり、被写界深度の効果も手伝ってFocus Distanceが5.01mの場合と6.68mの場合の画像には違いがなくなる。つまり無限遠のピントは、絞り開放~F8間はFocus Distanceが5.01mになるように中央のフォーカスエリアを使ってピントを合わせればいい。絞りをF11にまで絞れる場合は像面湾曲を考慮して中央部より1ステップ後ピン気味に、つまりFocus Distanceが6.68mになるように左右端のフォーカスエリアを使ってピントを合わせることで、周辺部はジャスピンで中央部のピントも被写界深度に入れることができる。しかしながら、F11時の周辺画質は6.68m方が確かに良いものの、5.01m時との差は微妙なので、絞り値による使い分けを考慮せずに、常に中央のフォーカスエリアを使う方法でも構わないのかもしれない。 
気をつけなければならないのは、夜景や逆光など被写体が暗かったりコントラストが低い場合だ。AFに厳しい条件の場合、中央のフォーカスエリアを使っても無限遠が5.01mではなく、その前後にセットされてしまうことがある。とくにコントラストAFでは6.68mにセットされてしまうことが多いようだ。前後どちらにずれても画像中央部はピンボケで甘くなってしまう。レンズの距離窓を確認してみたが、5.01m位置を判別するのはちょっと困難に思える。また、距離指標の∞マークは70mm時の無限遠にぴったりだが、24mm時に∞マークに合わせると5.01mよりもかなり後ピンになり、24mm時は∞マークを目安に使うことはできない。
結局のところ、調整前に比べればピントが合っていると見なせる範囲は周辺まで拡大されており、実用十分なレベルに改善されている。像面湾曲そのものはレンズの性能の限界なので仕方がないが、このレンズの24mm側の画質はレンズ側のAF精度におおいに依存している。

*C1、C6などのフォーカスエリアの呼び方およびFocus Distanceの値については、ExiftoolのPrimary AF PointおよびFocus Distanceタグの表示値であり、実際の距離やニコンの仕様とは異なる可能性があります。

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